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1789 ~バスティーユの恋人たち~

2023年8月27日、星組東京公演はコロナ禍による中止、主演の礼真琴が休演し暁千星が代役を務めるなど波乱に充ちた期間を過ごし千秋楽を迎えました。暁千星は初演でフェルセン役を務め、新人公演初主演でロナンを演じ彼女にとって縁と思い出深い作品だと思います。

上演したのは『1789 ~バスティーユの恋人たち~』です。2012年に初演されたフランスのロックミュージカルでフランス革命前夜、バスティーユ牢獄を通じて出会った男女を中心とした物語です。日本での初演は2015年、宝塚歌劇団月組です。今回の星組は再演に当たり礼真琴が主役のロナンに挑みました。

作品の紹介と初演の感想を述べます。


概要

『1789 ~バスティーユの恋人たち~』(以下、『1789』)はフランスの作曲家トーヴ・アチアとアルベール・コーエンが手掛けたミュージカルで2012年に初演されフランス国内で大ヒットしました。先ほど触れましたが日本での初演は2015年、宝塚歌劇団で上演され小池修一郎が潤色・演出を担当しました。その後、東宝で再演され、2023年、8年ぶりに宝塚で再演されました。

物語の舞台はブルボン朝ルイ16世治世の時代、父親を貴族によって殺害された農民の青年ロナン・マズリエはバスティーユ牢獄看守の娘オランプ・デュ・ビュジェと出会い、やがて二人の間に愛が生まれフランス革命の渦に巻き込まれます。

ロナンを中心とする平民の他にオランプが家庭教師を勤める宮廷にはマリー・アントワネットやルイ16世、オランプを執拗に狙うアルトワ伯(後のシャルル7世)が登場し市民と宮廷の二極性が見事に現しています。

楽曲はフレンチロックに溢れ、特に「サ・イラ・モナムール」は代表的でロベスピエールが力強く歌うプロモーションビデオが登場するほど『1789』に欠かせない楽曲です。

また『1789』にはニュージーランドのマオリ族舞踊・ハカが取り入れられ民衆が怒りを表す場面やPVで衛兵隊が踊る場面で登場します。


初演の感想

初演を観に行きました。日本初演であると同時に101期生初舞台公演でもあります。初演当時、月組の2番手が確定しておらず凪七瑠海、美弥るりか、珠城りょうが主要な役を演じていました(2番手は後に珠城りょうに決まりました。)。またマリー・アントワネットが愛希れいかが演じるといったトップスター・トップ娘役が一切絡まない珍しい作品でした。本来のヒロイン・オランプは早乙女わかばと海乃美月が交代で演じていました。男役の役替りはよくありますが娘役の役替りは稀です。ロナンの妹・ソレーヌ役も同様で花陽みら・晴音アキでした。オランプが本来の役割に戻るのは8年後の2023年、星組での再演で舞空瞳が務めました(その後、東宝版では本来のヒロイン枠で夢咲ねね・神田沙也加の役替りでした)。マリー・アントワネットはこの再演で退団した有沙瞳でした。

フィナーレは見慣れたパリレビューで評判は芳しくなく、配役に沿った衣装でのパレードをしてほしかったです。

でも本編は『ベルサイユのばら』とは違う市民の力強さを伝わっていました。

※ 2023. 9.13 追記


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