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東京チーム メンバー紹介(エントリーエッセイ公開)

THE BLUE CAMPに参加する学生たちを、それぞれがエントリー時に提出した自己紹介およびエッセイとともに紹介します。まずは東京チーム。高校生2名(うち1名海外)、調理学校生3名、大学生(うち2名水産研究)の8名です。(京都チームはこちら

【質問】
Q1:自身について教えてください
Q2:海の現状を知って、もっと知りたいと思ったこと、やりたいと思ったこと

古谷礼子(都内高校3年生)


Q1
私は2年前まで沖縄に駐在していた父がいる。休みの度に沖縄を訪れ、その豊かな自然と美しい海に圧倒され、心が動かされた記憶はいつまでも忘れられない。祖父が趣味で農家をしていた関係で、食が大好きになった私はその後小6と高1でそれぞれブラジルとカナダに留学をし、食の豊かさを学術的に追求したいと思うようになった。そして留学中の高1から、約3年間食を基軸に食と教育、食と環境など様々な研究活動を行ってきた。現在は食と言葉に強い関心を持ち、株式会社リバネスの中高生対象研究者育成プログラム「サイエンスキャッスルゼミ」の1期生としてご支援いただきながら、研究活動を行っている。特にオノマトペ表現と食感の関連などを主に、言語が導く新しい食体験を模索しようと日々研究と食べることに勤しんでいる。

Q2
 日本は四方の海に囲まれ、水辺の海洋生物は全世界の約14%を占める。海産大国日本において水揚げ量が1/3に激減している実態を知り、驚愕した。私少の目の前にある焼き魚はいつか手の届かないものになるかもしれない。日本の食文化に重要な役割をもつ海の幸はどうなってしまうのだろう。漠然と不安になり、海と食について色々考え始めた。今必要なことは何だろうか、そして今私にできることはなんだろうかなど思考を巡らせた。

しかしながら結論として、今の私では経験や知識が余りにも足りず、包括的な解決策や影響力のあるアイディアの捻出が難しいため、本企画The Blue Campで有識者の方々から今の現状と課題を体験を通して、具体的に学ぶことができたらと申込をさせて頂いた。そして同時に、私が培ってきた経験や知見が少しでも活用できたらと思い、本企画では貴重な体験と並行して、特に海産物のアップサイクル方法や、外食産業と地域を結ぶブロックチェーンについて熱意ある仲間達と共に考えていきたい。

あの時見た沖縄の海、あの時食べた海鮮料理、忘れられない「あの感動」をこの先も繋いでいく為に、17歳の私は少しだけ背伸びをして今の社会を見つめ、食からより豊かな社会を創造するメンバーの1人になりたい。それに向けて、まだ分からない食と海の世界をこの目で見て、この手で改善する為に本企画を通して、様々な経験を開拓への糧として体得していきたいと考えている。

大海はな(アメリカアリゾナ州高校卒業)


Q1
私は自ら行動し、周りにポジティブな影響を与えられた時に喜びを感じます。二年前にアメリカの田舎の公立高校に転校しましたが、クラスにアジア人は私だけだったり、授業に関心がない子達が周りに多かったことが辛く、落ち込みました。しかしこのままでは何もなく終わってしまうと考え、自分が大好きなヒップホップダンスのクラブを高校で立ち上げようと決めました。インスタグラムで見つけたダンスをやっている学校の子にメッセージするところから始め、何とか八人のメンバーを集めました。当初は「こんなクラブうまくいくわけがない」とバカにする子もいましたが、全校生徒の前で発表すると大盛況で、今や四十人のメンバーがいます。メンバーが集まったことで、思わぬ展開もありました。日本から持ってきたシャーペンの性能の良さを褒められたり、tiktokで見た日本のコンビニの三角おにぎりの開け方が面白い、あれは普通なの?など沢山の子から驚かれました。まるで自分がいることで、アメリカの田舎の高校生たちに異世界の風を吹き込めたようで幸せな気持ちになりました。

Q2
「砂漠」にいるからこそ「海」について考えています。
私は2年前からアメリカ有数の砂漠地帯であるアリゾナ州に住んでいます。グランドキャニオンもあるアリゾナ州は、夏は連日40度を越える高温で雨も年中ほとんど降りません。水不足から、一部農業地は使用水量に制限が加えられ、以前栽培していた農作物が作れなくなっています。住宅地もいずれ使用水に制限がかかるといわれており、アリゾナ州に住むことで環境問題は身近になりました。

THE BLUE CAMPを通して、海が大きな危機にあり、魚が急激に減っていることを今回初めて知りました。ショックでした。海がないアリゾナ州でさえ、私の周りの高校生の十人に九人は好きな食べ物はSUSHIというほどです。日本文化の象徴ともいえる魚が廃れるなら、日本人としてとても寂しいです。なぜこのような事が起きて、どうやったら流れを変えられるのか、もっと知りたいと思うようになりました。

アリゾナ州では、わずかな雨水やサボテンから、水を再利用できるようにする研究や技術開発が盛んです。灌漑システムをみんなでつくる市民活動も盛んで、私もボランティア活動に参加しました。自治体と市民が一緒に共同体をつくるアメリカのデモクラシーに触れる良い機会でしたし、持続可能なシステムを作るには、政府から消費者、川上から川下まで巻き込んだ連携が必要であることも学びました。「美味しい魚を手頃に食べることが当たり前でなくなってしまう」。そんな日がきてしまう前に、自分はどんな役割で何ができるか、真剣に考えたいです。

私はこの秋からUniversity of California(UC) Davisに進学します。UC DavisはUC Berkeleyの農学部から派生し、ワイン生産地Napaが地元など、環境にも恵まれ、食品科学研究が全米で最も進んだ大学といわれています。私も食が文化に与える影響について学びたいと思っており、出汁や刺身は日本文化の繊細さを象徴するものだとずっと注目していました。THE BLUE CAMPにぜひ関わらせて頂き、そこで学んだことを日本文化を守る活動に将来役立てたいです。「日本の美しい海は砂漠になってほしくない」と願っています。

滝本 朝日(エコール辻東京 辻フランス・イタリア料理マスターカレッジ1年)


Q1
私は小学生の頃、父やおじと釣りに出かけるようになったことをきっかけに、魚に対して深く関心を持つようになりました。自分で釣ったクロソイをおじさんが捌き、食べた時はその美味しさと刺身になって出てきたことへの不思議さに仕方ないほど興味が湧いて、釣りと魚料理が大好きになりました。それからはスーパーで鮮魚コーナーにへばりつき、休みの日には釣りに連れていってもらうことが楽しくて仕方ありませんでした。私は地元が宮城県仙台市の南部にあるため、閖上港がとても近く、ゆりあげ港朝市に毎週足を向け、ホタテやウニ、ブリ、鯛、鰆、鮪、ナメタガレイ、タコ、赤貝などあげたらキリがないほど色々な魚介類を調理して食べ、地元の魚介類を堪能しました。高校に入ると、YouTubeでイタリア料理に出会いました。イタリア料理は和食同様魚介類を生で食べる調理をする珍しいジャンルであり、私にとってとても新鮮で、このジャンルを極めたいと思い、周りの友達は国公立大学に進学する中エコール辻東京に進学し、現在に至ります。

Q2
私は、魚を釣る、魚を捌く、魚を料理する、魚を飼うなど、魚に関することが小さい頃から大好きです。
私は小さい頃から祖父母の家で食べる魚がとても好きで、中でも私の地元宮城県の金華鯖がとても好物でした。魚が大好きな私は、親戚や友人と一緒に釣りをして、釣った魚を食べたり、スーパーや近所のゆりあげ港朝市で魚介類を買って捌いて食べたりするのが日常です。

ゆりあげ港朝市はたくさんの魚介類が並び、コロナ禍でも賑わうほど魅力的な場所ですが、そんなゆりあげ港朝市には、閖上名物の赤貝を始め、牡蠣、ホタテ、ウニ、みやぎサーモン、ブリ、鯛、鰹、鰆、ホヤ、鱈、ナメタガレイなどたくさんの魚介類が並び、私は毎週飽きることなくこれらを買ってもらっては料理して食べていました(割れてしまった赤貝は身に問題はありませんが、12個で1000円でした)。

魚が人気な閖上では、生簀のあるスーパーもあり、アカヤガラやダツ、ハタ、クエ、カワハギ、イシガキダイ、伊勢海老、ヒラスズキなどの宮城県外からの超新鮮な魚介類も豊富に扱っており、それらもまたとても美味しく頂いて来ました。ですが、小さい頃は1匹100円だった秋刀魚の価格高騰や赤貝の貝毒による禁漁、ワカメの高騰など魚介類の価格高騰や流通停止は私にとって疑問や不安が強く、海についてとても心配だったため、海についてもっと知りたいと思いました。趣味のメダカの飼育や、釣りによって得た魚の習性やフィールドの特色などの知識があるからこそ、この今の海についての関心はとても強いです。原発事故による影響や地球温暖化、環境破壊による被害など、よく耳にしますが知らないことはまだ多いと思います。なぜ漁獲量が減っている魚が多くいるのか、なぜ海はこのような問題が目に見えて浮き彫りになっているのかなど知りたいことがたくさんです。

このThe Blue Campの活動はそんな私にとって、また海にとって大きくプラスに働くイベントになると思います。積極的にイベントに取り組んでいきたいと思いますので、ぜひご検討よろしくお願い致します。

小山卯月(エコール辻 東京1年)


Q1
僕は色々なことを経験、挑戦するよう生きてきました!そんな中主に挑戦したことは2つありました。

一つ目は自発的に社会を知る事です。高校生という、時間に余裕があり何をするにもちょうど良い時間を有効活用しようと考えました。持続可能な社会を作るための提案を考える経済コンテスト、小さい子供が遊べる福祉施設、超有名店でのオープンカンパニー、引っ越しや工場、ゼリー製造場所や荷下ろしバイト、もちろん飲食店でのホールや皿洗い、調理の経験。ジャンルはバラバラですがどれも一歩自分で踏み入れないと関わることのない経験ばかりでした。まだ知らない場所、まだ自分が知らない世の中のことを知るそして理解する、体験することのが自分にとって大きくプラスになると強く感じます。

世の中を知るつまり今現時点でどんな職業があり、どんなものが必要とされているかを知ることは、とても楽しく興味深いことです。そして世間への関心が強まりました。

二つ目は、地元で自然に取れる食材に積極的に触れることです。焼津市の魚屋を回ったり、海に出かけたりするのはもちろんなのですが、特に焼津市の川上流でサワガニや手長海老、うなぎなどをもりなどで取りその場で調理して食べる、海で釣りをしてその場で食べる、たまに木を割ってそこから出てくる幼虫を食べる。そんなことを主にしていました。

昔ほど自然で溢れていないにしろ、まず地元の自然に触れたいと思いしょっちゅう川や海に出かけていました。やはり自然に取れた食材の美味しさはすごい驚きを与えられるものでした。さっきまで生きていたイキイキしてるサワガニを片栗粉につけて揚げる。産卵期のため皮がぷよぷよでお腹に卵をたくさん蓄えているサワガニは素揚げすると柔らかくとてもジューシーです。後ろ向きに高速で逃げる手長海老。をカラッとあげると最高の味で、うなぎは皮がとても硬いがうまみがぎゅっと詰まってて食べ応えのある美味しさでした。木の中にすんでいるカミキリムシの幼虫は、見た目はグロテスクですが、バターと醤油で炒めればナッツのような甘いと外がカリカリしてなかなか美味です。

そんな事をしていてよく思います。これから、もっともっといろんな食材に触れたい、自分の知らない未知の食材に出会い食べてみたいと思いました。

Q2
僕は西洋料理人を目指しています!
僕は地元の魚が大好きです。僕は焼津市に住んでいます。漁業がとても盛んで水揚げ量が全国上位で水揚げ金額は一位になっています。市内には魚の加工場が多数あり、魚を取り扱った店も多く、有名どころでは魚センターやサスエがあります。そんな地元を誇りに思うし、実際焼津の魚はとても美味しくて、魚屋さんのお刺身は絶品で、他の所の魚より甘味が強い印象です。

ところが、魚の水揚げ量が1/3まで減少し、日本は世界一位の水揚げ量だったのが今は世界8位まで落ちてしまっていると聞き驚きと共に焦りを感じました。自分の大好きな焼津市の魚が少なくなっている、焼津市の魅力である魚産業が衰えてしまう、自分が料理人になる上で魚料理の魚は焼津で調達するという思いが叶わないと思いました。実際自分も食卓から魚料理が減っていると感じます、飲食店に行っても魚料理よりも圧倒的に肉料理の方が多く、スーパーでは肉の方が確実に安いと感じます。

料理人になる身として、水産業つまり海との関わりは必要不可欠なものです。そんな時これからの料理業界を作っていきたいと思っている僕はザブルーキャンプを知りました。それは生産者さんと実際に話をして、そこで仕入れた食材を最高の形でレストランで出す。そしてレストランの運営から経営までを学び、最後にはお客様に提供するという大きなサプライチェーンの流れを海の問題とリンクさせながら学ぶことができる。ここまで自分の興味をそそられ、自分のこれからに大きく役立つ活動だと感じました!

僕がこの活動を通してやりたいこと、特に学びたいことは二つあります。一つ目は、仕入れからレストランの経営までを学ぶことです。僕は将来的に自分の店を持ちたいと思っています。実際に生産者の方とお話をしてみたい、どんな生産のされ方をしているかみたいと思いました。そしてその食材を一流シェフの方々はどのように活用するのか、そして、レストランを経営する上で必要な知識や工夫や戦略を学びたいと思いました。特に魚料理を大事にしたいと思っているので、海の問題とリンクさせた料理なども、シェフや生産者の方々考え、作ってみたいと思います!

二つ目は、この活動を通じてシェフの方々や、生産者の方々そしてなにより同世代の仲間達と活動後も関わっていき、これからの飲食業に貢献していきたいと思います。この活動でおわらず、この経験は自分が料理人として働く上で大きな力になると思います。自分はまだ水産業問題についても、レストラン経営についてもなにも知りません。だからこそもっと知りたい、もっと色んなことを経験してみたいと強く思います!

小林翔(服部栄養専門学校調理ハイテクニカル学科2年)


Q1
私は6歳の頃に、メジャーという野球アニメを見て野球に興味を持ち、18歳まで野球をしてきました。中学では全国出場、高校では甲子園で優勝出来た事など、振り返ってみればよく頑張ったなと思います。高校では生涯越えることない苦しみや練習をしました。

そこで何故諦めないで出来たのか?それは6歳の頃に出会ったメジャーというアニメのおかげだと思います。ただ、野球をしているアニメなのではなく男気溢れるようなプレー、窮地に立った時に湧き出てくる気合い、やる気、根性。自分のプレースタイルとなったものです。技術はなくともまず気持ち、これこそが中・高と競争を勝ち抜けた要因だと思っています。高校の監督に言われていた、辛い時苦しい時に何が出来るか。これは凄い大切だなと思います。調子が良い時だけ練習してもダメ、苦しい時に投げ出して練習しなかったら終わってしまう、競争の中ではとても必須な事です。

ここまで野球を続けてプロを目指さないのかは周りから言われましたが、私は料理に興味がありこの道を選んで、今学生として頑張っています。ジャンルはフレンチです。日本人が他国文化の料理をするのだから当然、その国の人達よりも勉強しなければいけません。苦しいこと、なのかもしれませんがフレンチの美味しさに惹かれた私からしたらむしろ楽しいです、そして今回この様な会が開かれるということで是非応募しました。

Q2
日本は昔から海に囲まれているため、魚を食べる文化ではありましたが、ここ数年では、食の洋食化が進み、ハンバーガーなどが増え、日本の文化とも言える魚を食べる機会がすごく減っているなと感じていました。
私もそれに伴い、現在の調理学校に進むまでは、肉より魚の方が好きでしたが、私もそれに伴い、現在の調理学校に進むまでは肉より魚の方が好きでしたが、様々なレストランを食べていくうち、料理を勉強していくうち、自分で料理を作っていくうちに、魚の魅力に気づかされました。言ってしまうのなら、メイン料理は肉と魚選ぶ場合は、魚を選んでしまう位です。そんな中で今回のようなイベントを見つけてすごく参加したいなと言う思いが出てきました。

私が魚の魅力に気づいたのは、フレンチです。
それは、Sauce BurreBlancと鯛のポワレを合わした時です。しっかりと皮がパリッと焼けている鯛に酸味と油脂のバランスが絶妙のソースと合わして食べた時の感動は凄かったです。そこでフレンチに目覚めました。魚ってなんて言ってはいけませんが、魚ってこんなにも上手くなるんだ、ソースってこんなにも主役を引き立たせられるのだな、凄く面白い。と感じました。そんな魅力に気付けたのに日本では肉が先行していて勿体ないなと思います。そんな事言っても私はお肉は凄く大好きです。けれども魚って凄いんだよ、こんなふうに食べれるんだよって思いが凄くあります。

それに伴い、魚を捌くのも好きです。内蔵が嫌だという友達が多いですがあまり気にしないです。むしろ綺麗に捌けた時の達成感は凄く良いです。しかしただ捌くのでは無く、命を頂いてる、そしてこの捌いたものを調理して今後はお客様からお金を頂くと考えると楽しいだけでは捌いてはダメだなと思います。こんな事言っていますが魚をなんでも捌ける訳ではありません。捌きたいなと思ってスーパーの鮮魚部にバイト申し込みをしましたが断られてしまいました。ただひたすら捌くチャンスが欲しいです。

今回のイベントなら捌く事も出来るのかなと思いつつ、海に対しても凄く興味があるので自分に凄く最適なイベントだと感じております。この魅力を自分の知識として落とし込んで、将来、魚を最大限に活かせる料理人になりたいと思って今回応募させていただきます、よろしくお願いします!

藤野佑一朗(東京大学農学部フィールド科学専修3年)


Q1
昔から生き物が好きで、特に魚類に興味があります。釣りが趣味でよく海や川で釣りやガサガサをしています。また食べるのも好きで釣った魚を自分で捌いて料理するのが好きです。お気に入りはハゼやシロギスの天ぷらです。魚類に限らず生き物全般が興味があり、大学では生態学を専攻しさまざまな動物、植物についてのマクロな個体群動態からミクロな生理機構に加え、環境問題に対する世界的な対策や条約機構までフィールドワークを交えて幅広く勉強しています。

また、大学では狩猟サークルに所属しており狩猟とそれにまつわる活動を行っています。具体的には活動場所でのシカやイノシシを対象とした狩猟活動、獲物の解体・料理などです。全く接点のなかった狩猟という世界に初めて触れ、生き物の命を食べることの重さ、食卓に並ぶまでの大変さを知りました。初めてイノシシを最初から最後まで解体し、調理して口にした時の衝撃と美味しさは忘れられません。今まで何気なく食べていたものの裏側を考えるようになり、以前より食材に感謝して美味しくいただくことを心がけるようになったと思います。さらに、狩猟に関わったことで日本の獣害について知るようになり、シカやイノシシの増加による生態系の変化や、狩猟を通した人間と野生動物の関わり方、ジビエの調理法にも現在興味があります。釣りや狩猟など、人間が生き物を獲る活動が生態系において適切なバランスで持続的に行っていける方法を学び探していきたいです。

Q2
The Blue Campのサイトを見て「これだ…!」と感じ、ワクワクしました。大学三年になり自分のキャリアを考え始める中でいまいち自分が何をしたいのかがわからない。就職か進学か、博士課程まで進むのか、決めなくてはいけない時が近づき何か自分の視野を広げる機会、新しい一歩を探していた時このThe Blue Campを知りました。「海」「料理」「漁業」「流通」「環境」「レストラン」「消費者」などと興味の近い分野、かつ知らない分野が混ざるこのプロジェクトで普段関わることのない分野の方々の考えや価値観を知りたいと思っています。

私にとって海は食卓に並ぶ魚介類の生産の場であると同時に、釣りを通して魚と触れ合う大切な場所です。現在の漁獲量が減り続け、価格の高騰や流通量の減少が続く状況を知り、海を利用する者として他人事ではいられないと思いました。ただ、まだ断片的な知識しか持っていないため、まずは今の海洋生態系の環境悪化の原因、漁業が与える影響の正確な評価を知りたいです。そして、海の生産量を回復のシナリオに乗せるためにはどのような枠組みや行動が具体的に必要なのかを把握した上で、漁業という観点から現在行われている取り組み、課題を学びたいと思います。

そして、シェフの方々からレストランを学びたいです。料理やレストランについては全くの初心者ですが、The Blue Campのシェフのインタビューや店舗の記事をみてレストランは料理だけでなく食材、流通、調理、盛り付け、順序、空間、交流、サービスといったさまざまな要素を融合することでお客様に感動を与える場所なのだなと改めて感じました。このレストランが提供する「感動」は行動への大きなエネルギーになると思います。ポップアップレストランを通して、私は来場してくださった方々に海を、漁業を、流通を、魚介の恵みを知ってもらい、自身の行動に移すエネルギーとなる感動を提供してみたいです。例えば、食物連鎖をイメージしたコース料理(プランクトンや小さな魚介類から始まり一次消費者、二次消費者と提供する料理の食材の生態系におけるステージが上がっていくようなメニュー)のような、食べながら学び、さらに遊び心を忘れずに楽しめるような空間や料理を仲間と一緒に創り上げてみたいです。

最後に、魚の調理法を詳しく知りたいです。普段釣りをするので一通り魚を捌いた経験はありますが、プロの魚の捌き方や調理の仕方をぜひ生で見て学びたいです。前田元シェフの記事にあるフランス料理の「味が出るものは全て使う」考え方は時に気になります。自分のこれからの生活に活かせる価値観や技術に出会えることを楽しみにしています。

渡部礼音(東京海洋大学 4年)


Q1
大学に入学してまず関心を持ったことは、漁業の担い手問題です。この問題について調べるため、これまで宮城、神奈川、三重、大分の11の漁村に訪問し、お話を伺ってきました。その中で、共通して話題に上るのが「資源の減少」でした。これまで、漁村の閉鎖的な雰囲気など人為的な要因ばかりに注目していましたが、ただでさえ資源が少ない中、新規参入を受け入れられないという意見を持つのも無理はないと気付きました。それから、担い手問題を考える際には資源の問題も一緒に考える必要があると思い、資源管理などにも関心を持つようになりました。

そして、各地の漁村での出会いを通じ、「生産者の方の取り組みや想いを知ってもらいたい」と思うようになりました。そこで、大学祭で、これまで出会った生産者の方の商品を販売するお店を出店しました。お店では、商品が生まれた産地のことや生産者の方の想いを一緒に伝えることを大事に運営しました。商品に加え、これまで訪れた漁村での体験を綴った『漁村図鑑』という冊子も作成して販売しました。この冊子は、文化祭終了後も『SAKANA BOOKS』という本屋で販売していただいています。過去には、京都で開かれた『とからもマルシェ』というイベントでも取り扱っていただきました。

将来は研究者として、水産業界に貢献していきたいです。

Q2
私のやってみたいことは二つあります。一つ目は、消費者に向けた情報発信です。私は、消費者は購買行動を通じて、産地や流通の現場を「持続可能な」方向に変えていけると考えています。例えば、「持続可能であると判断できない水産物であれば購入しない」という消費者が増えれば、水産業の現場は持続可能な方向に変化せざるを得ません。消費者の買わないものを生産・流通させてもお金にならないためです。しかし、日本の消費者の購買基準は、依然として「値段」によるところが大きいのも現状です。そこで、まずは購買行動につながる消費者の意識の変化を促すこと、そのための消費者に向けた情報発信が必要だと考えます。そして、その情報発信の拠点に、レストランはなり得ると思うのです。

このような考えに至ったのは、過去のアルバイト経験からです。私は、大学2年の時に東京駅構内にある『フィッシャーマン・サンドイッチ』という、サステナブル・シーフードを利用したサンドイッチを提供するお店でアルバイトをしていました。しかし、駅構内という立地上、比較的時間に余裕のない人が来店すること、何よりサンドイッチというファストフードであったことから、サッと食事を済ませたい方が多く、海の現状や課題といった情報を十分に伝えられませんでした。一方で、テレビの取材を受けるなど、サステナブルな取り組みに対するメディアの注目が高まっていることも実感しました。この経験から、ゆっくりと食事を楽しむレストランは、お客様に海や生産者のことを伝えられる場所であり、さらには社会に対してもメッセージを発信できる場所でもあると考えるようになりました。

二つ目は、コミュニティづくりです。海の課題に対処するためには、各ステークホルダーの連携が不可欠だと考えます。例えば、生産者がコストをかけて持続可能な方法で生産しても、その先の流通・小売業者がその価値を理解せず買い叩けば、生産者の取り組みは実らないからです。加えて、こうした連携を一過性にしないことも重要だと思っています。そしてコミュニティは、各業者や異業種との連携を生み出す場や、取り組みを持続させる場として機能すると考えています。実際に、私は水産系の学生コミュニティづくりに関わったことがありますが、コミュニティがあることで、インターンなどを通じて水産業に一度関わりを持った学生が、引き続き水産業に関わりを持ち続けられるようになったと思っています。このように水産業に関わりを持ち続ける人が増えれば、10年、20年後にはとても大きな力になると信じています。

魚谷和史(東京大学4年)


Q1
私の特徴としては、人の面倒見がいい点が一番に挙げられます。小学生の頃に遊びのグループのまとめ役をしていたところから始まり、中高生のときはクラス代表や生徒会長になることもあり、様々な相談をされました。大学生になった現在でも学科やサークル、学生寮で見守り役と呼ばれたりしています。これは何か特別なスキルが私にあるというよりは、良くも悪くもグループの一人一人のことが気になって無視しておけない私の性格の現れだと思っています。

この面倒見のいい性格と、特に中高生のときに友人から勉強を聞かれて教えることが多かったことから、教育に関心を持っていました。オンライン家庭教師や個別指導のアルバイトをしたり、一般の方に楽しく科学を知ってもらう実験を行うサークルに所属していたり、高校生・大学1, 2年生向けのイベントに参加したりなどしていました。

またそれだけでなく、自分自身が多方面で新たなことに挑戦するのが好きだとも思っています。中学生から獅子舞で使う横笛を始めたり、高校では英語ディベートに取り組んだり、大学ではフラメンコサークルに入ったりなど、色々なものに興味を持ち取り組んできた経験が多い方だとも思っています。

Q2
私が海の課題を知って今やってみたいと思っていることは、より多くの人に魚に興味を持って好きになってもらえるようなきっかけを作ることです。本プログラムの応募要件の最高学年である大学4年生でかつ、大学院に進学して水産を専門にする予定の人間の希望としては曖昧に聞こえてしまうかもしれませんが、今私がこのように思うのには理由があります。

私が海の問題を知ったのは中学生のときでした。当時は化学に興味があったこともあり、高校生のときは地元の海岸清掃ボランティアや海洋プラスチックに関わる課題研究への協力、大学3年生まではプラスチックをテーマとした授業やゼミ、大学と提携している廃棄物処理を行っている企業でのインターンシップなどを積極的に行っていました。ここまでの私は海洋環境を化学、生物の観点から海の問題を解決することに集中していたように思います。

大学3年生の途中からは水産の研究室に所属し、研究室の教授から資源管理や国際的な規制の枠組み、価格決定や流通について知ることが多くなりました。研究室の活動として伊東の定置網漁師さんや豊洲市場の見学をしたり、水産庁の方のお話を聞いたりなどする中で、海の問題の中でも物質ではなく「人」の関わる側面の存在を強く意識するようになりました。現在も消費者の支払意思額と水産エコラベルをテーマにした卒業研究を行おうとしているところです。

ここまで私は化学、生物、人の観点から海の問題を見てきて思うことは、結局のところ海の問題に興味があったり、関わったりしている人しか海の問題解決に取り組めていないということです。海洋プラスチックの問題も、魚の生息数減少の問題も、漁業者の収入や後継の問題も、その現状を知らないか、知っていても何をすれば良いかわからないという人が多いように思います。これは人々が水産物や海の問題に興味を持たなくなっていることも問題であるとは思いますが、それと同時に海の問題について情報を人々の元に届けられる発信源が少ないことも問題であると思います。

海の問題に関わる人々はそれぞれ異なる分野から解決に取り組むとしても、その根底には海や魚が好きだという思いが共通してあると思っています。実際に私も、苗字に刻まれているように魚が好きです。私は現在直接海の問題に関わっていない人たちも、海や魚のことが好きになれば興味を持つようになると考えています。そして同時に海の問題についての正しい情報を伝えられれば、世の中の海の問題への意識は大きく変わっていくように思います。今回のプログラムのレストランの運営が提供する「おいしさ」はその両方を実現する可能性が十分に秘められているものだと思っているので、本プログラムでは味によってその両方を叶えられるような企画をやってみたいと考えています。


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