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「時間」を意識せず「行動」で自己管理する

自分は誰よりも働いている」と思っている、私のようなあなた。実はそうでもないかもしれません。自分がイメージしている労働時間と、実際の労働時間との間には実に、週20時間もの誤差があると言われています。「自分は周りの人よりも働いている」と答えた人ほど、誤差が広がることも傾向としてわかっています。

ではひるがえって、労働の「内容」を考えてみてください。あれもこれもと「やることが多い」と感じている場合は要注意。やることが多くても生産性が低ければ、費用対効果という点であなたの評価は低く見積もられてしまう。ですが当の本人は「安心感」があったりするものです。やることが目の前にたくさんある幸せ。「働いている感」を手軽に得られます(猛省中)

ワルシャワ大学の研究では、「忙しい」と口に出すたびに、目の前の仕事に集中できなくなることが報告されています。意識が過去や未来に向かってしまって「今この瞬間」をおろそかに。「やることが少ない」ほど生産性が高いことは、多くの研究で明らかにされてきました。週25時間の勤務をする人は、週5時間勤務の人と生産性はほぼ変わりません。週35時間の勤務になると、週20時間勤務する人より50%も生産性が下がってしまいます。ドイツの年間労働時間は1300時間で日本の約8割。ですがドイツの生産性は50%も日本より優秀です。

かつての日本は、国をあげて猛烈に働きまくって経済成長を果たし、世界トップクラスのGDPを叩き出しました。「気合でなんとかする」という風潮は今も残っているような気がします。個人的には「気合いでなんとかする」というメンタルは嫌いではなくむしろ好きなのですが、だからといって長時間労働を是とすべきかは疑問。短時間で生産性を高めて、もっと働きたければ好きにすれば?というスタンスが理想です。単位時間あたりの生産性を高めることが何よりも大事。

ではなぜ長時間労働が好ましくない生産性につながるかといえば、それは認知機能の問題です。認知機能は心理学用語で、対象を知覚して、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと。週の労働時間が30時間を超えると認知機能にマイナスが出始め、60時間を超えてしまうと、全く働いていない人と同じ程度まで認知機能が下がると言われています。

週に35時間ずつ働く人は生産性が安定し、60時間を超えて働く人は、2週目から生産性が落ちていきます。50時間前後の勤務時間で脳卒中のリスクが高まり、心筋梗塞のリスクは13%も上がります。成果を出したければ働け!という高度経済成長時代の常識は、実は生産的ではない上にリスクもある、ということでしょうか。

時間が足りない人。いつも焦っている人。遅くまで長時間働き詰めの人。睡眠時間が削られて日中ぼーっとしている人。そういった人たちはいざというときに、焦りとパニックを感じて生産性を大きく低下させてしまう。結果として何もかもがうまくいきません。

時間に追われる生活ではなく、「行動」で自己管理をする生活に。だからこそ毎朝のルーチンは大切にしたい。短時間で生産性を高められれば、時計すらも必要なくなるはずです。と、そんな理想を掲げながら時間に追われる毎日からの脱却を胸に誓っているところです。

久保大輔




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