平松 武|元外務官僚

外務省、在外公館、内閣官房に通算30年以上勤務し、21年10月退官。元内閣参事官。著書…

平松 武|元外務官僚

外務省、在外公館、内閣官房に通算30年以上勤務し、21年10月退官。元内閣参事官。著書に、『「自由」が「民主」を喰う~迷走するグローバリゼーションの深層』(時事通信社)。国際関係・政治についての私見を中心に、映画、旅行、デザインなど趣味についての投稿もしていきたいと思います。

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いい感じの戸口(13)~フランス・パリ

    • パゾリーニの映画『テオレマ』とドン・シーゲルの映画『白い肌の異常な夜』

      イタリア出身のピエル・パオロ・パゾリーニ監督は、一昨年生誕100周年を迎え、来年は没後50周年を迎えるようです。先日、その代表作『テオレマ』('68)を観る機会がありました。初見です。 (※「ネタバレ」という類の映画ではありませんが、双方の映画のストーリー終盤まで言及します。) 『テオレマ』は、会社経営者を主人とするブルジョア一家(夫、妻、息子、娘、家政婦)の話。ミラノ郊外にあるその屋敷に、何の説明もなくひとりの美青年が同居するようになります。家政婦を含む一家5人は、いずれ

      • 模様の世界(15)~日本・東京都世田谷公園

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          映画『ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖』~G.A.ロメロ監督の非ゾンビ映画

          急に思い立って、配信でジョージ・A・ロメロ監督の『ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖』('73)を見ました。初見です。 ロメロ監督は、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』('68)や『ゾンビ』('78)をはじめ、ゾンビ映画の第一人者として知られており、特にキャリア後半ではほとんどゾンビ映画を撮り続けていました。 そのロメロ監督が、初期に撮った非ゾンビ映画のひとつがこの映画です。(以下では、ラストまでは明かしませんが、クライマックス近くまで明かしますので、準ネタバレ注意です

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          アフリカ点描(3)~トカゲ親子のシンクロ

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          世界の水辺から(5)~オランダ・ユトレヒト郊外

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          冬の逆光(13)~日本・東京(冬の日の出)

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          映画『悪魔のシスター』~ブライアン・デ・パルマ初期の大傑作(ネタバレ篇)

          (前回に続き、どうしてもネタバレをしないと語ることができない部分を語りたいと思います。ネタバレにもいろいろな程度のものがあると思いますが、この映画はミステリーの要素もあるため、未見の方はこの記事はお読みにならない方がよいと思います。また、不可避的にヒッチコック監督の『サイコ』のネタバレも含みますので、こちらを未見の方もお読みにならない方がよいと思います。) 4.意外な結末 ミステリーの中には、 ①誰が犯人か最初はわからず、登場人物と観客・読者が一緒に謎解きをしていくタイ

          映画『悪魔のシスター』~ブライアン・デ・パルマ初期の大傑作(ネタバレ篇)

          映画『悪魔のシスター』~ブライアン・デ・パルマ初期の大傑作

          多分30年前くらいにレンタル・ビデオでこの映画を初めて観て、かなり気に入っていました。今般、全国の劇場でデジタル・リマスター版が上映されることになったのを機に、所有していたDVDソフトで再見しましたので、感想みたいなことを書いておきたいと思います(すみません、劇場では観ていません)。 (今週はぎりぎり「ネタバレなし」の範囲で書き、来週はネタバレ部分を書きます。)(画像はデジタル・リマスター版HPより引用させていただきました。) 1.日本題名 まず、日本のタイトル『悪魔のシ

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          模様の世界(14)~日本・山梨県

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          冬の逆光(12)~日本・東京

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          世界のポスト&ゴミ箱(7)~日本・東京

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          今年の「10大リスク」に思う。

          イアン・ブレマー氏率いる米シンクタンク「ユーラシア・グループ」が、年始恒例の10大リスクをまとめた報告書を公表しました。それによれば、今年の10大リスクは以下のとおりです。 1.米国の敵は米国 2.瀬戸際の中東 3.ウクライナ分割 4.統治されないAI 5.ならず者の枢軸 6.中国回復せず 7.重要鉱物をめぐる争い 8.経済的逆風 9.エルニーニョ再来 10.米国でのビジネス 第一のリスクとする米国の大統領選挙について、報告書は以下のように言及しています。 「米国はすで

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          台湾総統選挙に思う~民主主義を理解しない中国

          1月13日、台湾で4年に一度の総統選挙が行われ、中国と距離を置く民進党の頼清徳副総統が当選しました。これまで、民進党と親中の国民党の二大政党が政権交代を繰り返してきましたが、2期8年を超えて同一政党が政権を担うのは初めてになります。台湾の人々の心の中国離れがいよいよ明確になってきたようです。(見出し画像は、台湾民進党HPトップページより) 中国は民進党政権下の台湾に対して、締め付けを強化し、人的・経済的交流を制限する一方で、国民党からの要望には前向きに応じるなど、国民党勝利

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          全ての航空機乗員の努力に敬意~JAL機・海保機衝突事故における危機対応

          新年を迎えましたが、世界ではウクライナ、中東で戦争が続いており、日本でも、年明けから大規模な震災や事故が発生しました。犠牲になられた方、そのご家族の方に心からお悔やみを申し上げます。 1月2日夕刻に発生したJAL旅客機と海上保安庁航空機の衝突事故においては、海保機の乗員5人が犠牲になりました。一方で、JAL機の乗客・乗員379人は全員脱出することができました。 発生後10日を経過し、事故の状況が少しづつ明らかになってきました。SNSでも多くの方が言及されていますが、賞賛さ

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