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『手紙』

『Notes of a Dirty Old Man』 Charles Bukowski
1年に1度か2度手紙を受け取った 
長い手紙だ 
だいたいクリスマスの前だ 
”文章の練習に付き合って”女は言う 
エスキモーと結婚して2人だったか、3人だったかの子供がいる 
女が言うには”本を書いた”と言う 
それは本棚に飾ってあって、子供たちのために書いたと 
女はその本を誇りにしているとも 
今は”人格の崩壊について”のシリアスな小説を書くと言っている 
”人格の崩壊について”の本を2冊書くと言っている 
あぁ、たぶん1冊はオレについてだな 
もう1冊は、結婚したエスキモーについてか、
いや違うな、たぶんそいつは結婚する前は性欲に満ちていたが、
今じゃ何もかも吸いつくされてカラカラになっちまってる 
たぶんあいつだ、オレとの関係をブチ壊す原因の一つになった
”紫のスティックピンの野郎”だ

たぶんオレはアートクラスで知り合った、
巨大なおっぱいを揺らしていた女と一緒になればよかったんだ 
でも女を喜ばすのは難しい 
その女だってナメクジの小さいケツの穴はイヤだろう 
でもタコのバターは炒めは食わせてやりたいな 
赤ん坊の指先がバターと一緒に溶けてるように見えるんだ 
それに海のクモに、汚れた子鼠 
オレがそのタコの指先をチューチュー吸ってる間にオレは復讐を果たす
 
何億も相続する女とはオシマイになった 
ビールだって止めてやった 
電力会社には中指だ!
フラーブラッシュにも中指だ!
テープマシーンにも中指だ! 
テキサスの無防備地帯にも中指だ! 
傷を背負ったイカれた女たちにも中指だ! 
やつらは背を向けて泣き叫び 
オレたちを骨抜きにして立ち去っていく 
そのくせ心温まる手紙を毎年クリスマス前に送ってくる 
オレたちはもう他人同士なのにワタシを忘れないでって 
デッケエ中指だ!  
犬のブリューゲル ハエの大群 窓の外から見える57年型のプリモス 
無為に過ごした日々と植え付けられた恐怖心 
侘びしさと失敗 
舞台では空騒ぎが演じられる 
オレたちの生活が落ちていく 
なんとか這い上がろうと必死にもがく 
タフなフリをしてニヤリと笑いむせび泣く 
オレたちの人生は小さなケツの穴を拭いたりして過ぎていく

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