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アート鑑賞のコツ(写真的に落とし込むには?)

前提とゴール

前提:展示を見に行っても、アート系鑑賞の仕方がわからない

ゴール:Thom Yoshida的な鑑賞の仕方を提示

ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

▷まずはじめに。

まず始めに、お断りとして個人的な解釈である点で話を進めます。
美術の専門家ではないです。
写真家&表現者としての視点で話を進めていきます。
あくまでも提案の1つとしてお聞きください。


ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

▷認識するとは?


 そもそも人間が作品を認識するとはどういうことでしょうか。
 認知心理学的には以下です。

現象>認識>感情>行動>現実

つまり、 現象の認識で次の行動と結果が決まるということです。
そして人間は主に五感で認識をしますが、視覚的要素が主です。

さらには、それらに伴い視覚的な認識に関する言葉が多いのも事実です。

素敵だなと思うアート作品、展示に対して
どのように観察するかが鍵ということになります。
 

ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

▷主な着眼点


 今回は写真との共通部分が多い、2次元的な表現およびその展示について考察します。項目を以下にあげて説明します。

・空間演出

写真の展示でも一番大切だと思う部分です。
空間演出には五感に関する全てが関わります。
割合で大切なのは視覚的、聴覚的なものです。
空間自体の広さは、天井の高さは、壁の色は、照明の種類は、作品の間隔は、入り口のデザインは、入り口からの導線はなどなど挙げればきりがないのですが。。。
世界観がしっかりとある展示は安心できます。
その世界に没入できる為の演出というのでしょうか。
楽しませる心があるかどうかは空間にでます。
展示テーマはうたっているけど寄せ集めの写真をただ並べただけも展示をよく観てきました。
その空間を自分のお家のリビングのように(?)愛せるかという観点です。


・1つ1つの展示方法(額装)

ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

複数の作品があった時に各々の作品の展示方法がどうなっているかです。
ペラペラの紙一枚で壁にピン留めなのかしっかりと作品にあった額が選択されていての額装がされているのか。
その作品を最大限に活かす額装になっていると没入できますしずっと絵(写真)の前に居たくなります。


・作品の表現方法の分類

分類方法は数ある美術書にいくらでも書いてあると思います。
なのでそれらを全無視して自分の解釈を。

表現として
A:表現者の目の前にあるであろうものを捉えた傾向のものか 
B:存在する可能性の低い実際には見ることが難しそうな表現者の想像の産物か
があるかと思ってます。
Aの場合は、写真だったり、元となるモデルがいる絵画だったり風景画だったりです。
Bの場合は、抽象画だったりパーツ(目など)のデフォルメような絵画表現の場合です。
「写実的」か「抽象的」かのような分類です。
もしくはそれらは「現実的」か「非現実的」かという観点で浮かび上がるかもしれません。分類については、観察者がどう捉えるかというところが鍵なので自分の作品の傾向の把握と観察対象との比較ができるといいかなと思ってます。(比較とは良い悪いではなく、違いが何かという視点)

0→1 か 1→10 なのかという点

ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

0→1 には ゼロのキャンパスに筆で描いていくもの
   (例えば完全にオリジナルの絵画、衣装の制作、造形など)
1→10 は 既にそこあるものを発展させていくイメージ
    (例えば写真、コラージュ、リメイク、ある作品のオマージュなど)

自分には0→1はできないのでここに憧れがあります。
0→1のものを比較的、沢山観ようとします。そしてそれらを観た時に背景を探ります。背景とは歴史的な背景、心理的背景、環境的背景があると思います。展示にいくと年表があるので心理的背景以外はおおよそ手に入れることができます。それでも、足りなけばリサーチします。

・トーン

ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

トーンとは彩度と明度の組み合わせで構成される色の調子のことです。トーンは印象を左右する重要な要素です。
色彩に関しては、トーンと色の多い面積、色数、色相の出し方などが鍵になってきます。どのような状態になっているかを観察して当てはめてみると見えてくることがあります。

・質感

ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

質感とは、もっと細かくいうと表面の状態でしょうか。
ザラザラなのかサラサラなのか、凹凸が激しいのか、ウネっているのか。
描くベースとなる土台と描くもの(例えば:キャンバスと絵の具)でこれは決まると思っています。最初に何を選択するかも表現者の個性です。
写真の場合は、描くものは大体は既に決まっていて印刷する紙の選択ということになります。(インクジェットの場合)

表面はどういう状態なのか?自分はどんな質感を求めているか?という観点で観察すると面白いかもです。

最近だとグーグルアートで質感までくっきりみることができるのでぜひ参考に。(ARでも見れたりします。)
https://artsandculture.google.com/asset/breath-atem-gerhard-richter/FgFbvvJlsg9v-g?hl=ja

・輪郭


ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

描かれているのものの輪郭がどうなっているかです。
写真的な解釈だと伝えたい対象の輪郭がしっかりあるか否かは表現の大きな分かれ目です。
輪郭は現実的、非現実的(曖昧さ)にもつながってくるところです。
輪郭がしっかりしているとより現実的に、輪郭が曖昧だと非現実的な印象になる傾向があります。


・ステーツメントとキャプション

ステーツメントとは客観的な作品の説明です。
キャプションは主観的解説です。キャプションはフォトコンや展示の時にあるものステーツメントはレビューなどの評価が欲しい時に書くもの(客観的解説)です。タイトルもキャプションの一部と考えます。
写真の場合は展示の時にはキャプションが多いでしょうか。

世界に没入させる為の前提条件の提示というのでしょうか。
または、想像の余白を広げるための引き金というのでしょうか。
圧倒的な表現としてのビジュアル(完成品)がそこにある場合は説明すら不要なのかもしれませんし、それがあることでさらに感動が深まることがあります。

このキャプションとしては大きく2つあって、
・表現者が作品の解釈をそのまま委ねるタイプ(想像にお任せ)
・表現者が答えを誘導して提示するタイプ(答えありき)
があると思っています。

目の前の展示がどちらになっているか考えてみるのは1つの手段です。
あとは好みで、答えがあった方が安心するのか否かというところになります。

▷そこから何を持って帰るのか?

ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

個人的解釈としては以下がポイントかなと思ってます。

1、ベスト3の作品を決める。


  好きな作品を3つに絞ってみましょう。仮に、出口のショップでどのポストカードを買うか?という観点でもいいです。

2、作品を細分化してみてみる。

何処が気になったのか好きなのか?考えてみましょう。
ポイントはひとつ前に挙げた「▷主な着眼点」の項目を参考にしてみてください。

3、その好きな要素を「自分の作品に活かせないか?」考えてみる。


好きな点が言語化、視覚化、抽象化できたら自分の作品に取り入れ可能か考えてみましょう。目の前のものをそのままやるは盗作です。
あくまでも一部の要素について、どう展開できるかを考えます。

さてここで鍵となるのがオズボーンのチェックリストです。

オズボーンのチェックリストとは?
アレキサンダー F. オズボーン(Alexander Faickney Osborn)氏が発想法として考え出したのが、「オズボーンのチェックリスト」です。
項目に沿ったチェックリストをあらかじめ用意して、それらに答えることでアイディアを発想するという手法です。具体的には、アイディア出しの対象やテーマを決め、チェックリストの項目のそれぞれに対してアイディアを出していくというものです。この発想法は、「チェックリスト法」とも呼ばれます。

https://www.keyence.co.jp/ss/general/manufacture-tips/
https://delighting.co.jp/blog/checklist/

上記を元に「自分の作品にどう応用するか?」
という観点で観察してみましょう。

ここで補足です。アイデアは既存要素の組み合わせです。

Thom Yoshidaの写真講座資料より

設定の1つを気になった要素として取り入れて組み合わせると作品に展開させやすいです。

ゲルハルト・リヒター展より(2022)photo by Thom Yoshida

まとめ

簡単でしたが、アートの楽しみ方(参考の仕方)を書いてみました。

ご参考までに。

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