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「安定志向」という名のリスク

ROM 安永周平

以前、ユニクロの監査役を務める安本隆晴さんの著書『伸びる会社をつくる起業の教科書』を読んでいたら、少なからず共感したことがあります。何かというと…

「日本の大学生はいまだに安定志向で、大企業や官公庁への就職を希望する人達が圧倒的に多いといいます。しかし、それで本当に自分の人生をコントロールできるのでしょうか。どんな大企業でも経営努力を怠れば、突然死することだってあり得ます。勤めて一生安泰な企業というのも存在しなくなりました。それが今の社会の常識です。」

安本さんがこの本を出版したのが2013年の9月。それから3年も経たない2016年3月、SHARPが鴻海に買収されました。さらに1年後の2017年2月、東芝が東証1部から2部に降格し、長年務めてきた「サザエさん」のスポンサーを降板するという事態にまでなりました。僕も大学の同期や先輩が東芝にいましたが、転職した人も多いです。

「一生安泰」の会社など存在しない


数年前、金融機関で「東芝の社員です」と言えば、どんな審査でも間違いなく通してもらえたでしょう。しかし現在、余裕で通過すると思っていた住宅ローンの審査が通らない…ということが実際に起こっているそうです。こう考えると、「大企業に入ったから一生安泰」なんていうのは、もはや幻想に過ぎません。それでも日本の大学生は、いまだに大多数が大企業への就職を希望します(※僕も10年以上前、その1人だったのですが…^^;)

一方で、中国人をはじめとした外国人学生の中には、最初から「起業」を前提として、そのための「勉強期間」として会社に就職する人も多いそうです。もちろん、誰もが起業で上手くいくわけではありませんし、ベンチャーやスタートアップ企業で働くという手もあります。いずれにしても、正しいマインドセットがあれば、必要な知識はあとからついてくるもの。そして、「これからの時代、一生会社に勤め続けるよりも起業したほうがリスクは小さい」というのが先の安本さんの考えです。

起業したいけど「アイデア」がない?


ただ、こんな話をするとあなたは「起業したいとは思っているけど、どんなビジネスをすればいいのか分からない」とか、「どうやってアイデアを出せばいいのか?」と思うかもしれません。もちろん、最初から揺るぎないミッションを持っている人は稀ですし、100%成功するアイデアなんてものも存在しません。

しかし、どんな事業でも「顧客を見つけて商品・サービスを販売する」という基本は変わりません(※だからこそ、商品だけ決めて、セールスについて何も知らないまま起業するのは自殺行為だと思います)。そのため、こうした基本を押さえたうえでアイデアを出すことが必要となるでしょう。

アイデアをつくる一般的な原理


では、新しいアイデアを創り出す一般的原理はあるのでしょうか?名著『アイデアのつくり方』で有名なジェームス・W・ヤング氏によれば、それは、次の2点に要約できます。

①アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない

②既存の要素を新しい1つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい。事物の関連性を素早く見つけ出す人の心には、言葉の使用に関してアイデアが生まれる。事実と事実の間の関連性を探ろうとする心の習性がアイデア作成には最も大切であり、これは練習次第でできるようになる。

アイデア=既存の知識の組み合わせ


つまり、アイデアというのは「あなたが既に持っている知識」を組み合わせてできるものであり、全くのゼロから何かを生み出す必要はないということです(ちなみにソフトバンク創業者の孫正義さんも同じようなことを言っています)。そして面白いもので、ヤング氏とほぼ同じような結論を唱えている名著があります。それは、1974年に出版された唐津一氏の著書『販売の科学』です。ちょっと引用すると…

「どのように素晴らしい知恵でも、結局はその人がこれまでに知っていたことの、新しい組み合わせの発見である。(中略)その内容を図面にするとか、人に伝えるとかいった時には、結局はその人がこれまでに知っていた言葉とか方法、道具などを組み合わせるより方法はない。知らないことは知らないのであって、それを知恵の中に組み込むことは無理である。つまり知恵とはその人がこれまでに持っていた情報の新しい組み合わせの発見である。」

これは本当にそう思います。というのも、僕自身も新商品をリリースする時なんかは、これまでの経験や事例として既に持っている様々なプロモーションやセールスコピーの知識を「組み合わせて」新たなアイデアをつくって実行に移します。その方が上手くいく可能性が高いことを経験的に知っているからです。

まずは知識・事例の「インプット」が必要


賢明なあなたはお気付きだと思いますが…要はアイデアを生み出すためには、まずは知識や事例の「インプット」が必要不可欠だということです。よく「アウトプットが重要だ」なんて言われますが、そもそもインプットがなければアウトプットもクソもありません。

そして、もちろん「良質な」インプットでなくては意味がありません。インプットする知識の質が悪ければ、アウトプットの質も悪くなるのは当然のことです。良質な知識・事例を数多く脳にインプットすることによって、眠っている間にそれらが無意識、潜在意識の中で自動的に整理されて「良質なアイデア」としてアウトプットされるのです(※人間の脳ってスゴい♪)。

豊富な事例がアイデアを生む


ですから、もしあなたが起業、あるいは新規事業のアイデアを考えているのなら…既に成功しているビジネスの事例を数多く学んでみてはいかがでしょうか。もちろん1日や2日で何かが変わるわけではありません。しかし、質のいい事例のインプットを続けている人とそうでない人との間には、結果として生み出すアイデアの質に大きな差が出てくるはずです。どうせなら、いいアイデアでスタートしたいと思うのは自然なことですからね。

PS
『月刊GO-GIVERS』の何がいいかって、良質な事例のインプットが自動的にできることです。毎回ボブが招くゲストは、既に事業を成功させているGIVERばかり。たとえば、中にはこんなビックリな事例もあります…

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