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広告代理店に疑問をお持ちのみなさんへ*広告の仕事ってなんだろう(総集編)---やっぱりCore Valueをプロモーションし、ブランド創りとそのマネージへの責任を果たすための存在ではないでしょうか?

僕の考える広告の仕事についての後編改め総集編です。
前編糊代編の総括です。
その2つの記事を読まなくても完結できるように内容を工夫します。


繰り返しになりますが、まずはJobsさんを引用します。
彼のこのスピーチは僕にとっての「禁断の果実」です。

“Marketing is about values. It’s a complicated and noisy world, and we’re not going to get a chance to get people to remember much about us. No company is. So we have to be really clear about what we want them to know about us.” Steve Jobs

広告の仕事はマーケティングの一部です。
マーケティングは価値のことだと、彼は明快に規定しています。
価値を具体的なものにしていく、価値づくりにおける課題を解決していくことが広告代理店に期待されていること、広告代理店の仕事です。
今回はそのValue(Core Value)に対してどういう責任を果たしていくのか?についてまとめていきます。


広告のマーケティングにおける位置付け


2005年にUCLAのエクステンションスクールで「International Advertising」という講義を約半年間受講しました。
アカデミーの視点をビジネスに取り入れることができた良い機会でした。

どこかでしっかり調べたいなーと思っていますが、日本では「広告」が学問として成立していないのでは?という疑問があります。
それぞれが印象レベルで申し訳ないのですが…
詳しい方がいらしたらぜひ教えてください。

アメリカには「Advertising & Marketing」というカテゴリーがあります。

中国でも大学で広告を専攻していました!という社員がいました。
日本でも東洋経済の記事になっていました。

エクステンションスクールでの講義に話を戻します。
授業の一番最初に出てきたキーワードがマーケティングの4Pでした。
4Pとはなんですか?という初歩的な質問を投げかけられたことを今でも覚えています。
正直ショックでした。

それまで広告の仕事は「クリエイティブ」だと思っていたのですが、マーケティングへの貢献であるということについて認識を新たにします。
また広告における「クリエイティブ」が一体何のためにあるか、掘り下げていなかった自分を反省しました。

当時クライアントビジネスを通じて交流をしていたTBWAの人たちと行き違いを感じていましたが、「広告」が果たすべき役割の前提が違っていたのではないか、それであればこれは「Lost In Traslation」どころの話では済まないなぁと。

2005年から自分の中での「広告」とは何か?という問いが本格的に始まります。
データベースマーケティングの勉強もしてくるようにという指示が会社からはあったのですが、広告そのものについて考える方を自分の中で優先しました。

Creativityを伴うサービス=広告業


マーケティングの一部であり、心理学などの要素も取り入れられて学問とされているのが広告です。
ビジネスの実態はサービス業。納品物・成果物は様々です。
そしてIDEA(Big Idea)がビジネスの期待値の真ん中に据えられています。

アメリカ市場やイギリス市場で活躍している人たちと話をしているとCreativityを大事にしているというフレーズがよく出てきます。
組織論になるとIDEAを生み出す上で大事なのはCreativtyが業務に関わるエージェント全員にあることだという主張がなされます。

大事なのはCreativeではないの?とモヤモヤします。
組織論でCreaativeというコトバを使う時は「全員がCreative」というフレーズを耳にします。
Creativeはもちろん、営業もプラニングもCreativeであると…
日本で仕事をしていた時はCreativeは「制作職」という職種であると捉えていました。
コピーを書く専門家、デザインをする専門家、そんな理解でした。

日本になくて、欧米と中国にある職種


モヤモヤしながら2009年から中国で仕事をスタートします。
そこで気づきます。Creative部門は「創意部」と中国語に翻訳されていました。
創意=新しい発想をする人たちなんだ、定着する人ではないんだ、ということがまず字面で、そして、友人の香港人Creative DIrectorとの会話の積み重ねで分かってきます。

当たり前ですが、CreativeはソリューションのためのIDEAを発想することを役割とする人たちです。
そしてCreativeのすぐ隣にはプロデューサー・スタジオ(実現する人・制作する人)が座っているわけです。機能としてはインハウス(内部に設定)されています。欧米、中国でも同じ組織構造です。
日本では制作プロデューサーやスタジオ機能は外部に委ねがちです。

3つの言語と3つの市場での働き方を比べる中で自分なりの広告感ができ上がります。
その広告感を元に、日本の広告業界を考えるのがこのBlogです。
そこで、自分史をなぞりながらみなさんにお伝えしていく構成にさせていただいています。

ちなみにCMプラナーは日本で生まれた概念と職種です。
電通Gの発明と言われている職種です。
欧米のエージェンシーではこの役割の方はあまり見かけません
こちらもどこかでお話ししたいと思います。

全員がCreativeであるということは新しい発想(少なくとも新鮮な視点)を持つということで自分の中で整理ができています。

そして、サービス業である私たちが実務において最も大事にしなければならないのはCreativity=日々の創意工夫であるということに気づきます。

上記の経験を持ってCreativityを「創意工夫」と定義しています。

広告代理業は「得意先あっての創意工夫」業


この視点を持ってうまく運用されているチームは、インターンの着想であったとしても、素晴らしい「不滅のキャンペーン」に仕上げることができます。

簡単にまとめると


マーケティング(市場創造・価値創造)に広告エージェントとして関わることはCreativity(Creativeではないです)を発揮してIDEA(ソリューション)で顧客(ユーザー)と一緒にソリューションとしてブランド(アイコンと文化=一定の行動様式)を創ることです。

広告(業界)は流行り言葉でできている


言葉が溢れています。広告は流行語で出来ていると揶揄する人がいます。
確かにそうですね。しかも、カタカナが溢れています。
言葉を仕事にしているからこそきちんと言葉の吟味をすることが必要です。
使い方も丁寧にしたいのですが、実際は「流行り言葉」を使う=「新しいこと」が優先されています。

なぜ広告代理店が信用されないのか?


これも得意先から「ふわふわしている」とご指摘を受ける理由の一つです。
ふわふわしないためには何かアンカー(碇)にするものが必要ですね。
そのアンカーこそがマーケティング(ビジネス)ということだと思っています。

プロモーション領域においてプロフェッショナルとしての責任を果たすことが最初の仕事です。それをなしえるからこそ、統合されたマーケティングリソース(マーケティング4P)に対してチャレンジできるのです。

表現開発と定着やメディアの売買に優先順位を求める広告代理店がクライアントさんから疑問に思われることが多いことは事実です。
提供すべきサービスと報酬の仕組みに乖離があります。

このギャップを解消して、広告代理店が本来提供すべきサービスに戻しましょう。

そのためには論理的な体系を構築する必要があります。アカデミーとの連携は重要です。

広告がマーケティング活動に貢献するにはまず本務からです。
広告サービスのメインテリトリーは4Pにおけるプロモーション領域です。
現代ではマーケティングにおけるFull Funnelマネージメントによる説明責任を伴うことが求められています。

トップファネルは「買える」


あるクライアントと広告投下費用(メディア費用)について研究を重ねる中で、トップファネルは投下した広告費の蓄積と相関性があることをデータで確認しました。
相関係数は0.6前後。蓄積・累積効果があります。
つまりトップファネルは短期長期であっても買うことができるのです。
そこで新商品発売時の認知向上のために大型TVスポットを発注するということになります。

広告費の効率的な使い方が好況不況に関わらず絶えず求められます。
広告費を潤沢に使えば、認知度をあげることができます。
逆説的にいうと「知名度」とか「認知度」を広告の目的におくのであればより贅沢な広告費が必要になります。
しかし現在はマスマーケティングにおいてもデータが活用できます。
つまりターゲットへのセグメンテーションが容易になってきています。

日本では「有名ブランド」という言い方がありますが、知名度が高いことが大事に思われています。「テレビでも取り上げられるブランド」という評価のしかたもありますね。

経験的にいうと、売り上げがよく無い商品はトップファネルからミドルファネルへのコンバージョンがあまり良く無いことが多いのです。
「理解」は買えない、ということかもしれません。
買えないなら「創る」しかない、創意工夫の出番です。

デジタルに特化した広告代理店がメディア運用やSEOなどこの領域で優位性を発揮していますが特定メディアを中心としたフルファネルと統合マーケティング(リソースマネージメントと価値の連鎖の仕組みづくり)でのフルファネルと図るスケールを変えてみましょう。
ターゲットインサイトに基づくCreative・BIG IDEAが鍵になります。
デジタル広告代理店もCreativeスタッフの確保にチャレンジしていることからもその重要性が理解できるでしょう。

マーケティングにおけるミドルファネルの重要性についてはコピーライターの小霜和也さんが詳しく書かれています。

小霜和也さんは他界されてしまいました。本当に残念です。
彼の著書は広告代理業に携わる人間は一度は読むべきものです。


習慣化について


「体験価値」という概念が世の中に出始めてからすでに20年以上経ちました。
「体験」が「経験」になるときは、身についたとき、です。
習慣化=マーケティングのゴールの一つです。

同じ行動習慣を持った人たちの集団を「文化=culture=how to behave」と規定しましょう。
ちなみに中国の文化も「行動様式」に近いニュアンスを含みます。

「使えば分かる」


「使ってもらえば商品の良さがわかる」ということを悩みとしてお持ちのクライアントさんはたくさんいらっしゃいます。
「使ってもらう」ことがプロモーションの最優先順位。
では、誰にどう使ってもらうのか?ということが課題になります。
その課題に広告代理店は知恵を絞れば良いことになります。
「継続的使ってもらう」となれば、お題には継続が課題に入ってきます。
得意先と会話を繰り返して課題整理と構造化でブリーフ(オリエンテーション)の精度を上げていくことが広告代理店の営業の大事な仕事のひとつです。

*使わなくても良さがわかることを理想にすれば、経営(マーケティング)資源をデザイン(見た目)に投資するということもありますね。

インターネットが普及して、UGCなどの概念が生まれ、実際ユーザー側が情報の発信者になりました。

Appleのブランドエバンジェリストは有名です。
優れたブランドになるためにエバンジェリストを育てたいという課題があります。

商品・サービスの推奨者ではなくAppleカルチャー布教者です。

ブランドは商品サービスと顧客の交流(インタラクション)の成果です。
その対話を創ることが広告の仕事では?と思うようになりました。

僕の考え方のバックボーンとなったビデオがあります。
後ほど紹介させてください。

それ以降は認知最大化だけではなく、価値を顧客のココロに創る・顧客と一緒に価値を生み出すこと(ミドルファネルマネージメント)が広告の本務と規定しています。

所有価値→利用価値→体験価値


Pricelssというマスターカードが大事にしているコトバがあります。
僕にとってはミドルファネルはプライスレスです。

所有価値→利用価値→体験価値は市場経済の成熟化によって時系列的に現れています。
この三つの価値は併存しています。

僕はギターが好きなので、ギターで三つの価値を整理します。
ギターを持つ喜び(所有する(買う)ことで得られる喜び=憧れのギターを手にした=所有価値)
ギターを弾く喜び(使うことで得られる喜び=ギターが上手くなった、バンドを組むことができた=利用価値・使用価値)
ギターと創るそこにしかない歓び(ギターと創る思い出・例えばバンド活動で手にした感動=体験価値)

三つの価値のどれが高尚とかということでもありません。
そもそも価値ですから人それぞれの楽しみ方があるということにおいても併存します。

三つの価値のあり方ですが、近々、日本市場におけるミニバンが活性化していた時代で検証します。
トヨタ(ヴォクシー)、ニッサン(セレナ)、ホンダ(ステップワゴン)で分析します。

体験価値が共有される世界


顧客はその体験価値を「Icon(象徴的なデザイン・コトバ)」化し、それによって認識されます。つまりそれが「ブランド」であると僕は認識しています。

Iconに集う人たちは、Culture(行動様式を共にする)になります。
つまり仲間です。Cutlrueは消費されない。価値の連鎖を生む、経済的な言い方をすればLTVを最大化します。

以前も紹介したTBWA WWの最近のXへの投稿をシェアさせてください。

ロゴを見ると背景情報がデコードできるものとそうでないものがあります。それは購買の意思決定にまで影響します。
これが広告のチカラです

テクノロジーがなぜ必要か


テクノロジーの進化はターゲット顧客とのインタラクションだけではなく、顧客側が情報を発信することができるようになりました。

また商品やサービスがコモディ化すると言われていますが、企業側もイタズラに知名度を追いかけるのではなく、顧客との関係性(本当に買って欲しい人・使って欲しい人)を構築することに優先順位をおいています。顧客との関係性重視においてはB2BもB2Cも同じです。

サービス業である広告代理店が顧客であるクライアントさんに売るIDEA(Solution)です。
IDEAは顧客に届くこと、そして、顧客とインタクションすることではじめてDelivery/Implimenationされたことになります。

届けること・届くことがまず重要視されます。
その時代で最も到達効率が高い技術テクノロジーが目的達成のサポートをしてくれます。
例えば、印刷技術、ラジオ技術、映像技術(映画・テレビ)などをテコに使います。インハウスにプロデューサー機能・スタジオ機能があると記載しましたが、プロデューサーは最もモダンなテクノロジーの理解者ですので、クリエティブのIDEAを実現するには彼らとの協働が必要です。

テレビが最もモダンだった時代はお茶の間での会話の機会をジャックすることブランドとのインタラクションになりました。
今でもスーパーボールのようなモーメンツの使い方は引き続きこの範疇ですね。
テレビは終わったという人もいますが、僕はその意見に懐疑的です。
それは使い方次第ということで再認識すべきだと思っています。

メディアとテクノロジーはメッセージをアンプリファイするための装置です。
デジタルが一般的になるまでの技術では認知と理解のためのメッセージは一方通行の時代が長かったです。ATL・空中戦です。
ですから、ドアに内側に入るメディアとしてクレジットカード普及以降のDMの役割が大きくなったことは当然の流れです。アドレスという単語は住所であると同時にターゲットに照準を定めるということでもあります。DMが進化すればより精緻なターゲットマネージが時間軸でできるようになります。インターネット広告の世界で使われる指標はDM時代と同じものがまだまだあります。

具体的な個別媒体をviechleと言いますが、まさに目的に到着するための乗り物です。
BTLの重要性は上述の通りクレジットカード普及が背景にあると言われています。メッセージをターゲットの家の中まで届けられますね。
文字通りBTL・地上戦から始まりましたが、テクノロジーにより確実にターゲットに届くミサイル技術みたいなものに発展しています。

その時々のテクノロジーを使って、マーケティングにプロモーションで貢献すること、目的を達成することが広告の歴史です。

インターネットとの登場で加速すること:枠から装置へ


広告がメッセージであるならば、そのメッセージを届けるためのメディア・ビークルが必要なことは上述の通りです。
装置の仕組みを理解している人がチームの中にいる必要があります。
エージェンシーにおける「プロデューサー」はIDEAを装置に載せるためのプロフェッショナルです。
優れたCreative Directorにはいつも優秀なプロデューサーが隣にいます。
印刷→音声放送→映像放送などの進歩は「情報をより遠くの人に届ける」という観点では順目の進歩とも言えます。

インターネットが可能にしたもののなかで「インタラクション」はIDEA開発に大きなインパクトを与えます。
双方向の技術は今までのIDEAのあり方を変えています。
情報の受け手が発信者になること、そして、計測可能になったことなどはメディア的には大きな変化です。

IDEA開発では従来の広告プロセスを理解しつつも異なるスキルをもったプロデューサーが求められます。
計測可能性の観点ではメディア代理店にとっての価値観のチャレンジです。計測のプロセスで透明性が増していくことは避けられません。
レモン市場ではなくなります。より説明責任が求められることになります。

インターネットの登場以降「広告」と「広告代理店」は終わった、と言われることが増えました。それは従来のプロセスで対応する広告と広告代理店の終焉と意味ということで整理しましょう。

新しいテクノロジーをテコにして得意先のためにIDEAを開発し、問題解決をするというエージェンシービジネスの本質においては「新しいやりがい」の時代が訪れたと認識すべきです。

プロモーション領域を中心にしたマーケティングのファネルマネジメントは広告代理店の説明領域です。
インターネットによる双方向性は、トップファネル重視からよりミドルファネル重視ができる環境を生み出しました。
ミドルファネルは顧客とのボンディングの入り口です。
ミドルファネルがマネージできる環境=「ブランド」を創ることがより精緻にできるようになったと理解しています。

4つのIでIDEAを構成する要素をまとめます

強いIDEAは以下の要素を内包している必要があると僕は考えています。

Intelligence (情報ではなく諜報)
Insight (洞察)
Interaction(双方向性)
Icon/Iconic (文化の象徴・暗号のデコード)

目的達成のためにはテクノロジーはテコとして使いましょう。

目的達成のためのアプローチ


Telling Story/Narrative(From monologue to dialogue)が欠かせません。
顧客が物語にengagimentされることでCultureとして育っていきます。
その時代のテクノロジーはStoryの伝え方に影響を与えますが、顧客のココロに届くアプローチは変わっていません。

Packaging at Apple is a message 


上記のキーワードを理解してもらう上でとても重要なビデオがあります。
Appleにおける広告の位置付けを理解することができます。
翻って、広告とは何か・何をすべきかということについてのヒントになります。

本ビデオは長いですが、一度見てください。
僕の大好きなLeeさんとC+PBのボガスキーさんの2012年の対談です。

全編にわたり素晴らしい内容です。
まず、ビデオの中のLeeさんの発言に注目して欲しい件があります。
メディアについての考え方とそこに向けた取り組みです。

またAlex Boguskyさんの「gaming」についての発言も注目です。
後日別のケーススタディで詳しく掘り下げますが、個人的にはインタラクションの意味が含まれていると解釈しています。

改めてですが広告も商品やサービスの一部です。
Leeさんの発言の重要性に戻ります。
統合的マーケティングから生まれる「パッケージグッズ」を構成する重要なパーツです。
顧客と奏でるStoryにおけるインタラクション機能をマネージする役割をはたします
その時「メディア」はTVCMの枠に代表される「広告枠」ではありません。
Creative Agencyのトップの方の発言からメディアについて考えてみましょう。

「メディア」とは?


顧客とのインタラクションをする「場」です。
テレビCMをはじめとした広告情報を流し込む「枠」ではありません。

多くのメディアのデータが活用できる時代です。
店頭(店員)と同じ役割を広告メディアが果たします。

データの観点ではトラディショナルやデジタルという概念がなくなります。
メディアニュートラルです。

トラディショナルやデジタルと従来の分類分けで捉えることはむしろ広告代理店(メディア代理店)の都合であるというのが僕の立場です。

データを使用することで設計段階からターゲットに対してより正確にアプローチできるだけではなく、計測が可能になります。
統合マーケティングROIかKPI測定の中での中で広告の効果測定ができる:切り離されたものではない:ということです。

短期的なトラッキングだけではなく長期でのトラッキングも可能になっています。
ミッドファネルにおけるエモーショナル面でのリンケージ、エモーショナルボンディングがセールスや企業利益にもたらす長期的な効果を測っているクライアントさんも増えています。

報酬体系の革新:知恵にお金をつける


日本の広告代理店ビジネスにおいて、メディアでの報酬体系が長らく続いています。
得意先から見たら不透明な部分も多く、スペースブローカーとか利権ビジネスと見なされてしまう残念な側面があります。
一方で、メディアコンペんセーションは広告代理店の優秀な人材を人件しベースでは比較的リーズナブルに使いまわせるというクライアント側のメリットがあることは事実です。

僕は電通型モデルを否定しているのではなく、メディアを代理店サービスの報酬のための道具から切り離し、IDEAを実行するための装置に置き直すことを目指しています。
つまりCreativityに対してお金を払ってもらえるようにできるのでは?と考えているからです。

これは広告代理店の成果の設定を明確にする=得意先とのスコープ(契約)を明快にするということにつながります
メディア売買から何らかの方法で離れること、それで、はじめて本来の意味での「Creativity」の開放が行われます。

ブリーフィングは契約書


あるキャンペーンのブリーフをもらった時にクライアントと広告代理店双方が意識すべきことはブリーフとは契約書であるということです。
歴史的に広告の仕事は口頭で進められることが多かったようです。そこで、仕事をしっかり発注する(設計する)→内容を書き出して契約するという行為が始まります。
ブリーフに双方の責任者がサインをするのはこの歴史的な経緯が反映されています。
ブリーフは具体的にはクライアントチームのサービスの規定=契約書をつくることであり、単なるキックオフ行為以上のものです。
この点を前提にきちんと双方で詰めていく、対話を重ねていきましょう。
良い結果が待っています。

クライアントチーム


クライアントチームは、営業、ストプラ、クリエイティブで構成する「三角形」が基本となって提供すべきサービスを提供します。その契約書・仕様書となるものがブリーフィングです。
ブリーフィンに基づきチームを動かすコンサートマスターが営業です。

企むとは:Strategyの仕事について


Marketing ObjectiveにOnかOffかをだけを考えるのではなく、Brand(ターゲット顧客の中にある体験価値)についてOnかOffからの観点を入れること、二つの軸のなかで最適解を探すこと、合成を探すことがCampaign Straetgyです。つまりStrategyの仕事です。

エージェンシーはマーケターとして感性を持つ必要がありますが、マーケティングのタクトを振るのはクライアントです。
繰り返しになりますが、エージェンシーの営業はコンサートマスターです。予算や納期を含めた全体を調整します。

Creativeが創造するもの:インタクション


Creativeは顧客との交流ストーリーを創る人です。
それはモノローグではなくナラティブである必要があることはすでに書きました。

その物語を実現するためにプロデューサーやメディアチーム(顧客との交流の場であるタッチポインデザインと実装、メディアについては外部・グループ外のメディアエージェンシーのケースも)が協業します。

水平方向に組織を動かしていくので、営業のメタ認知能力が問われます。

日本には「CMプラナー」という職種がありますが、欧米にはありません
アートディレクターとコピーライターがCreativie Direcotorの元で活躍しています。
日本はSolution提供において何を優先してきたか、を考える上で重要なポイントです。

イギリス発祥のCreative編成は、CDの下にコピーライターとアートディレクターです。
日本型、訪米型のどちらが良いかではなく、与えられた目的を達成するためにはどういう編成が良いかの問題と理解してください。

この辺りはいつかnoteでアカウントプランニングの歴史を振り返るつもりですので、そこで詳しく書きたいと思います。

もう一度Creativeに期待されることについて


Creativityはチーム全員がそれぞれの職種・役割において発揮する必要条件です。
創意工夫は広告代理店とそこで働く人たちが最も大事にします。
広告代理店が提供するサービスの全てのプロセスにCreativityが求められます 。
広告代理店の花形はCreativeと思われることが一般的かと思います。
実際にCreative AgencyやBrand Agencyと呼ばれる会社の売り物はCreativeとPlanningです。

広告領域ではプラニングが出した戦略を双方向のブランド体験装置にしていく・解決策に落とし込む、その設計がCreativeの仕事です。

一般的にコンサルティング会社には「Creative/制作」という職種は存在しません。
このことからもお分かりになるかと思います。
マーケティングで実行責任を伴う仕事・結果責任を伴う仕事が広告代理店に課せられているということです。
広告代理店のクリエティブの実行力が得意先のビジネスの成果に直接インパクトを与えることになります。その責任とプレッシャーに向き合うことでCreative/Creatorがスターになります。
表層的な表現ではなく、ソリューションのための装置開発と実装が本務です。それは優れたクライアンチームで実現します。

Valueに対する責任において創意工夫とは何か?


広告代理店の最も大事な要件は創意工夫です。
創意工夫とは何でしょうか?

僕は「軟骨」をイメージします。
統合と役割分担はともすると対立を生みます。
マーケティング4Pの役割を分けると機能間の対立が生まれます。
得意先ビジネスが製造業であれサービス業であれの統合については水平方向になってきています。

機能と機能を有機的に機能させるには「軟骨」が必要と考えています。
軟骨は妥協ではありません。機能するための存在です。

広告代理店で働く人たちの特殊スキルは「調整能力」「調和力」「つなぐ力」です。
「なんとかしようとする力・つなげる力」と言っても良いかと。

そもそも代理業ですから「間に入ること」がとても得意なのです。
得意先(企業)と市場(マーケット)を構成する人々(顧客、消費者、生活者)の間にあるギャップを埋めるのが広告の仕事です。

複雑系的なアプローチで物事を理解することが好きという僕の個性もあると思いますが、広告代理業の創意工夫は物事を前に進めるためのつなぐチカラです。
その力を創意工夫として得意先に提供(Valueに対する責任を実行)します。

エージェンシー・エージェントですので得意先を親身に想う力は創意工夫の出発点です。

人の間にKDD:1988-1989のKDD(当時)の広告です。
これが僕の博報堂の志望動機です(本当は電通が第一志望でした笑)

まとめます


得意先のCore Valueを顧客とのインタラクションを通じて顧客のココロの中に実現すること、そのための装置を開発すること、その運用を行うことが広告代理店の仕事です。

マーケティング(市場創造・価値創造)に広告エージェントとして関わることはCreativity(Creativeではないです)を発揮してIDEA(ソリューション)で顧客(ユーザー)と一緒にソリューションとしてブランド(アイコンとしての意味および実態、特定の文化=一定の行動様式)を創ることです。

自覚をもとう:広告は嫌われている


Interrutor(情報遮断機)であることを理解していれば、本来の目的・役割であるInteractor(情報共有交換機)に徹することができます。 

「Interruptor」と「Interactor」は本来広告の文脈で用いるべき言葉ではないですが、あえて使いたいと思います。

身の丈を理解していれば、ターゲットオーディエンスに余計に大きな声で名前を連呼したり、気に入られようと必死に媚を売ったり、流行りのセレブリティの力を過剰に頼りにする必要はありません。
フォーカスすべきことに優先順位をつけられます。 

「Interruptor」と「Interactor」は、コンピューターサイエンスやソフトウェア開発の文脈で使用される2つの異なる用語です。

Interruptor (インタラプター):
「Interruptor」は、主にハードウェアやオペレーティングシステムの領域で使われます。これは、ハードウェアイベント(例: デバイスからの信号、タイマー割り込み、エラーなど)に応答して、コンピューターシステム内で実行される特別なプログラムまたはハードウェアコンポーネントを指します。割り込みは、通常、実行中のプログラムの実行を一時停止し、割り込みサービスルーチンまたは割り込みハンドラーを実行し、割り込みが処理された後に元のプログラムに戻ります。これにより、外部イベントに対応できるようになります。

Interactor (インタラクター):
「Interactor」は、ソフトウェア開発の文脈で使われる用語で、特にユーザーインターフェース(UI)やビジネスロジックのコンポーネントに関連しています。Interactorは、ユーザーインターフェース要素やアプリケーションの一部として、ユーザーからの入力を受け取り、それに対する処理を実行する役割を果たします。これにより、ユーザーとシステムの間の相互作用を管理し、ビジネスロジックとUIを分離してソフトウェアを効果的に設計できます。Interactorは一般的にMVP(Model-View-Presenter)やClean Architectureなどのソフトウェアアーキテクチャの一部として使用されます。

要するに、"Interruptor" はハードウェアやシステムレベルの割り込みを指し、"Interactor" はソフトウェアのコンポーネントで、ユーザーとアプリケーションの間の相互作用を管理します。両方の用語は異なる文脈で使用され、異なる役割を果たします。

Chat GPTによる説明

さあ、広告代理店とブランドを創ろう

広告で創る(べき)価値はブランドです
マーケティングにとって大事な仕事です。
ブランドづくりについてはぜひその専門家である広告代理店に相談を。

クライアントさんと広告代理店のRelationshipへのアドバイス、広告代理店へのコンサルテーションなども行っています。

記事についての質問、疑問などもお待ちしております。

お気軽にどうぞ。
森の連絡先はこちらです:h-mori@threeplussix.com

それではまた。

ヘッダーにはUnsplashan_vision さんが撮影した写真を使用させていただきました。ありがとうございます!

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