放射線治療を受けてみた (1):はじめに

2017年9月に子宮体がんの診断を受け、11月末に子宮や卵巣、腹部のリンパ節などを取りました。子宮体がんというのは、最近ニュースにたびたび登場する子宮頸がんとは別のタイプのがんです(参考:国立がん研究センター・がん情報サービス)。ステージでいうと「I」です。仕事には2018年の1月に復帰しています。

手術後の病理診断の結果、抗がん剤治療か放射線治療のどちらかを行ったほうがよいことが分かり、放射線治療を受けることになりました。放射線治療は2018年2月に始まり、3月下旬に終わりました。

これから数回に分けて、放射線治療の体験記を書いていきます。

がんの症状はがんの種類によって異なり、患者さんによって症状だけでなく、その程度も異なります。家族や仕事をめぐる状況も患者の数だけあります。ですのでこの体験記は、独身で子宮体がんのステージI の患者が仕事を続けながら放射線治療を続けると例えばこんな感じ、という程度の話として読んでいただけるとありがたいです。

本題に入る前に、告知から仕事に復帰するまでの経緯をまとめておきます。

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2017年夏:1年ぐらい前からあった不正出血の頻度が多くなりました。

2017年9月中旬:別の病気で以前お世話になったことのある病院の産婦人科に行く。子宮体がんの可能性が高いことが分かり検査入院が決定。子宮体がんは閉経が遅く出産経験のない場合に発症リスクが高くなる、ということを聞いていたので「なるほどね…」というのが告知を受けたときの感想。ちなみに過去2年ほどは転職などでばたばたしていたため健康診断は受けていませんでした。また、現在の勤務先での健康診断までは数週間待たなければならないというタイミングでした。

2017年9月下旬:本当は黙っていたかったのですが、検査入院には家族の同意書が必要なので両親やきょうだいに状況を報告。幸い、どちらも冷静に受け止めてくれました。その後も家族は私の意思を最大限に尊重してくれて、どんな考えも押し付けることなくじっと見守ってくれました(今もそうです)。

2017年10月上旬:1泊2日の検査入院。全身麻酔をして、子宮の組織の一部を採取する手術を行いました。ごく短時間で終わる手術で、手術後の痛みなどはほとんどなかったです。ただ、入院のために丸1日以上コーヒーが飲めなかったことによる頭痛がひどくてつらかったのを覚えています(当時は、濃いめのコーヒーを1日に最低でも5杯は飲んでいたのです)。検査入院の数日後、子宮体がんの確定診断が出ました。

2017年10月中旬:CTスキャンやMRIなどの検査を受けました。私のがんに適切な治療法を検討するための検査です。

2017年10月下旬広汎子宮全摘出術を11月末に行うことが決まりました。子宮や卵巣や大網(だいもう)を摘出し、リンパ節を郭清(かくせい)する開腹手術です。手術の方法に関しては摘出の範囲が少なく術後の回復もスムーズな腹腔鏡手術か、ロボット手術にするという選択肢もありました。ただ、再発リスクを少しでも抑えたいということと、手術そのものよりは快適な個室での入院生活にお金をかけたいという理由で広汎子宮全摘出術に決めました。ちなみにロボット手術とは人間よりも繊細な動作が可能なロボットを遠隔操作して腫瘍を摘出するもので、私が手術を受けた病院では、今の段階では自由診療で200万円程度かかるようです。

2017年10月末:血液検査の結果、貧血がひどすぎることが判明。不正出血が続いていたことを考えれば当然の話ではあります。手術中に大量出血があった場合に備えての自己採血ができるような状態ではなく、場合によっては輸血をする可能性もあると言われました。

2017年11月:手術までに貧血が少しでも改善するように増血剤を服用。この時期は告知を受けたころよりも体調は悪化していて、「早く手術の日にならないかなあ」ということばかり考えていました。

2017年11月末:入院。翌日に手術。5時間ぐらいの手術でした。20センチ近く開腹しましたが、出血は500ミリリットル程度だったようで輸血は行われませんでした。

2017年11月末-12月上旬:手術の翌々日から自力で歩いてトイレに行けるように。手術後は大量にたまった腹水や傷の痛みに悩まされました。

2017年12月上旬:入院9日目に退院し、自宅療養生活がスタート。2週間ぐらいは体調が安定しなかった上、杖をついても200メートルぐらいしか続けて歩けませんでした。この時期にはほんとうによく転びました。頭を打ったり骨折したりせずに済んで良かったです。傷口が完全にはふさがっていなかった上、かなり痛むので重たい荷物を持つことできなかった時期でもあります。週末に傷口から大量の腹水が突然出てきて、救急外来で応急措置を受けたこともあります(このときは1日で体重が2キロ減りました)。そんな状態なので買い物は難しく、ネットスーパー系のサービスを使って生鮮食品や日用品、療養生活に便利な介護用品を買っていました。買い物以外の家事はこなしていましたが、傷の痛みのせいで何をするにも普段より時間がかかりました。

2017年12月下旬:退院後最初の産婦人科外来。病理検査の結果、再発リスクは「中」であることが分かり、手術のフォローアップとして放射線治療か抗がん剤治療のどちらかを行うことを勧められました。毎日通院しなければならない代わりに1回あたりの治療に必要な時間が短い放射線治療のほうが良さそうだ、と思いました。

2018年1月:仕事に復帰しました。

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次回の記事では、放射線治療に向けての準備期間の話を書きます。

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