革新的商品の生まれる背景とは?

いわゆるイノベーションを起こす商品です。
さて、ある日突然、出来上がるものなのでしょうか。
往々にして全く新しいもの、今までになかったものと考えがちですが、いろんな伏線があって初めてイノベーションが起こるということを考察しました。

まずは以下の本の記述を見てみましょう。

「経済学を味わう」日本評論社 02市場の力、政府の役割 公共経済学 小川 光
(以下引用)
『1 はじめに
1980年にアメリカの公共放送で「選択の自由 (Free to Choose)」という番組が放送された。その中で、1976年にノーべル経済学賞を受賞したミルトン,フリードマン教授が、詩人レオナルド,リードによる "I, Pencil" という詩をもとに、「1本の鉛筆」と題した話をしている”。
 彼は、私たちもなじみのある頭に消しゴムのついた黄色い鉛筆を取り出して、こう言う。
「世界の誰一人として、この鉛筆を作ることはできない」
1本たった30円程度の鉛筆を作れる人がいないというのは、どういうことだろうか。鉛筆は目の前にあるのだ。彼は続けて、こう言う。
「鉛筆で使われる木材はワシントン州で伐採されたものだ。
伐採するときには鋸が使われたはずである。その鋸の刃の材料は鉄鉱石で、 それもどこかで誰かによって採掘されたものだ。鉛筆の芯は鉛でできているが、それはおそらく南アフリカが原産地だろう。頭についている消しゴムの原材料は、お
そらくマレーシアが原産地。そのマレーシアにはもともとゴムは自生しておらず、イギリスのビジネスマンが南アフリカから持ち込んだものだ。消しゴムをつなぎ留める真ちゅうや接着剤、黄色に色付けするための塗料も、それぞれ、どこかから誰かの仕事の結果としてやってきている」
彼の言いたいことは、次のようなものだ。目の前に1本の鉛筆があるということは、たった1本の鉛筆を作るために、何千人もの人が協働した結果なのである。』(引用終わり)

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つまり、一つの商品出来上がるまでにいろんな物の集合体で、新規に作られるもの、既存品であるものの集合体です。
その時代でないと作ったり調達できない物であることということです。

例えば、iPhoneは液晶の技術、バッテリーの技術、半導体の技術などその時代でなければ実現できなかったものの集合体です。
10年前にアイディアや構想があってもこれらの技術が実現されてなければiPhoneの形は出来なかったと考えます。

もう一つ大事なことがあります。
人のニーズがなければいくら革新的な商品であっても売れません。
iPhoneの場合もニーズがあったから革新的商品となりえたのでしょう。
固定電話→携帯電話→スマートホンというようニーズも変化しています。
いつでもどこでも電話が使いたい→電話も音楽もカメラも大画面で使いたいというようにニーズがスパイラルしています。

このニーズのスパイラルアップと技術の融合がなければ革新的商品は生まれないということです。
その時代のニーズとシーズと実現できるアイディア(コンセプト)が合わさることが必須と言えます。

いくら革新的技術が詰まって機能的であってもニーズがなけれが売れないし、いくら良いコンセプトの商品でも技術が足りないものづくりではパフォーマンス不足で売れません。

最後に参考までにドラッガーの言葉を添えます。
ドラッカーは、「会社でのイノベーションは、継続的に観察し、体系的に分析することによって生み出すもの」としています。

ある日突然、イノベーションは生まれないということがものづくりのツボです。


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