見出し画像

骨髄ドナーになって驚いたこと〜家族・会社とのやりとり編〜

数年前に一通の手紙がきました。
”ドナーに選ばれました”
その手紙を見て、本当に選ばれる日が来るなんて、と感じました。
ここには、実際に骨髄ドナーとして移植手術を行うまでの、感じたこと気づきを書いていければと思います。
今日は家族と職場編で。

○ドナーになった経緯

僕がドナー登録をしたのは、ドナーに選ばれた日の8ヶ月前でした。
(※SNS上でドナーとして発信する際には、具体的な日付情報を公開しないように契約を結んでいるので、ふわっとした表現でごめんなさい!)
僕は小さい頃から、なんだかんだで病院にお世話になり続けていたのですが、20歳を過ぎたあたりから健康体になり、それからは献血にハマって献血センター巡りをしていました。(趣味:献血と書いていた。)
ドナー登録は興味があったものの、”喘息”の歴がある場合にはできない、と調べた上で考えてしまっていたので諦めていたんです。
しかしある時、献血センターで『登録できますよ』と教えてもらい、その場で登録をしたのですが、選ばれることはないんだろうと勝手に考えていました。

○即決したものの・・・

ドナーに選ばれると手紙が届き、最初に意思の確認が始まります。
これも、本人だけではなくて家族の承諾を得る必要があります。
時間もない!と焦りながらも家族グループにLINEを投げました。

兄からすぐに反応が。
(ちなみに全ての会話が敬語で進んでいるのは、うちの家庭の仕様です。)
今読むと兄が一回ブレーキを踏んだ理由もわかりますが、その当時の自分としては、
『リスクは説明するけど、なんでやりたいかって必要なの・・・?』
と思っていました。なので、

・・・半ギレ気味の文章に見えます。でも、こんなことは2度とないかもしれない。こんなところで、時間を使っている場合ではないと本気で考えていたので、このようなやりとりになってしまいました。

結果的に、家族とは話し合いをした末に、以下のことを伝えてもらいました。
 ・今は独り身だから(当時)勝手な判断が
  できるけど、家庭を持ったらもっときちんと
  考えて動くこと。
 ・母も登録したかったけれど、年齢的に
  できなかった事実があること。
 ・職場含めきちんと周りの理解を得た上で、
  進みなさいということ。
この時に話し合いができたことはとてもよかったなと感じます。
少しばかり揉めましたが、家族が背中を押してくれてとても嬉しかったです。

○会社とのやりとり

会社にも許可を取らなければいけません。
というのも、提供までの間に合計で8日〜10日ほどの休みが必要になります。
当時は結構な多忙職場にいたため、本当に大丈夫なのか?と、不安でした。

 僕 「ドナーに選ばれまして、進みたいと思うのですが8日〜10日ほど病院に行く必要があります。」
上司 「仕事に穴開けなければいいよ。フォローもするし。」

いい職場でよかった!と心底思いました。
ひとまず、穴を開けないよう努力すればなんとかなる!
上司と同僚に心から感謝して瞬間でした。

○提供までの間に衝撃だったこと

色々な人と話をする中で見えてきたものもありました。
それは自分とは異なるものの見方をする先輩たちの姿でした。

 ・見返りは何かあるの?
 ・痛いだけでいいことないよって聞くよ?
 ・相手に会えないなんて、意味なくない?

実際にかけられた言葉でした。軽く絶望したのを覚えています。
みんなに悪気がなかったことも知っているからこそ、悲しかった。
事実、骨髄バンクに登録している人で適合者になっても、半数以上の人は
家族の同意か職場の同意を得られずに辞退をしているのだそうです

○もし周りの声に迷う人がいたら伝えたい。

実際、私も誰に自分の骨髄液を移植したのかはいまだに知りませんし、今後も知る機会はありません。
でも、僕はだからどうした?と思います。
54歳までの人でかつ病歴がなく適正体重の人しか提供ができない。
その上で数万通りの型の中から適合しないといけない。
手術の日も、取ってからその日のうちに輸送しないといけない。
顔を合わせてはいけないので、遠く離れた病院で同時手術をしなければいけない。
たまたま自分がその条件をクリアできた訳で、数年後にまた適合してももう体調を崩していたりするかもしれない。
そんな中、実際に提供をさせてもらえるまでたどり着いたことがどんなにありがたいか。
「耳障りのいい言葉を・・・」と思われるかもしれないですが構いません。

僕はあの日、骨髄移植ができて本当によかったと思っています。

・・・でも辞退をすることだって、きっと苦しいですよね。
だから、たくさん考えた上で辞退をされた方も本当にすごいと思います。
大切なのは”考えることをやめない”ということだと思うんです。
この記事も、読んでくれた人が何かを考えるきっかけになったらいいなぁ。

また、手術のことや術後のことを書いて行きたいと思います。
よかったらスキを押してくれると、励みになります。
それではまた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?