『紅葉と親父』
作演出 高倉良文

キャスト
親父……朴贊革
登坂一……山田盛生
吉之久司……宮崎大和
田辺議員……杉田麻由香
元木大介(店長)……谷口裕幸
木山空……藍田めぐみ
北西仁……船井進

～前説が終わると登坂が一人立っている

登坂　もしもし、ごめん寝てたよね？悪い、結局今日行けなかった、せっかくお義母さんも予定合わせてくれてたのに、ごめん、え？ああ、明日早いよね？切るわおやすみ

～TELを切る

登坂　終電終わってるよな……

～回想に入る音が鳴り登坂の回想シーン

元木　登坂！お前もいよいよ結婚か～！

登坂　先輩早いすよ、まだオッケー貰ってないですから

元木　何言ってんだ！明日は先方のお義母さんが上京して来るんだろ？しっかり挨拶しないとな！

登坂　たまたま旅行でこっち来るだけですよ

元木　お前も30なんだからそろそろ所帯を持たんとな、議員秘書としても一皮剥ける時期だぞ、まあそういう俺は未だに未婚だけどな！あーーはっはっはっは！！！！！

登坂　先輩うるさいっす、人がこっち見てますよ

元木　まあとにかく頑張れ、ところでそろそろ先生の会見終わる頃だ、また遅れるとまずいぞ

登坂　ヤバい、先輩また！

～登坂は後ろに下がる、残った元木は一息ついて背伸びをしている、そこに週刊誌記者の木山空がやってくる

木山　どーも

元木　またあんたかよ、週刊誌も大変だな

木山　いやいや大変なのは今の方でしょ

元木　そこ？いつもおもうけど最近の週刊誌は目の付け所が良いね

木山　恐れ入ります、田辺代議士の秘書の方は毎回チェック怠らないようにしてましたから

元木　…まあ正解だな、腰を折って悪いが俺は何も知らないからな

木山　またまた～、元木さんが何も知らないわけないですよね？2012年に当選してから田辺代議士の一番最初の秘書を務めた～元木さん、あれから15人も秘書の方変わってますよね～

元木　……人にはさ、触れてほしくない過去ってあるんだよ、ま、あんたらにはぬかに釘か

木山　はい！ぬかに釘、馬の耳に念仏です

元木　…謝礼はもらうからな

木山　もちろんっす！ちなみに元木さんが思ってらっしゃるより高いですよ

元木　儲かってんだな

木山　はい！！！ここ数年で業績はうなぎ登りです、芸能人も国会議員も皆さんプライベートはムチャされてますからね～

元木　真面目な話だが

木山　はい？

元木　あいつ大学出てすぐに飛び込んで来てな、コネも地盤も何にもない所から議員秘書になった！あいつには夢があるんだ、こんな所でつぶれて欲しくない

木山　はあ

元木　俺はあんたに情報を提供する

木山　ありがとうございます！

元木　報酬はいらん

木山　え？

元木　あいつの事助けてやってくれ

～登坂はゆっくり歩いてくる

木山　人助けですね？

元木　そうだ、人を潰す事しかしない週刊誌さんに出来るかな？

木山　かしこまりました、人を潰すプロはね、人を救うプロでもありますから

元木　信じるぞ

木山　はあい！！

～二人はハケていく、回想シーン終わる音がして登坂は駅前でうなだれている、そこに『家ついていって良いですか？』と書かれたボードを持った男が現れる、名を北西仁