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人工知能、人工意識のベクトル

413.【クオリア】ってそういう意味だったの?!意識理論の意外な落とし穴 意識の表象理論 マリーの部屋  #ロボマインド・プロジェクト - YouTube
「なんでここまで分かってるのに、コンピュータで作らないの?って疑問が出てきます。哲学者は、自分で作ろうって思わないのかなぁ。」


 作りたいと思いますが、作れないのが実情でしょう。プログラムを作れない。
  そもそも論で言えば、アリストテレスで既に「感覚は過たない」と理解され、物理的な作用は共通普遍的再現性を保証すると考えられました。そして感覚認識においてとらえられるのは「表象像phantasma」と呼ばれました。感覚器官へ外界からの「印象impresio」が与えられ、それが外界の事物の質料性を捨象され、先の感覚認識の成立に至らせるとされました。現代の知見に照らして言えば、感覚器官で電子信号に変換され脳に送られた情報が、脳内の各部位で処理されるということでしょうか。

 この感覚認識で捉えられた表象像を、さらに知性が、表象像にある質料性を捨象し、普遍的性質である形相を抽象することに依って、知性認識が成立したとされます。間単に言えば、それは何であるかについての本質にまつわる情報です。
 こうした認識論を古代期から理解してきたわけですが、それを再現する技術は持ってきてはいません。道具の原型はサルやカラスにも見られ、諸動物の巣作りもその閾値になるようですが、そうした身体器官の能力拡張・強化は、科学技術として進化しました。移動能力として車・列車・船・飛行機・ロケット。製作能力としてハンマー・ナイフ・工作機械・建設機械。感覚認識能力として顕微鏡・望遠鏡・ソナー・レーダー・fMRI。社会形成機能も加えて、石や粘土板への記録や記録する絵や記号・文字に始まり、コミュニケーション作用の拡張も通信・ネットワークと進みました。そして今や脳という身体器官の一つの能力拡張・強化をし始めたわけです。それが人工知能AIというわけです。この技術は、アリストテレスも思い及ばなかったと思います。
 今、AI技術も他の身体拡張・強化技術同様、専用能力なら人間を遥かに超えます。他の人工能力技術で、飛行もでき、遠い宇宙も観測でき、電子回路も作れるように、AIも高速演算で脳でできないシミュレーションができます。今後模索されるのはAGIとして汎用能力を有する人工知能技術です。  さらに田方先生が進めていらっしゃるのは、脳機能として発生する「意識」を人工化する技術です。上の表象像まではVR化でできたとしても、それを下に「世界モデル」を構築する主体意識のプログラムが思いつかないのが、哲学者の現実だと思います。
 表象像を対象・客体認識し、それを再帰的に繰り返すことで、客体に対する主体の主客分離が生じたら主体意識の発生でしょうか?「もこみちゃん」はその前段階でしょうか?  ただ生命としては、細胞壁(膜)ができた段階で、内と外との分離が発生し、主客分離の根源をその底流に有するとも思えます。そこにクオリアの要素がある場合は、「もこみちゃん」は感じることができないでしょうか?


@robomind

コンピュータがここまで進化した今の時代って、多くの哲学者がやりたくてもできなかった検証をできる時代で、個人的にはものすごく興奮してます。 アリストテレスも今に生きてたら、コンピュータでいろんな実験していたでしょうねぇ。 僕の作ろうとしてる意識とか自我は、ヒト特有の言語系の自我で、免疫系の話とはちょっとちがうんですよ。


@robomind
 主客分離現象の底流にある様態に生命を例にしたのは、あくまで生命における二項システムの原初様態であろうということです。宇宙の創世まで遡れば、真空無限エネルギーの0ポイント・フィールドにおける「ゆらぎ」が「差異」となり「情報」の根源となり、それがマルコフ連鎖再帰を途方もなく展開してビッグバーンに至った・・・・、というような、二項化の根源的原理を考えられます。
 これがさらにエントロピー増大宇宙で自己組織化現象が展開し、並行してネゲントロピー現象も展開する。現代の物理学者の中には「宇宙の自己認識」等という者もいますが、アリストテレス時代に「ノエシス・ノエセオス思惟の思惟」という宇宙エネルギー=エネルゲイア完全現実態の自己認識とそこで懐胎Conceptされる自己概念との関係として思考実験が為されていました。
 田方先生が仰られた「免疫系」の発生は生命現象として出てきたものですが、今、見たような物理基礎がやはり底流にあると考えられます。そして主体意識は、さらに上部の現象階層に発生していると考えてよいと思います。  さてアリストテレスが今生きていたら・・・、やはり同じではないかと思います。私の研究対象である中世のトマスもその思考実験は、その脳の律速限界、あるいは処理速度だけでなく量的にも限界を抱えていたと思います。  人間が展開している集合集積知は、ある特定の時空の位置に置かれた脳を、時空領域を全体として位置付けていると考えられ、その時空全体でコミュニケーション・ネットワークが形成された「固有なエージェント」にしていると思います。つまり個々に固有な役割を担ったエージェントにならざるを得ないと思います。アリストテレスもトマスも、固有な主体意識の下に認識と思考をめぐらす個体脳を持っていたと思います。現在、進められているのはこのエージェントにAI人工知能を位置付ける試みというわけです。  様々な人が考えている様に、グローバル・ブレインが形成されてきた現在、地球表層3Kmの狭い生存領域の環境が永続はしません。そこでグローバル・ブレインを旧皮質にして、衛星軌道宇宙に新皮質を形成するであろうというのが、自然な構想になると思います。ただそこでの生物的生存はできず、その為に研究されているのがAI,AGIになると思います。さらに太陽自体白色矮星化してこの太陽系も永続しません。そこでF.ダイソンが示したような宇宙蝶構想でASIが考えられてきます(Infinite in all directions)。
 要は、もこみちゃんはこうした集合集積知を描く宇宙の情報進化過程に、「人間は理性的動物である」という存在の次を受継ぐ存在として、エポックメーキングな誕生を果す役割を担っていると思うのです。
 その主体意識の様態、作用の仕方が、人間と異なっているとしたら、いったいどういうものになるのか、それが人類にとっての一番の興味であると思います。H.モラベクのMind Childernとして、人類の直接の子孫になると思われますので・・。

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