見出し画像

音楽家よ!スタンドポイントを決めろ!【売れない音楽家必見】

駆け出し音楽家

この記事で紹介するのは駆け出し音楽家にしばしば指摘する内容です。2010年代は若い音楽家を対象にこのエピソードをセミナーに盛り込んでいましたが、コロナ前から音楽家コーチングのクライアントが音楽教室の先生や、自主制作ライブを行う演奏家や、事務所に属さず活動する歌手などが増え、年齢層も30〜60代が増えました。その方々にはより強く指摘した内容です。

従って、現在順調に進んでいる音楽家は読まないでください。

スタンドポイントとは

スタンドポイントとは「今の自分の職種の立場」という意味です。「の」が3つ入っているのでややこしいのですが全部必要な「の」です。明日ではなく、今であり、他人ではなく自分であり、ただの立場ではなく、職種の立場なのです。

スタンドポイント例

音楽関連の職業だと、プロデューサー、ディレクター、マネージャー、作曲家、編曲家、演奏家、レコーディング・エンジニア、マスタリング・エンジニア、PA、マニュピュレーター、楽器の先生、音楽コーチ、ミュージック・ドクター、楽器管理テク、調律師、舞台演出家、ライブラリアン、・・・そして、関連業務だと、衣装さん、メイクさん、お茶汲みさん、楽器を運ぶトラックの運転手さんや、ポスター制作してくれる方も立派な職業です。

どれでもOK

職業に善し悪しはありませんので、どのスタンドポイントでもオッケーです。

大切なのは今の時間はどの職種のスタンドポイントか、つまりどの職種の立ち位置で作業をしているかを明確にすることです。簡単そうに見えますが、意外と普段の生活でメチャクチャやっているものです。

実例

この例は私がバークリー音楽大学でアンサンブル(バンド型式)の授業で、しばしば学生達に指摘することです。リハーサル・ルームでバンド練習を1時間するとします。この時にバンド・メンバー全員が同じスタンドポイントにいる必要があります。

最も分かりやすいのが「演奏家」としてのスタンドポイントです。各メンバーが与えられた演奏内容をできるだけ上手に演奏して、他のメンバーとのアンサンブルを整えるのが仕事です。

しかし、メンバーの誰かが「ベースの音量もう少し上げた方がいいんじゃない?」と言い出して、いつのまにかPAの仕事にすり替わっていたり、「立ち位置入れ替わった方がステージ映えするよね」と、舞台演出家になったり、「そこのセクションはキーボードと歌だけにした方がいいじゃない?」と編曲家になったり、休憩時間に「俺インスタ用のポスター作るから、オマエ当日楽器運搬の車出せる?」といきなりポスター制作係と楽器運搬の運転手との会話になったり支離滅裂になることが多々あります。

確かに音楽家としてあらゆる職種を掛け持ちすることはありますが、特定の時間に複数のスタンドポイントで作業をするとメチャクチャになります。今が「演奏家」としての時間なのであれば、例えその他の職種を兼任していたとしても「演奏家」としての作業に集中してください。

私の悪い例

私も26歳の時に音楽制作会社を立ち上げた後、最も困ったのが自分の複数のスタンドポイントの戦いです。制作会社の「社長」のスタンドポイントとしてはクオリティはそこまで求めず、期日や売上や社外とのやりとり優先になります。しかし、「アーティスト」のスタンドポイントとしては一音の妥協もなく良い物が出来るまでこだわりたいのです。この2つの立場を同時に考えるだけでもパニックになりました。

そしてコーチに相談すると「時間を区切ってスタンドポイントを切り替えろ」という指示でした。つまり、例えば15分アーティストとしてこだわり抜いて、次の15分は制作会社の社長として全体を俯瞰して判断という流れです。

まとめ

売れない時ほどスタンドポイントが入り交じります。歌手や演奏家として演奏しながら、髪型や衣装を考えながら、SNSでの自分の評価を気にしながら、集客を心配しながら、お客さまへのプレゼントを用意しながら、売上を計算して、リハーサルのスケージュール調整をしてながら・・・という状態を避けてください。

自分のスタンドポイントを単位時間で切り替えて、一つの単位時間には一職種だけの考えで作業してください。

単位時間の制御方法は時短テクでもライフハックでもありません。脳科学と心理学と行動経済学・・・そう、経済が関係あるんです。早い話が「お金」です。この単位時間とお金の関係を知ってないから、社会にこき使われるのです。自分で知識武装してください。そして、心理武装してください。さらにメンタル武装してください。知ってるだけではだめです。ダイエットの方法はみんな知ってます。でも太っている人が多いのは心理武装、メンタル武装できていないからです。

私は心から駆け出しの音楽家や売れない音楽家を応援しています。

今年こそ「動いて」ください。

本日2024年2月18日をもって個人相談は本執筆のため中断します。3月には一旦日本に帰りますので、お目にかかれる準備を先行情報をお取り寄せになってお待ちください。ゲリラ帰国、ゲリラ面談を3月に実施します。公式LINEでお知らせしますので、お友達になっておいてくださいね。

津本幸司

サポート頂いた分はありがたく執筆活動に使わせて頂きます。