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ピンチをアドリブで乗り越える技 36/100(即興術04) -落ち着き

自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。


クーリングダウン

昨日は、思考回転速度を速めるためのエクササイズをご紹介しました。

今日はその逆、いや、逆というか、正確には、思考回路の話ではなく、気分の問題かもしれません。

即興劇においては、思考回路は、できるだけ早い必要がありますが、気持ちは落ち着いている必要があります。

重心が下がっている状態(28/100参照)にも通じると思うのですが、脳は高速回転していても、腹は座っている。
こんな状態が理想だと思います。

リハーサルを始める前、もしくは本番前にメンバーが集合した時、何故か無駄にテンションが高かったり、全体の雰囲気がどこか、そわそわしていたり、上ついている時があります。

これって結構良くない状態で、シーンが空回りしたり、メンバー同士が噛み合わない、話が飛躍しすぎて繋がらない、という様なことが起きます。

あなたの周りでも、こんな状況、思い当たりませんか?

そんな時に、私たちが行うエキササイズを2つご紹介します。

まずは「カウンティング」。

数を数えていくだけのエキササイズです。

グループで輪になります。そして1から順に、みんなで数えていきます。

でも、ひとり以上が同時に数字を言っては行けません。

沈黙…
…イチ
沈黙
沈黙…
ニ、サン
沈黙…
…ヨン


アウト!
みたいな感じです。

分かりますか??

常に、声を発せられるのは一人だけ。
その状態で15とか20、30まで数えていきます。

誰かの勝ち負けではなく、全体でどれだけ多く数えられるか、というゲームです。

結果的に、各自神経を尖らせて、些細な予兆に気を配りながら、場を読む事になります。

同時に、今!と思った時に次の数字を言う度胸も求められます。(16/100参照)

まさに傾聴と度胸、そして空間を掴む訓練になります。(22/100参照)
逃すと他の人も声を発するので、重なってしまいます。

これをすると、場の空気が落ち着きます。みな精神統一し、無音から微かな息遣いを、聴き取ろうとします。

もう一つは、「まばたき殺人鬼」です。

人狼ゲーム的なのですが、事前に一人、殺人鬼を決めておきます。他の人たちは誰が殺人鬼か知りません。(複数いてもok)

殺人鬼は、誰かと目が合った時に、まばたきをして相手を殺します。

殺されたら、それぞれ工夫を凝らした方法で死にます。(取り憑かれて、自ら毒薬を飲む、とか)

他の人たちは、自分が殺される前に、殺人鬼を特定しなくてはいけません。

輪になって、ゲームを開始すると、皆キョロキョロと目線を合わせることになります。

殺人鬼は、他の人に見つかってはいけないので、目が合っても、まだたきをするのを、見送ったりするわけです。

このゲームは色々なバージョンがあるらしいのですが、私達がやっていたのはこのバージョンです。

正直言って、ルールも勝ち負けも、私達にとってはどーでもいいんです!

目線を交わして、落ち着くことが目的だからです。

たしか、演劇学校でこのゲームを行った時は、歩き回りながらやるバージョンでした。
それを、私たちは輪になってやる様に変更した覚えがあります。

もちろんゲームの難易度は上がります。でも、それによってチームの一体感が得られるゲームに様変わりしました。

本番直前には、この2つのゲームで得る感覚を呼び覚ますように、ただ輪になって無言で、目線を交わし合うだけを行っていました。

これらのゲームの目的は、クーリングダウン。気分を落ち着かせるところにあります。

大事な商談の前など、気の知れた同僚と、相手の目を盗んで、無言で目線を交わし合うだけで、落ち着きと一体感、自信を奮い立たせることは可能です。

そんな関係が築けたら、素敵ですよね!


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