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マンガの原稿料、超高いですよいま!

ちょっと前の記事なのですがどうしても気になったもので……。

レジェンド漫画家・遊人氏が原画を大量ヤフオク出品!背景に漫画界への憂い「安い原稿料で質の低い作品が溢れる」

というタイトルで「ANGEL」の遊人先生が生原稿をヤフオクで売った話から、漫画の原稿料が安いという話などにつなげてるのですが……

いやいやいやいやいやいや

漫画の原稿料、今めちゃくちゃ高くなってますよ????

というわけで本日はそういった原稿料など作家さんへ支払うお金のお話を。

まず、遊人先生には前職でお世話になってたこともあり(エロシネマコミック的なお姉さんがえっちな感じの写真を撮ってコマにはめていってマンガにするという作品のネーム原作いただいてたんですよね。若手の下働き時代に手伝ってました。超懐かしい)、当然まったく含むところはございませんし、そもそもこの記事「原稿料が安い」というところ以外はすべてその通りと言っていい内容かと思います。

例えば生原稿を売ったのは保管の問題と話されてる。
30年間描き溜めた原稿がトラック1台分くらいあるとのことで、もちろんそれを個人で管理するのはそりゃ大変でしょう。ところで、これは違った角度のデジタル化の影響もあって、何かというと昔は新しい印刷物(愛蔵版とか特集への再収録とか)を作るときはいちいち生原稿から印刷所で版を作らなければならなかったので、原則として原稿は出版社預かりでした。それがデジタル化によりもう生原稿が必要じゃなくなったので、今は基本的に一度データに取り込んだらお返しするようになったんですよね。遊人先生もある日突然、超大量の原稿が返されてきたりしたんじゃないでしょうか。

遊人先生も記事内で触れていますが、そんなわけで生原稿を売っちゃっても作品の出版にはなんの問題もないわけです。だったら保管も大変だし高く売れるのだから売っちゃえば先生も読者もハッピーだと。その通りだろうなあと思います。

何より

「ANGEL」

といえば描いていることはギャグ多めのライトなエロコメディなのにそのとんでもない画力がゆえ「えっちすぎて」掲載誌のヤングサンデーでは強制休載になり、小学館発行なのに単行本が回収絶版にまで追い込まれた伝説的作品。美少女漫画、いやすべての漫画の歴史に燦然と輝く脅威の画力の生原稿……欲しいですよそれは。(↓マンガはちょうど今DMM.comで得意の50%ポイント還元中)

NFTやらを使ってこれからは原稿料はいらないから個人で好きなものを描いて世界に発信していく話とか、まさに今のマーケットはそういったインディーズと商業が併存していく時代。まだまだお気持ちと理解力が最前線ですごいなあ、とさえ思います。

ただ、唯一ひっかかるのが

「今は雑誌が売れない時代。出版社の体力がなくなって原稿料が安い」
「一方で電子書籍の漫画の世界では出版社が印税を払わず、作品を買い取るなんてケースが増えていると聞きます」
「この先、電子書籍の漫画は安い原稿料で描かれた質の低い漫画で溢れ返るんじゃないですかね」


のところ。

先生!さすがにその知識はだいぶ古いです……!!!

確かに紙の雑誌は売れてませんが、特に漫画が中心の出版社はみなさまご存じのとおり超好景気。そもそも体力がだいぶ充実しております。そして好景気ということは漫画がとてもたくさん売れている状態。だから、もっとたくさんの漫画が必要で、となると起こるのが漫画家さんの奪い合いです。で、奪い合いが起こると…当然条件は高騰していきます。
つまり原稿料は上がる。

また印税もすごいです。漫画のマーケットが紙だけで3−4000億円くらいの時代はその10%、3−400億円が漫画さんに印税として分配されていた計算になりますが、今はそれに加えて電子書籍が6000億円市場になったのでその作家さんの取り分はざっくり20%くらいとすれば1200億円。出版社が作家さんに支払う印税の総額はこの数年で3倍になったんです。

そう、電子書籍も絶好調です。確かに電子書籍の黎明期、出版社じゃないプレイヤーが続々と市場に参入してきた時に、商慣習の違いなんかもあって印税を払わないとか著作権を作家さんから奪うとか劣悪な条件で契約するとかもあったことは事実ですが、何せ今は漫画家さんの超奪い合いです。さらにSNSなどで情報を入手することも容易になりました(そういったことが得意な若手の漫画家さんが増えていることもあります)ので情報のないのにつけ込んで悪い条件で…みたいなことも激減していると感じます。毎年毎年、作家さんの方に条件良くなってる印象ですよ!

バブルの頃などに超高額な原稿料があったらしいことなどは聞きますが、天井ではなくて平均でいえば今が一番原稿料高いんじゃないですかね???

高いんですよ遊人先生!!!!!


……とはいえです。
遊人先生に古いです!と申し上げてはいるのですが確かにほんの10年前は遊人先生がおっしゃるような状態もないわけではなかったんです。思えばはい。10年前はめちゃくちゃこの業界景気が悪かった……。

この10年間でめちゃくちゃ変わったんだよなあ漫画業界、ということを思い出させてくれる記事でもありました。面白いところに目をつけてくれてありがとうFLASHさん。そういえばFLASHさんの発売元の光文社さんも漫画事業始めてるんですよ。10年前には光文社さんがこんなふうにマンガやるなんてみんな思ってもいなかったでしょう(実は光文社さんのマンガ事業の歴史は長いのですがそんなことを知っている人はこの世に10人くらいでしょうさ)。

コミック熱帯



盛り上がってるぜマンガ!

そして最後にちょうど景気のいい感じのニュースが本日。

小学館が新人マンガ家を支援…「準備金」最大200万円支給で新たな才能発掘へ

いやほんとに漫画家さんにお支払いするお金は激増してるんです。
そして、これからここに海外と日本の大企業が続々参入してくるんですよ。
もっとすごいことになっちゃうんじゃないの……???

なんにせよマンガの未来はアツいけどビジネスしてる方は色々大変だ!

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