ロール型組織の本質とは?

先日Newspicksで公開された以下の記事。非常によくまとまっていてびっくりしました。ジョブ型なのかメンバーシップ型なのかという二者択一ではなく、Rがこれまで大切にしてきた思想(心理学的経営)をベースにすると、我々はロール型なのであるという宣言にも聞こえました。また一方で「世の中のトレンドを安易に追ってはならない」「自社の企業文化、事業戦略、事業運営方針に起点で考えるべき!」という警鐘のようにも感じられました(実際はそんな意図はないと思いますが)。とにかくよくまとまっているので一度みていただければと思います。

ちなみにこの「ロール型」という言葉。20年近くリクルート/リクルートグループに所属していますがお恥ずかしながら初めて耳にするワードです。ただ言わんとする事は非常によくわかります(役割等級制度のことを指しているのだと思います)。

改めて自分なりに「ロール型とは何か」ということを考えてみると自分の中では以下のように整理されます。

・ロール型には職務が内包されている
・職務は「ミニマムマスト」として明確に定義されていることが多い
・職務はオペレーションエクセレンスの方向に向かっていく
・職務の外側にロールがある。そして職務以外の余白の自由度は意外と高い
・余白は「役割(意識)」「周囲からの期待」「自分のやりたいこと」「自分なりの工夫やチャレンジ」など自分自身で設定が可能である
・「お前はどうしたい?」という問いはまさにこの余白に対する問い
・そして一人一人がロールを設定しながらロールを広げていくことで、社会からの要請に柔軟に適応しようとする
そんなイメージです。


ロール型

ロール型の本質は、個人的にはこの職務とロールの2層構造にあると思います。そしてこのことこそが企業活動においてとても重要であるように思います。

どういうことか?事業運営のプロセスの中で、大きく2つの力学が働いています。一つは「効率化/汎用化」という力学、もう一つは「新規性/イノベーション(新しい価値の創造)」という力学。そしてこれら両方を同時に追求しているのです。

前者の方は徹底的に型化を志向し、顧客への提供品質の均質化を志向しようとします。(すぐ何かと”型化””横展開”なるキーワードが飛び交うカルチャーがありますね)

一方で型化されたものの展開だけだと固定化してしまうし、何より従業員が飽きてしまう。そこで登場するのが”ロール”です(正直言い慣れない。。)「圧倒的な当事者意識」という名のもとに、一人一人が何を成し遂げたいのか、成し遂げるべきなのか、ということを考え様々なチャレンジをしていく。周囲もお前はどうしたいんだ?という問いか毛をしながらこのロールの部分を育んでいく。このロールの部分って、改めて考えてみると、内発的動機をベースに、従業員一人一人の自己決定性を大事にしているとも言えます。まさに心理学的経営。大沢さんスゴい!

このことは、「両利きの経営/著:チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン」で指摘されている”知の深化(exploitation)と探索(exploration)”と同じことを言っているような気がします。

そして考えてみるとこの二重構造の考えは社内の仕組みのいたるところに組み込まれていることに気づかされます。

例えば目標について。目標には「コミットメントライン」と「ストレッチライン」がある。コミットメントラインとはその名の通り、事業計画に反映されている目標数字であり、必ず達成をしなければならない数字。この数字を達成するために、毎週ヨミ会と称して、salesでは日々数字をモニタリングしている。このコミットメントラインの達成無くして自由なことやりたい、みたいな無邪気な考えが許される余地は微塵もありません。やりたいことやるならまずはコミットメントラインを達成しないとならない。そこをクリアした上で、初めてストレッチ目標(=ストレッチライン)が設定できチャレンジできる。

例えば半期ごとの査定。査定は大きく、達成度評価(ミッションの達成度合い)とイノベーション評価の二つから構成されています。前者は主にマストに対する評価だし、後者はその名の通り新規性に対する評価です。

この二重構造がロール型の本質だと個人的には思います。そしてそのベースにあるのは「個を尊重」であり、「一人一人の内発的動機」を育みながら「自己決定性」を大事にしたマネジメントである。ロール型とはまさに心理学的経営そのものなんだなー、とNewspicksの記事をみて思った次第です。

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