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「訂正する力」読後感想文

『ものごとをまえに進めるために、過去と未来をつなぎなおす力。それが本書が言う「訂正する力」です』  訂正する力という表現ですべてを代名しようとするので、すんなり頭に入らない表現も一部あるが、物事を進めるためにリセットをすること(=0)、もしくは現状を頑なに挟持し続けること(=1)の中間に存在する考え方のことを指している。ゼロイチの対極とは、中庸の思想ともいえるのだろうか。「極端に考えすぎるな、柔軟になれ」とは一見当たり前の主張だが、近年の日本では極端な考え方が横行してこの「

    • 読書感想文 『檸檬』

       十分に眠ることができ、食欲もあり、仕事もなんとかこなして社会生活を営むことができているが、最近心が浮き立つようなことがないなとふと思いたった。最近の私である。  冷静に俯瞰して生活に不自由なく、別段人様に文句を言われる生き様でもないのだが、それならば今この瞬間に満足か、明日死んでも未練はないかと問われれば、素直に頷くことができない。  現代の精神科医にでも罹ればそれなりの病名と処方を受けて、私の「病気」は処理されてしまうかもしれない。でも肝心かなめの部分を見過ごして、無視し

      • 雑記(東京に1週間戻って)

        三連休初日、東京の街を移動していると、大都心のオフィス街にかつて鳥だったものが落ちていました。東京の街ではそれなりに遭遇することがありますが、近日の酷暑からか、肉はほとんどなくなり、どこかの骨がかろうじて鳥であったことを主張しているようでした。私は某巨匠監督の引退作といわれる映画を見るために街を移動している最中でした。花のように着飾り、またたっぷりと整備された肉を纏った男女が目もくれずに歩き去っていくのがあまりにさみしく、報われない鳥の魂とともに歩んでいる気持ちになったのでし

        • ティアキンは「呪いを解く」物語だ

          ※ネタバレがあります 本作「ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム」は「呪いを解く」ことが大きなテーマとして存在している。 この「呪い」とは、歴史や因縁、過去の過ちなど私たちの生を様々な形で制限するしがらみのことである。ストーリーの大筋に絡む形で、様々な「呪い」とそれに対するキャラクターたちのアティチュードが描かれている。 地底に封印されたガノンドロフが復活することで、瘴気が噴き出し、天変地異が起こり、あらゆる呪いが世界を満たすシーンで本作は幕を開ける。災害により地形・

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