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掃除機が教えてくれた善善善意を君にペイフォワードすれば金メダルが貰える|谷口賢志

今日も世界中が苦しんでいる。

今日も誰かが耐え忍んでいる。

辛くもなるし、愚痴をこぼしたくもなるし、不平不満をぶちまけたくもなる。

だけど、誰もが皆、苦しんでいるわけだから、誰かに愚痴や不平不満をぶつけても、辛さ満腹だから受け止めてもらえないだろう、逆にちゃぶ台ごと投げ返されてしまうだろう、そこら中でいざこざが起こるだろう。

これは仕方ないと目を瞑るしかないのだろうか?

自分には関係ないと生きていくべきなのだろうか?みんなで幸せになろう!なんて綺麗事を叫べるほど清い心は持ち合わせていないけど、せめて、映画『ペイフォワード』のように、どうにか善意を配り合えないかなーとは思ったりはする。

この際、『最苦オリンピック2021』を開催して、様々な苦しさや辛さを種目で分けて、苦金メダルを取った人(人たち)だけしか、世の中に文句を言えなくするのはどうだろうか?そして、その人(人たち)を世界中の全員で助ける。で、救い終わったらまた別のメダリストを助けるみたいにさ・・・ん?よくよく考えてみたら、苦金メダルなんて取らなくても、みんなで普段からそうすればいいんじゃね?あ、これも綺麗事か。

そんなコロナ禍の最中、本当にどうでもいい話で申し訳ないんだけど、深夜近所のコンビニへ向かう途中、道路の真ん中に、掃除機が立っていた。

比喩でもファンタジーでもヤバイ薬をやってるわけでもなく、小ぶりだが、ホース部分をしっかり夜空へ向けて突き立てた掃除機が道路の真ん中にあった。

「静まりかえった街を美しくしてくれてるのかな?頑張ってね!」と、くだらない正に綺麗事で終わらせることもできたけど、そんなの関係ねぇ!と目を瞑ることはできなかったので、即座に善意スイッチをオッパッピーして、谷口善意賢志号を出動させた。

生まれたての子鹿のような・・・いや、ただの捨てられていたボロボロの掃除機を抱えてゴミ捨て場を探した。幸い、すぐ近くに収集場があり一安心・・・と思ったのだけど、あれ?これ粗大ゴミだよね?勝手に捨てれないよね?と言うことはさ、ゴミ収集の方が見たらご立腹だよね?

谷口妄想「クソ。ゴミを舐めやがって・・・粗大ゴミを勝手に捨てるなど悪意の塊野郎だ!犯人を必ずみつけてやる!」と近所の監視カメラの映像をチェックしてみたところ、推定43歳、身長180センチぐらいの男性が、深夜に掃除機を抱えて歩いているところを確認。服装は上下スポーツウェアで、サッカーチームのパリ・サンジェルマンが好きとみられる。付近を聞き込みしたところ、容疑者に挙がったのは、谷口賢志(43)・男性・独身。パリ・サンジェルマン好き。近所の人の話では、うるさく思ったことはないけれど、何かをブツブツ言っていることが多く、たまに公演で、「すべてを無に帰す・・・いや違うな、すべ・・・すべて、すべてを無に帰す」と、おかしな言葉を練習している姿が確認されている・・・「谷口賢志、深夜掃除機抱擁罪及び遺棄罪及び台詞呟き不気味罪で逮捕する!」

・・・誰か、僕に苦金メダルをください。

妄想は杞憂に終わった。幸い、コンビニの店員さんに事情を話したら、心優しく対応してくれて、僕は掃除機と別れ、代わりに蛍光ペンとリセッシュを手にして帰ることができた。

善意と善意が繋がる。まさに『ペイフォワード』みたいな時間だった。

誰かが掃除機を道の真ん中に捨ててくれたからペイフォワード出来たよ!なんて絶対言わねーよ犯人め・・・放送禁止用語の中に埋めてやろうか!と思ってしまう心は少し生まれるけど、善意も楽じゃないけど、やっぱり悪意より善意が繋がる方が全然気持ち良い。

全然、善意。

今日も自分の出来る限り世界を彩ろう。



谷口賢志


●出演情報●

舞台『RUST RAIN FISH』



●ファンコミュニティ●

谷口賢志のfanicon『独演会』




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