report_アートボード_1

いい時間ってどんな時間のこと?――Think Out!007レポート

普段会わないような人と、普段考えないような問いについて対話をしながら考える「頭のワークアウト Think Out!」。2020年1月25日(土)に行われた第7回(テーマ:時間)のレポートを、参加者のマリさんが執筆くださいました! 対話を通じて気づきを得ていく過程がありありと伝わってくる、とても素晴らしいレポートです。それでは、「哲学対話の誌上体験」をどうぞ、お楽しみください。(事務局タガイ)

はじめまして、マリと申します。Think Out!に参加するのは今回で3回目になります。

はじめてThink Out!に参加したときに「哲学対話って楽しい!」と感動し、以後いろいろな哲学カフェに参加するようになりました。哲学対話に出会うきっかけをくれたThink Out!は私にとって特別な存在です。

本レポートで、参加したことがない方に少しでも哲学対話のおもしろさをお伝えできればいいなと思っています。

■『時間』についての問いを共有

参加者みなさんの雰囲気がよく、毎回新しい発見をもたらしてくれるThink Out!。今回も「きっとなにか新しいものを持ち帰ることができるだろう」とワクワクした気持ちで対話にのぞみました。

まずは参加者が4つのテーブルにわかれ、今回のテーマである『時間』について自分自身が疑問に思う問いを「問いカード」に書き出し、それを共有するところから対話がスタート。

画像4

私が出した問いは「いい時間の使い方とは?」。

「時間=残りの命」だからこそ、少しでもいい時間の使い方がしたい。けれども、ついダラダラと時間を使ってしまうときがある。時間を有意義に使いたいと思いながらも、すべての時間を有意義に使えていないという現実に問題意識をもっていたので、この問いを出しました。

■時間のとらえ方から価値観が浮き彫りになる

私のいたグループでは、皆さんが「時間の使い方」にまつわる問いを出していました。

そのなかで「ムダな時間は存在するのか?」という違った角度からの問いがあったことから、まずは「ムダな時間」とはどんな時間のことなのかを考えていきました。

画像4

当たり前ですが、なにを「ムダな時間」だととらえるかは人それぞれです。だからこそ、自分にとっての「いい時間」「ムダな時間」を考えることで、価値観が浮き彫りになると思いました。

たとえば、生産性を価値基準にしている人にとっては、家でボーッとする時間は「ムダな時間」かもしれません。一方、心の充足感を価値基準としている人にとっては「いい時間」になるでしょう。

自分に当てはめて考えてみると、私は「主体性」を価値基準に「いい時間」「ムダな時間」を選別していることに気づきました。

画像4

たとえば、寝ている時間を「いい時間」と「ムダな時間」にわけるとします。そこで「疲れているので、今日はいつもより長めに睡眠をとる」と主体的に選択した場合、長めの睡眠は私にとって「いい時間」となります。ですが、「なんとなく布団から出たくないのでダラダラ寝ている」場合は、主体的に選択したと感じられないため、私にとって「ムダな時間」となります。

この気づきは私にとって大きな発見であり、自分ひとりでは得られなかったものでした。あらためて、主催者、参加者の皆さまに感謝です。

■「問い」から違いが見えてくる

ほかにも、「SNSで24時間人とつながれる世の中になったことで、時間の価値はどう変化したのか」「締め切りを設けることで時間の密度はあがるのか」など、自分では思いもしなかった問いを出していた方が多くいらっしゃいました。

画像4

「時間」というテーマひとつとっても、そこから連想するものは人それぞれだからこそ、哲学対話はおもしろいのだとあらためて認識しました。

頭を使った最高の娯楽が哲学対話だと思います。ご興味がある方は、次回のThink Out!にぜひ参加してみてはいかがでしょうか。●

マリさんのレポート、いかがでしたでしょうか。「頭を使った最高の娯楽が哲学対話」、ほんとうにその通りだと思います。ご興味持たれた方はぜひ、次回、2月22日(土)のThink Out!(テーマ:愛)にお越しください。事務所一同、お待ちしております。詳細・お申し込みはこちらから(*2月1日現在で満席のため、キャンセル待ちとしてお申し込みください)。

この記事が参加している募集

イベントレポ

よろしければサポートいただけますと幸いです。いただいたサポートは哲学対話を広げるために使わせていただきます。