ITストラテジスト試験章立て-2021-1

X-Twitterを中心にIPA資格試験の情報発信をしてます。

ST試験を受験する方の参考になればと、公開されている過去問を章立てしてみます。

あえて細かい説明は省略し、淡々と組立のプロセスを残します。

お読みいただく方には「出来ていく過程」を追っていただければと思います。
今回から、より実践的な内容とするべく「本番で書くメモレベル」にします。


さて、今回の問題はこちら。

階層1

はじめに、全体を囲う階層を設定します。
ここに悩むのは時間がもったいないので機械的に行います。
冗長で格好悪い表現に見えるかもしれませんが、素直に設問を引用します。


1.私が携わったDXを実現するための新サービスの企画
2.DXを実現するために企画した新サービス
3.経営層への提案と評価および改善点



階層2

次に、2階層目です。ここも、半ば機械的に仮置きします。
この後の「階層3」の内容によって、組み替えることもあります。


1.私が携わったDXを実現するための新サービスの企画
1-1.事業の概要と特徴
1-2.DXの取組みの概要

2.DXを実現するために企画した新サービス
2-1.ターゲットとした顧客およびニーズ
2-2.私が企画した新サービス

3.経営層への提案と評価および改善点
3-1.私が経営層に行った提案
3-2.経営層からの評価および改善点



階層3(仮置き)

最後に3階層目。ここに最も多くの時間を割きます。
仮置き→確定と、二段階に分けて対応します。

仮置きの段階で、本文の構成要素すべてを論述に適した場所に配置します。


1.私が携わったDXを実現するための新サービスの企画
1-1.事業の概要と特徴
・(省略)半ば定型文となっている事業概要
・事業環境は‥

1-2.DXの取組みの概要
・デジタルトランスフォーメーションに取り組むことが重要となっている
・A社の経営層は‥
・私は、A社のITストラテジストである
・DXを実現するための新サービスを企画

2.DXを実現するために企画した新サービス
2-1.ターゲットとした顧客およびニーズ
・私は、DXを実現するための新サービスを企画する際には、ターゲットの顧客を明確にし、その顧客のニーズを基にサービスを検討する必要があると考えた
2-2.私が企画した新サービス
・AIやドローンなど、先進技術っぽいものを一つ以上入れる
3.経営層への提案と評価および改善点
3-1.私が経営層に行った提案
・私は、DXを実現するための新サービスを具体化するために、収益モデル~協業先などを検討し、経営層へ提案することが重要と考えた(いずれか2つを選択予定)
3-2.経営層からの評価および改善点
・海外の先進事例などを調査し、その結果をフィードバックして欲しい。など、経営層が言いそうなこと。



階層3(確定)

最後に3階層目を確定させます。
仮置きする中で、「QCDのうちD(戦略上においては変化への対応速度)が重要とする方が書きやすそう」と考えました。

全体像を探る中で、書きやすくするための制約条件を自ら設定することで、筋道を作りやすくします。


1.私が携わったDXを実現するための新サービスの企画
1-1.事業の概要と特徴
・(省略)半ば定型文となっている事業概要
 ・今回は旅行コンサルタントにしようかな‥
・事業環境は‥
 ・新規参入の脅威
 ・競合他社と比べてIT分野で後れを取り、顧客数が減少している状況

1-2.DXの取組みの概要
データとディジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーションに取り組むことが重要となっている
・A社の経営層は‥競合他社から顧客を取り戻すために、旅行コンサルタント事業の新サービス企画に取り組むこととした
・私は、A社のITストラテジストである
私は、DXを実現するための新サービスを企画
2.DXを実現するために企画した新サービス
2-1.ターゲットとした顧客およびニーズ
・私は、DXを実現するための新サービスを企画する際には、ターゲットの顧客を明確にする必要があると考えた
 ・具体的には
  ・直近5年間の契約情報を分析し、外国人観光客の増加率および契約あたりの収益額が大きいことが解った
  ・私は、外国人観光客をターゲットにした旅行コンサルタントサービスを企画することとした
・私は、その顧客のニーズを基にサービスを検討する必要があると考えた
 ・具体的には
  ・外国人観光客にアンケートを実施した

・アンケートの結果、都市部以外への旅行ニーズがあるものの、言語の壁によって実現していないことが解った
2-2.私が企画した新サービス
・私は、スマートフォンのカメラとAI技術を活用した翻訳サービスを企画することとした
 ・具体的には
  ・カメラをかざすことで、撮影範囲内の文字列を翻訳できる
  ・翻訳できない場合は、「これはなんですか」という日本語発音を案内し、システム外での解決策を提供する

3.経営層への提案と評価および改善点
3-1.私が経営層に行った提案
・私は、DXを実現するための新サービスを具体化するために、先進事例のある海外における先行事例を調査した
 ・同種のサービスは存在していたが、主に英語や中国語など人口比の高い言語が対象であった
 ・私は、新サービスの市場への普及において、まずは英語圏の外国人観光客を対象にサービスを先行し、効果を検証するとともにリスクを最小化する方向で検討することとした
 ・協業先として、検討時に参考とした海外ベンダの日本支社に協力を求めた
・私は、当該サービスに係る投資費用および効果について、上位、中位、下位ケースに分けて経営層へ提案した

3-2.経営層からの評価および改善点
・経営層の評判は概ね好評だったものの、日本語表現の多様さや方言などへの対応など、難点が多いとの指摘を受けた
・私は、当該サービスの将来性を見越した投資のために、まずは「駅」や「公共施設」などの一般的な表現の日本語を対象としてサービスを展開し、その評判を踏まえて拡大することを提案した
・再度提案し、DXの挑戦として承認された



ここまでが、「章立て」の練習となります。

今回のIT施策はかなりフィクション色が強いですが、現実の技術から逸脱していなければ問題ありません。
大事なのは問題の要素を漏れなく織り込むことと、設問1で掲げた目的を一貫することです。

要素を織り込むことは、割とすぐ対応できます。
一貫性を保つために、「章立て」の練習が必要です。

次に大事な点として、ここまでにかけられる時間は30分〜40分です。

これさえできれば、あとは修飾しながら書くだけです。40分で作れるようになるまで過去問を繰り返しましょう。



終わりに、私の著書も紹介します。

試験の攻略法ではなく、なにかとモヤモヤしがちな論述試験をどう捉えればよいか。を中心にお伝えしてます。

勉強を始めたばかりの方にお読みいただくものではないので、気が乗らなくなってきたときに思い出していただけると嬉しいです。

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最後までご覧いただきありがとうございました✨

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