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【Oppositeな日常 003】海外で活躍する日本人サッカー選手の評価を、なぜ、現地メディアの採点・星評価に頼るのか

海外で活躍する日本人サッカー選手の報道について

かなり以前から、ちょっと不可解にも思っていたし、物足りなく思っていたことの一つに、日本における、サッカー選手の活躍に関する報道がある。
特に、海外で活躍する日本人選手について。

(初めに断っておきますが、自分は、サッカーについては大好きだが、プレー経験としては小学校時代の草サッカーを超えておらず、真面目にプロサッカーを追いかけてるタイプのファンでもありません。それでも、その程度の関わり方でもサッカーを楽しむものとして…)

スポーツの楽しみ

そもそも、スポーツとは、自分でやるのが、一番の快感。これを超えるスポーツの醍醐味はない。

その次に、そのスポーツの楽しさと難しさを知った上で、自分の能力をはるかに超えるプロフェッショナルな選手の美しい肉体的な運動をスタジアムでこの目でリアルタイムで目撃すること。自分でプレーしている訳でもないのに、得られるこの興奮。
コロナ環境下、さらに動画配信全盛の世の中で、このダイナミックな体験の機会が損なわれつつあるのが若干寂しいが、簡単にリプレイはできない環境下、次に何が起こるのかをハラハラしながら見続ける緊張感。さらに、ボールが集まる部分以外での選手の動きや、控え選手のアップの様子など、等価で観察可能な中、ゲームがどう動くか。

スポーツ報道

とはいえ、こんなご時世、かつ、毎週スポーツ観戦できる恵まれた環境に無ければ、各種メディアでの情報提供はありがたいことこの上なく、しかも最近は、ゲームのいいとこ取りして、かつそれを実にコンパクトにまとめた動画がただで視聴可能。
いやあ、便利になったもんだ、と素直に感謝。
おかげで、海外で開催されるスポーツイベントも即座に視聴可能。

煽りすぎなタイトル

ただで視聴できてるんだから、文句などいいようも無いのだが、しかし、各選手の紹介の仕方が、ちょっと煽りすぎな感が。
いや、自分も、各選手の活躍は小躍りしたくなるくらいに嬉しいので、基本は問題ないのだが、「鮮烈なゴール!」と言うから驚いてみてみると、格下チーム相手で、チーム全体で10点近く取ってるうちの、後半のダメおし点であったり、ただの練習試合であったりなんてことも。

自分が、その動画に辿り着き、クリックしたのも、ある種、そのタイトルに煽られたところはあるのだから、微妙ではあるが、にしても、ちょっと、いいとこ取りの贔屓しすぎではないか?

香川真司選手が新天地で徐々にコンディションが上がってくることは喜ばしいことだが、以前程のキレキレなボール捌きとは異なるこの程度のプレーで「激賞!」は、ちょっと大袈裟だろう…

そもそも、この背後に建設作業所だか、駐車場だかが映る競技場で行われるギリシャリーグの実力とはどんなもんなのだろう…

スポーツ報道、スポーツ批評

贔屓の選手やチームの活躍をたくさんみたい、という視聴者の要望に応えることが、メディアの一つの役割であることはよくわかる。
が、曲がりなりにも、メディアとしてのスポーツ紙、スポーツ雑誌、スポーツ報道媒体であれば、きちんと第三者的な評価を下すべきだ。

本当に素晴らしい選手は誰で、本当に素晴らしいプレーのポイントはどこであったのか。
それが、長い目でみて、見る側のスポーツに対する洞察を底上げし、スポーツ文化の基盤を醸成し、つまり、そのスポーツのレベルをあげる事になる。

海外スポーツメディアの星評価、採点を簡単に引用する日本のスポーツメディアに、一体プライドはあるのか?

ところが、日本のサッカーメディアは、往々にして、海外現地メディアの評価を、実に安易に、むしろ、誇らしげに紹介する。

 スペイン紙『マルカ』は「機動性と垂直性を備えた日本人選手は、バジャドリーにとって頭痛の種だった」とし、途中出場でチャンスメイクした久保にチーム最高評価となる「星2つ」の採点をつけた。ゴールを決めたマタなど、他の選手は「星1つ」か星無しの評価が下されている。
後半3分に先制点をアシストする働きを見せ、スペイン大手紙は及第点の評価を与えている。
 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』『アス』はいずれも、チーム最高の二つ星(0~3の4段階評価)を乾につけた。

いや、ほんと、彼らの活躍は嬉しい限りなのだが、そもそも、その選手のその試合での活躍がどの程度だったのか、それを自分達で評価するのが、スポーツメディアの仕事であって、海外の、それもどこまで信憑性があるかも分からぬ他社メディアの採点をそのまま、紹介して、「ほら、現地でも評価されてるみたいだよ! よかった、よかった!」風の報道して、何が嬉しいのか?

直接リアルタイムで試合も見る機会の無かった時代であれば病むをえない。が、今や、素人でも相当な情報が得られる時代。
この時代に、わざわざ、時代に逆行して、誰かの引用で、予定調和的な紙面を作ることの時代錯誤。

百歩譲って、それら現地紙評価を紹介するとしても、なぜに、ゴールを決めたマタの評価が低かったのか。

確かに、ガラ空きになっていた左サイドへボールを展開した岡崎のアシストは素晴らしいが、そのパスを受けてハビ・ガランが放った弾道の軌跡の美しさについて、もっと語るべきだ。

乾のゴールは嬉しいし、ボール捌きもスペインでプレーするのに通用するのだろうことはわかるが、

事実、リーグ戦では18試合中16試合、先発で起用(1試合は途中出場)されている。

のに、1ゴールで、

乾貴士に弱点はなくなった。いま欧州組で最も計算できるアタッカーだ

と書けるバックグラウンドは…
それ以上に、それ意外の欧州組のレベルが低いと言うことなのだろうか…

グローバル時代のスポーツメディアの役割

個々のファンクラブの会報ならわかるが、本当にサッカーのことをこよなく愛しているのであれば、海外まででて不甲斐ない活躍しかできてなければ、それをきちんと報道する、何が良くて何が悪かったのかを分析すべきだろう。

そもそも、「サッカー」自体が好きなら、もはや、日本人選手に拘らず、どんどんいろんな選手の素晴らしいプレーを紹介すれば良いし、むしろ、どのメディアも評価していないような無名の若い選手を発掘することこそが、スポーツメディアの使命だ。

それすら出来ずに、同業他社の批評をコピペして、贔屓の選手のいいとこだけ誇張して何が嬉しいのか。

ネットが高度に発達したこの時代。各国のプロリーグのレベル・特性を、的確に評価し、国籍に拘らず、質の高いプレーをフェアに評価すること。
そんな、真の意味でのグローバルなサッカー報道・サッカー批評を待ちたい。

各国主要メディアの信憑性

ところで、各メディアが喜んで引用する、各国主要メディアを評価しようとしてる試みもある。

欧州サッカー好きならいままで何度もメディアの移籍関連記事に踊らされた経験があるだろう。日本と海外では報道の文化はまるで違っていて、ユーモアや娯楽性を重視して信憑性の低い飛ばし記事を多く掲載するメディアもある。情報を受け取る側も気をつけなければならない。
そこで本稿では、各国の主要メディアを紹介しつつその信憑性も評価する(星で評価。5点満点)。主観なのであくまで参考程度としていただきたいが、目安にはなるだろう。

個人的な主観に基づくもの、と著者も断っているが、だからこそ、重要だと思う。
かつ、星でサッカー選手を評価する各国メディアを、星で評価する、と言う視点も重要。

敬意を評したい。

現状の日本で、唯一、信頼に足るサッカーメディア

最後に、サッカーについて素人のクセして、いや、素人だからこそ、生意気を申し上げるなら、個人的に唯一信頼して、たまに拝見するのが、セルジオ越後氏の記事、『セルジオ越後の天国と地獄』。

辛口だとか、批判されることも多いようだが、全然!

決して、感情的な発言ではなく、読者に媚びを売る客寄せパフォーマンスでもない、本音の言葉が綴られている。

辛口どころか、サッカーに対する愛にまみれすぎている。

批評とは?

スポーツに限らず、批評とは、そもそも本来、愛に基づいて書かれるものだ。愛してるからこそ、面白くない事態、まずい方向性には、はっきりものを申す。
当然、批判とは全く異なる。

その分野に置いて、本当にこの国の未来を考えて、ものを申すか?
あるいは、現状の狭い馴れ合いの世界で、内輪同士ではしゃいで終わりか?

それが批評に求められる、Think Oppositeでもある。

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