放射線治療を受けてみた (2):治療開始前

2017年の秋に子宮体がんと診断され、手術の後28回の放射線治療を受けました。この記事は、放射線治療を受けることを正式に決めてから治療開始の前日までの記録です。がんの告知から手術後の療養生活までの経緯についてはこちらをご覧ください。

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2018年1月X日

今年最初の産婦人科外来で、放射線治療を希望することを正式に伝える。主治医の先生によると全部で28回ほどの治療になるらしい。土日や祝日に治療が行われないことを考えると、トータルで約6週間といったところか。

どうしても外せない仕事が2月前半に入っているため、その翌週から治療を始めてもらおうと考えている。早く開始したいのはやまやまだが、仕事に復帰した以上そういうわけにもいかない。診察後、血液検査とCTスキャン。

2018年1月X日

放射線科外来。放射線治療の方法や考えられる副作用について先生から説明を受けた後、看護師さんによる生活指導。私が受けることになるのはX線の外部照射で、方法としては線量を細かく調整できる強度変調放射線治療(IMRT)というものらしい。

この治療では、正常な臓器を避けて放射線を当てるために毎回、照射の60分前に「措置」を行う必要があるそうだ。具体的にはトイレに行った後に300ミリリットルの水を飲み、膀胱をふくらませ腸をしぼませるのだという。

そんなことができるのかと一瞬思ったが、いままでにも同じような治療を受けてきた患者さんたちがたくさんいるのだから大丈夫なのだろう。毎日のお通じが大切なので、治療開始まで腸内環境をととのえるように気を配り、便秘になりにくい食生活を心がけてほしいとのこと。2ヶ月分の整腸剤を処方される。

2018年1月X日

今後の治療の見通しについて上司に報告。私の勤務先は働き方についてはもともとフレキシブルな会社なのだが、今回の件では上司や人事も支援してくれていて助かっている。会社の理解がないと、治療と仕事の両立はステージIだったとしても簡単ではないだろう。

とはいうものの、周囲の人に気をつかわせることは避けたい。なので私の病気について知っている人は社内でもごくわずかしかいない。

2018年2月X日

放射線治療の方針を検討するのに必要なCTスキャンを行う日。最初に産婦人科に行き、体内にガーゼを入れる。これは、手術でどのあたりまで切っているかを分かりやすくするためらしい。それから放射線治療棟に行く。一般的なレントゲンやCTスキャンやMRTの検査を行うエリアからはずいぶん離れた場所にあった。ここにやってくるのはがん患者とその家族ということになる。

最初に、下腹部から胃の直下あたりまでに照射用のマーキングを行う。下腹部のいろいろな場所にマジックで印をつけ、その印の上から保護用のスプレーをしていく。それからCTスキャン。スキャンの後は治療の時間帯について看護師さんと話し合い、さらに改めて生活指導を受ける。

今回の生活指導では治療が始まってから想定される問題や、それを和らげるために必要なことの説明を受ける。私の場合は骨盤への照射になるので、腸や膀胱まわりの調子が悪くなるそうだ。具体的には皮膚炎、消化管の粘膜炎とそれに伴う下痢、膀胱炎、陰部の粘膜炎、照射部分の脱毛が治療中に起こり、治療終了後には直腸や膀胱の出血、リンパ浮腫の可能性がある。

消化器官へのインパクトが強い治療になることから、治療が始まったらコショウや唐辛子などの刺激物の入った料理は避けるように言われた。自家製の野菜スープにカレー粉とガラムマサラを加えて飲むのが最近の楽しみなのだが、これもしばらくはストップしなければならないのか。生活指導の後、再び産婦人科に行ってガーゼを取ってもらって本日は終了。

2018年2月X日

治療計画のためのCTスキャンから1週間が経ち、再び放射線科へ。CTスキャンのときに身体につけた印が消えないよう、マジックで上書きするためだけの通院だ。確かに脇腹のマークはほとんど取れかかっていた。作業は3分程度で終わり、ただちに会社に戻る。

会社と病院の往復には時間だけでなく体力も必要になる。職場から職場の最寄り駅まで徒歩10分→病院の最寄り駅から病院まで徒歩10分→病院から病院の最寄り駅までの徒歩10分→職場の最寄り駅から職場までの徒歩10分。結構しんどい。いずれは慣れてつらくなくなるのだろうか。これを続けていたらまた体重が減りそうだ。

2018年2月X日

週末。昨年の暮れに手術をしてから、どうしても必要な外出以外はしなくなった。「天気がいいからちょっとお出かけ」「映画を見に行きたいから外出」のようなことはなくて、出かけるとすれば「生鮮食料品の買い出し」とか「ヘアカット」のような理由がない限りは自宅にいる。体力が落ちると人付き合いは悪くなるが仕方がない。

平日は海外との夜間のビデオ会議などで寝不足になるので、休みの日はできるだけ多めに睡眠を取るようにしている。だいたい8時ごろに起きて、9時半ごろまでに朝食。買い出しが必要ならばその後出かけて、午後1時過ぎに昼食、午後6時に夕食。昼食と夕食の間に平日用の食事の作り置き。そしてネットや読書、テレビで1日が終わる。

2018年2月X日

80代前半の父と70代後半の母は、数年前から持ち物の処分を少しずつ行っている。私が子どものころ、実家のかなりの面積を占拠していた父の本はどこかに寄贈され、幼いころの私や妹の写真や、母がもっていたごくわずかなアクセサリーはすでに私と妹の手に渡っている。

今日は母から電話があった。仕分けがちょっと厄介なので手をつけていなかった五段飾りの雛人形をついに処分したそうだ。たしか私が3歳のころ、母方の祖父が買ってくれたものだが、私が中学生になるころには飾ることもなくなっていた。久しぶりに箱を開けたら、布でできている飾り物がまるで紙のようにくだけてしまったらしい。

両親とは退院前日以降一度も会っていない。彼らが住んでいるところは私の住んでいるところから少し離れているし(電車だと1時間半ぐらいかかる)、彼らは高齢で私は体調不良。私の入院中はほぼ毎日2人で見舞いに来てくれていたが、彼らの年齢や体力を考えると本当に大変だっただろうと思う。放射線治療が終わって体調が安定したら実家に行こう。

2018年2月X日

自宅からビデオ会議に参加してから急いで病院に行き、1時間半近く待って産婦人科の診察。本かiPadを持っていけばよかった。

診察では先月のCTスキャンと血液検査の結果を聞く。今のところ「明らかな再発・転移の兆候はなし」とのことだがリンパ嚢胞はあるようだ。手術の際、リンパ節を郭清したためだろうか。

診察の後は血液検査をしてから病院の休憩コーナーで昼食。本当は会社で食べるはずだった自家製スープ、SOYJOYにナッツという組み合わせ。12時半を過ぎていて空腹だったのだ。さらに豆乳を近くの売店で買って飲む。会社に戻るとすぐに会議。その後も会議が続く。あまり無理をしないほうがよいのだが、こういう日もあるということだ。明日から放射線治療が始まる。

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カワシモ

放射線治療を受けてみた

子宮体がんの告知を受け、手術の後に放射線治療を受けたときのことを書いていきます。