見出し画像

キャリア教育 生徒に見せるべきは「過去」か「未来」か?

本稿の結論

  1. 「キャリア」=「生徒の未来」であるが、未来の話だけでなく、むしろ生徒自身の過去をしっかり深掘りさせることが重要

  2. より良いキャリア教育をデザインするためにも、教員はもっと学校外の社会と関わりを持つべき


Xでダイ先生(@dy_papateacher)のこのポストを見かけてまさにそうだな、と思い自分の考えをまとめておこうと思う。

キャリア教育についての考察


名詞ではなく動詞で語れ

生徒の視野が狭いのは当たり前。その中で「志望大学は?就きたい職業は?」と聞けば、当然聞いたことのある大学・職業を言うだけ。それに意味はあるのか?

まず生徒が「どうやって生きていきたいのか?」を問うべきである。それが見えてきて初めてどのようなやり方で社会貢献していくのか、そのために大学は必要なのか、などが見えてくる。将来については慌てて名詞を出させる必要はない。自分の人生を動詞で語れるようにすることの方が大切だ。

キャリア教育間違えていないか?

学校では視野を広げるために、と様々な大学・職業の紹介、調べを行わせる。もちろんそれ自体間違いではないが、効果には疑問を感じる。

どうやって職業を選べばいいのか?

仕事に良い・悪いはない(法令違反的なブラック企業とかの話では無く)。生徒にとって合う仕事・合わない仕事があるだけだ。なぜなら価値観は人それぞれだから。

「自分自身の価値観」を自分で理解することが大切なのだが、これをできている生徒はほとんどいない。(大人でもあまりいないのでは?)どんなことが好きか、嫌いか。長所、短所は?といった浅いものではなく、今の自分を形作っている根源となるべきものだ。これが分からない状態で様々なキャリアを見せたところで、良い選択ができるはずはない。

まずは「自分自身の価値観」を理解させる必要がある。

原体験ドリブン

「自分自身の価値観」を理解するにはどうすれば良いか。

私が個人的にG’s ACADEMYという学校で学んでいた時、チカイケ秀夫さんの「原体験ドリブン」に出会った。「今の自分を形作っている価値観は自分自身の過去の原体験にある」という考えで、それをワークにより深掘り・言語化、ストーリー化して理解する。この考えに共感し、私は原体験ファシリテーターとなった。

原体験ワークショップを生徒に行なったところ、想像以上に真剣に取り組む生徒が多く、反応もよかった。「自分のことなのに意外な価値観に気づいた」といったような感想も複数出ていた。

こういったワークショップを複数重ねていくことで自分自身を深掘りさせることが有効であると考えている。

こうして気付きを得た後、大学・職業を調べると見え方が変わってくる。また、未来の選択肢が見えてくると、今度は違った角度から自分への深堀りを行うことができるようになる。

「過去の深掘り」と「未来の選択肢」をバランスよく行き来しながら行うことがキャリア教育には大切なのである。

このようなキャリア教育を実施してみた

現在受け持っている高校2年生に行なったところ、

  • 志望がはっきり見えてきた生徒

  • 変わった生徒

  • むしろ分からなくなった生徒

など様々であった。いずれのパターンでも多くの生徒が「自分は〇〇だということが分かったから、あるいはまだ分からないから」と言った、理由のようなものを語ってから未来を話すようになった。これは大切な変化であると思う。

教員側の視野の狭さ

ダイ先生のポストのもう1つの論点、「学校以外の社会を知らない教員」についても少しだけ触れて終わりたい。

今回私がキャリア教育に対して、このような考え方を持つことができたのも自分のキャリア、というかスキルに疑問を持ち、前述したG’s ACADEMYへ飛び込み、様々な人たちと出会ったから。この「自分自身で動いた」経験は非常に大きかった。と同時に外から学校や教員を眺めてみると、やはり関わる社会は狭すぎると実感した。

学校しか知らない教員に対して、受け持つ生徒たちは本当に様々な社会へと出てくいく。教員はこのことをもっと真摯に考え、自分から世界を広げる意識を持つべきである。

下の記事はG’s ACADEMYへ入学した時のものです。ご興味のある方はご一読ください。

下の記事はG’s ACADEMYへ入学した時のものです。ご興味のある方はご一読ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?