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『詩 ロクデナシの1人』

割引あり

寡作だがそこそこイイ詩を書くカビ
素敵な1軒家に住むカビ
年に数回ガールフレンドに会うために南国へ出かけるカビ
ロクデモナイ詩人たちの中では生活にゆとりがあるカビ
数万円はするTシャツをいつも着用し、
ピカピカの高価に見える革靴を履くカビ
髪はサーファーのようにセクシーで、
歯は天然塩を使って磨くので歯茎は乙女のピンクのカビ
「どうやってそううまくやってるんだ?」ロクデナシの詩人の1人が言う
「赤い封筒とピカピカのコインさ」カビは言う

伸びた前髪を耳にかけるカビ
鏡に映る自分の姿をセクシーだと思うカビ
引き出しの中でキラキラ光るコインに手を伸ばすカビ
子犬の声であの子の耳へ洒落たグラスビールを注文するカビ
大声は下品だと罵るカビ
テーブルを拭くあの子のケツを眺めるカビ
ウズウズする2つのボールに悪態をつくカビ
運のいいやつを見ると中指を立てるカビ
自分じゃ気づいていないがジワジワ年老いていくカビ
引き出しの中でスヤスヤ眠る赤い封筒に思いを馳せるカビ

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293字

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