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どうなのアマゾン? ラグジュアリーも制覇してる?

もうちょっと前のことではあるけれど、10月13日&14日に世界19ヶ国で開催されたアマゾンの有料会員向けセール「プライムデー」が過去最高額の3,600億円を記録、というニュースが流れた。これはアマゾンが発表した全売上高のことではなく、出店業者が開示した売上高ではあるのだけれど、それでも前年比60%増、とのこと。新型コロナウイルスの影響で自由に外出できない影響からか、ECでの消費が加速度的に飛躍したことを如実に物語っている。

また、通常このセールはこれまで7月に開催されてきたが、今年は秋に延長したことでホリデーシーズンの需要を捉えたことも売上に貢献したと言われている。そんな絶好調のアマゾンだが、いまだに完全には踏み込めていない領域がある。それが、ラグジュアリーだ。

●高級志向の購買体験を訴求するも、なんだか迷走してない?

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アマゾンはラグジュアリーブランドを取り扱うアプリ「ラグジュアリーストア」を今秋オープンした。ただ、現在は招待された人のみが利用可能ということで、アメリカのプライム会員の中でアマゾンから招待メールを受け取った人のみショッピングを楽しむことができる。また招待されていない人も、アメリカのプライム会員であれば、アマゾンのサイトからリクエストができるとのこと。これ、どなたかもう試した方いないかな? 私はリクエストしたものの、ずーっとシカト状態である(汗)。

アマゾンと言えばとにかくお手軽で、いつでも、欲しいものが手に入る。そんな使いやすさ、信頼性の高さから基本的に誰もが利用するサイトになった。もう、とっても巨大に。とはいえ、ラグジュアリーの世界には独特の排他的な境界線が存在する。良くも悪くも、少々ナゾなピラミッドが存在する。そこには目に見えない阿吽の呼吸があって、アマゾンでも境界線を踏み誤るとちょっとイタい。

で、ラインナップを見ると最初に「ラグジュアリーストア」で販売された主力ブランドは、オスカー デ ラ レンタ。今回は同ブランドの2020年プレ・フォールコレクションとブティック及び公式サイトのみで販売されている2020-21年秋冬コレクションがアマゾンから購入できるそうだ。ふむ。

また、ラ ペルラといった高級ランジェリーや、海外ではセレブリティにも人気が高いローランド ムレの取り扱いもあるそうで。リヴィーブのスキンケアもある。「ラグジュアリーストア」は参加ブランドの自由度が高く、アプリ内の店舗や商品ラインナップ、そして販売数量やプライス、セールのタイミングの決定権もブランド側にあるそうだ。デザインや"View in 360"という360度どこからでもディテールやフィット感がよりわかりやすいインタラクティブな機能もついていて、画期的であり遊び心もある。

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とはいえ、ローンチ段階でラインナップのブランドがこれだけ、というのはなんだか少々残念。だって、あの、「アマゾン」ですよ?

そうはいっても、これまでラグジュアリーブランドを導入しようとするアマゾンの試みにはブランド側からの反発と抵抗が常にあったそう。誰でも、気軽に、安く、購入できるアマゾンは、ラグジュアリーブランドから見れば庶民的でブランドイメージに馴染まないのである。

そうはいっても今年は状況が違う。パンデミックによって、ラグジュアリーブランド側も今後の計画を見直し、現在の危機的な状況の中で収益を増やすチャンスを探している。そこで、アマゾンが自らの巨大な売り場規模を強みに、ハイエンドなブランドと提携しようとしているわけだが、アメリカに約1億2,000万人ものプライム会員がいるのであれば、招待制ではなく、もっと間口を広く解放するべきなのではないのだろうか。もったいぶってないで。まぁ色々事情があるのでしょうが。

もちろん、招待制にすることで“誰でも購入できる=高級感がない”という課題は今のところ解決されているが、肝心のアマゾンならではの強みであるプラットフォーム、集客力を活かせないのでは、かえってブランド側にとってもアマゾンにとっても消化不良のような気がする。また、ブランドのラインナップも正直アレ。。? 今だったら、ボッテガ ヴェネタとか、ヴァレンティノとか、新たなクリエイティブディレクターにマシュー・ウィリアムズを迎えたジバンシィとか。そのあたりの“IT”な(もはや死語?)ブランドが入っていたら、話題性と影響力のパワーはより強大となり、日本にももっと風の噂が入ってきそうなものだ。んー、ラグジュアリーって難しい。アメリカではそれなりに受け入れられているのかもしれないけれど。

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