中原直人

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最近の記事

映画”King Richard” 王国を貫く強き母の愛

映画”King Richard”、遅ればせながら観ました。評判どおり、素晴らしく面白かったです。自分が中学以来テニスをやってきたということもありますが、最初から最後まで一気に観させる映画でした。日本語での映画タイトルは「ドリームプラン」となっていて、映画の内容は、確かに、スリリングで感動的なストーリーでした。 今更紹介するまでもないですが、コンプトンというカリフォルニアの小さな黒人コミュニティから、テニス経験も皆無の父リチャードが二人の娘ビーナスとセリーナをテニスの世界チャ

    • まさに「日本の役人」の鑑? 藤原不比等

      橋本治の「権力の日本人」をまたまた読んでます。今回再読しようと思ったきっかけは、ミーハーに「光る君へ」を毎週見ていたら、「そういえば、『平安時代が平安だったのは、奈良時代の皇女の暴走に凝りて、それをきちんと藤原氏がコントロールするようになったから』だというような説明が、たしか同書にあったよな」と思いだし、「具体的にどういうことだったっけ」と思って読みだしたんですが、読んでる間に、藤原不比等って、まさに「日本の役人」の鑑だよなぁって思うに至ったのです。 不比等のなにが「日本の

      • 安藤忠雄 「住吉の長屋」

        「なぜ好きなのか」探究シリーズ 1  「住吉の長屋」をはじめて知ったのは、たしか大学生の頃、雑誌Pen(だったと思う。自信ないけど)で「美しい家」のような企画が掲載された時だと思う。とにかく、最初に思ったのは「美しい・・・、美しすぎる」ということである。  もちろん、とても狭い敷地にもかかわらず屋根のない中庭を建物の中央に突っ込むという大胆な着想、外壁には玄関以外一切開口部をつくらないという潔さ、建物内部に設けられた開口部の統一感のある美観、家の中の導線に必ずしも屋根がな

        • 橋本治「権力の日本人」&「院政の日本人」とインテリジェンス

          橋本治さんの「権力の日本人」と「院政の日本人」は、わたしが大好きな本ですが、インテリジェンスのあり方を示す好例でもあります。特にわたしが気に入っている箇所の一つは、「権力の日本人」の第6章「主権者の欲望」です。 小学校から高校にかけて、日本史の勉強をする中で、「院政」は必ずとりあげられるトピックだと思います。そして、院政はなぜ始まったのかということについては、まずほぼ全ての教科書で、『後三条天皇(だったり白河天皇)が摂関家から天皇親政へと権力を奪還するために荘園整理令を出し

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          映画"CASSHERN"もやっぱり好き

          家にいると、ネットで映画を見ちゃったりします。それで再確認してしまったのが、"CASSHERN"が大好きなことです。つっても、全体としていい映画なのかと問われると、「・・・」となってしまいますけど(例えば、"Life Is Beautiful"とかだと、「いい映画だと思います!」と即答します)。じゃあ、何が好きなのかというと、4つのシーンが好き、しかも中毒か、というくらい好きです(映画見てるって言っても、この4つのシーン以外は飛ばして見てる(笑。すいません))。 一つ目は、

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          やっぱりエディーが好き

           わたしは、「おうちギタリスト(半分)」です。以前は、(半分)はなかったんですけど、去年の夏頃から、ギターを習いに行っており、完全に「おうち」ではなくなってしまったので、(半分)です。  教えてもらうのって、楽しいですね。今教えてもらっている先生は、リズムにとてもシビアな人で、それが本当に面白いです。  そんでもって、以前からわたしは、エドワード・ヴァン・ヘイレンが大好きなんですけど、最近、ますますドップリはまってしまってます。そのキッカケになったのも、先生が"You R

          やっぱりエディーが好き

          「伝統」と「伝統的」

          ジャパン・ハウスという事業に従事していた頃に考えさせられたことの一つに,この「伝統」と「伝統的」の違いがある。 これを教えてくれたのは,ジャパン・ハウス・ロンドンの企画局長をしているサイモン・ライトだった。ちょっと正確に思い出せないが,たしか,ジャパン・ハウス・サンパウロもまだオープンしていない2016年5月,ロンドン,サンパウロ,ロサンゼルスの3拠点の中心メンバーに東京に集まってもらい,プロジェクトについてあれこれと議論していたときだったかと思う。 サイモンが指摘したの

          「伝統」と「伝統的」

          「見せたい日本」か「見たい日本」か

          日本紹介、「日本を見せる」という試みが、あっちでもこっちでも花盛りのように見える。わたしも、そのような類の仕事に関わったことのある人間の一人として、わたし自身は散々頭を悩ませたが、世間では、まだあまり論じられていないように感じられるポイントを一つ書き記しておきたい。 わたしは、2015年9月から約2年間、外務省で戦略的対外発信拠点室長というポストを務め、「ジャパン・ハウス」というプロジェクトの始動を担当した。このプロジェクトは、外務省としても政府としても、全く新しい試みであ

          「見せたい日本」か「見たい日本」か