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ビザンツ帝国の女性歴史家アンナ・コムネナにスポットをあてた歴史ロマン!

佐藤二葉さんの作品『うたえ!エーリンナ』はなかなかの良作だったので、その方の作品ならばとツイ4で序盤を見ただけで購入決定!

前作のエーリンナでは古代ギリシャが舞台で、今作は12世紀のヨーロッパ「ビザンツ帝国」の王室が舞台。

まずそもそも、「ビザンツ帝国」って言われてもピンと来ない。
いわゆる「東ローマ帝国」の流れを汲み、この当時西欧に存在した「神聖ローマ帝国」とは異なり、東西にローマ帝国が存在するというややこしい状態の頃。

さて今作の主人公、アンナ・コムネナについて、いつものwikiから概要を引っ張ってくる。

アンナ・コムネナ (ギリシア語: Άννα Κομνηνή Anna Komnena, 1083年12月2日 - 1154年から1155年)は、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)コムネノス王朝の皇族、歴史家。コムネノス王朝の初代皇帝アレクシオス1世コムネノスと、有力貴族ドゥーカス家出身の皇后エイレーネー・ドゥーカイナ(英語版)の長女。中世ギリシャ語読みでは「アンナ・コムニニ」。

Wikipediaより

さてこの当時、女性が書物を記すことははしたないとされ、なかなか許されるものではなかった時代。
なのでペンやインク、それに羊皮紙などは侍女たちに宝石を渡したりして用意させたいたという。
そんな中で彼女はこっそりと物語を紡ぎ出していたのだ。
それを夫であるニケフォロスに見つかってしまい、てっきり嘲笑われるものを思っていたら、なんと彼はそれを応援してくれるという。

※男尊女卑思想が強い中世の西欧社会ではあるが、アンナは皇帝の娘であり、ニケフォロスはこの時点では配下なので、身分的には彼女は敬われても当然といえば当然。無論、相手の男の寛大な心があってのことだが。

12世紀だから日本では鎌倉時代。
つまり紫式部や清少納言のように自分の想いのままに何かを記すことが公には認められなかった時代。
特に後に歴史家となる彼女だが、歴史書の編纂は主に『男の仕事』と決まっていた為、彼女が歴史書に関わるのは世界的に見ても非常に稀とされている。

この第1巻では、まだ13歳のアンナが結婚相手のニケフォロスと初々しくも可愛らしく愛を育んでいく。

その展開に思わず「甘ーーーーいっ!」と叫んでしまいたくなって頬がにやけてしまうのだ。

その一場面を紹介すると……。

王族である以上ニケフォロスも戦場に赴かなければならない。そんな彼の軍装を初めて見たアンナは「神話の英雄アポローン!?」と見紛いときめきを覚える。

このアンナ・コムネナの肖像も実像も残されていないので、ほぼほぼ作者さんの創作なのだろうけど、彼女の感受性が高く表情がコロコロと変わる様は見ていて愛らしくもあり、特になにかとすぐに涙をハラハラとこぼす姿はニケフォロスでなくとも守ってあげたくなる。(実際、作中年齢まだ13歳だっていうのに、いろいろとありすぎだもの!)

そんな彼女が政争に巻き込まれて大事な人を失ったことがこの1巻で判明するのだが、それがまだ彼女の運命の序章なのだから、この先さらに涙が絶えないのではないかと心配になる。

せめてニケフォロスくんともっと楽しく健やかにいちゃいちゃして欲しいものである。

中世社会ではなかなか理解されない女性の立場を、コメディを交えて描く手法は前作『うたえ! エーリンナ』でも取られていたが、より歴史の奔流である王家のお話なので、その辺りの解説も踏まえて物語を進めないといけない。
そういう意味では最重要な点だけを説明しているので、物語の邪魔にならない程度の配慮がされている。
あと前作に比べるとフルカラーのせいか、画力がめちゃくちゃ向上している!

とにかくやたらと行動力のあるアンナとそれを見守る夫のニケフォロス。
歴史に興味あってもなくてもこの2人の姿を見守るだけで微笑ましく感じられるお話。

さて次巻、どこまでいくのかわからないけど、追っていこうと思う。

ツイ4にて連載中! 期間中毎日更新!

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