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なぜ「副業」はやるべきなのか?


副業はすべきか否か。近年、働き方の自由度があがってきて、副業を手掛ける人も増えてきました。求人欄には「副業」の文字が目につきます。でもよくよく考えてみると、「なぜ副業?」という問いに明確に答えられていないような気がします。ただシンプルにお金がほしいだけ?でもそれだったら副業せずに現職でがんばって昇給を狙うのもあり?

ピーター・ドラッカーさんは、「予期せぬ成功」についてこう語っています。

「新事業が成功するのは、もともと想定していなかった市場であるケースがほとんど。予想外の市場や隠れた市場を生かす備えをしておかなければ、チャンスをみすみす逃すことになる」

予期せぬ成功は「機会」であり、予期せぬ成功を追求することが成功の可能性を高めると経営者に説きました。人生は予測不可能なイベントの連続。事前の計画どおりに進むことはそう多くありません。なので組織の事業にしても、個人の人生やキャリアにおいても、事前に細かく考えるよりも「大きな方向性」を定め、偶然や予期せぬ出来事に備えて、あらゆる努力を怠らないという姿勢が大切だと思います。

スタンフォード大学のジョン・クランボルツさんは、「キャリアの80%は思いがけない出来事で決まる」と推定。キャリア選びが思い通りに進むケースは2割程度で、残りの8割は思いがけぬ出会いや予期せぬイベントに左右されると報告しています。無計画のままテキトーに生きるのではなく、かといって綿密に細部まで計画して幻想を抱くこともなく、大きな方向性だけ決めて目の前の選択肢について熟考したら、あとは流れに身を任せる。

副業に使う時間があるくらいなら本業に専念すべき。日本ではこういった考えがまだ主流なのかもしれません。そして、「べき論」の特徴は保守主義なところ。安定、秩序、既得権を守りたい。既得権を侵害されることを意識的、あるいは無意識的にわかっていて反対する人も少なくありません。新しいこと、変化に反対します。

べき論の本質は、保守主義と自己都合。べき論の立場から議論してしまうと、時代の流れに乗れず、時代の流れのなかで敗れ去る運命が待っていそうです。時代の流れを見通し、流れの変化を早く察知し、時代の流れに合わせて考えと行動を変えていかなければなりません。

話しがあちこちにブレてますので一旦戻しますと、副業の本質は「社会資本と人的資本の増強」 一企業に勤めてその中でずっと定年まで過ごすということは、その人のスキル知識(人的資本)や、人脈、評判信用(社会資本)のほとんどがその企業内に蓄積されるという意味。

ところが、この人的資本や社会資本は、その会社を離れてしまうと大きく目減りしてしまうという弱点があります。つまり、仮に定年を迎えて企業を退職、でも年金がもらえないからまだどこかで働く必要があるとなった場合(この未来はかなり確度が高い)、一企業で勤め上げた人の資本のバランスシートは極めて脆弱になってしまう。いま皆さんが、いきなり会社をクビになって外に放り出されたらどうでしょうか?スキルや知識、人脈や信用は他社でも十分通用する準備ができていますでしょうか?

副業はすべきではない。副業禁止!企業が社員にそう言いたくなるのは、会社の「外側」で資本の積み増しをされてしまったら、いつ辞められるか心配。そんな感情が働いていそうです。いいかえると企業は、会社内にだけ個人の資本をとどめておくことで(副業禁止にすることで)「いつでも出ていける」社員を作らないようにしているのかもしれません。

ドラッカーよろしく、人生は何が起きるか分かりません。クランボルツいわく、偶然の積み重ねでキャリアは決まります。突然襲ってきたコロナによって、飲食業、航空業界、旅行業界は大打撃を受けました。そんな「予期せぬ事態」を想定して、いかに準備、独自に努力してきたかがいま、強く問われています。コロナ後、また同じような、もしくはさらに強烈な「何か」が襲って来るやもしれません。上に挙げた業界じゃないから一安心。そんな悠長に構えていられるほど、私たちは甘い時代に生きていないと思います。

であるならば、予期せぬ事態に備える一つの手だてとして、「副業」は検討に十分値すると思われます。何かが起きてからでは遅い。平時に何を考え、何をするか。一日24時間のうち、1時間でも2時間でも、未来に向けた投資をする。副業でなくても、予期せぬ成功を手にいれる人は、しっかりと準備しているはずです。

久保大輔




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