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日本における法人の数は約300万社で個人事業主も同じく約300万社あります。労働人口に対して約10人に一人が社長となっています。これだけの数の社長が存在しています。

企業の経営を司る社長は良い経営者になりたい。良い会社をつくりたいと思っていますが、この定義を持ち、基準を明確にしている経営者は多くはないと実感しています。

「良い経営者とは。良い会社とは。」「この定義や基準は?」と尋ねられたら、どのように答えますか?

一般的に、経営者の人間的魅力とかリーダーシップやコミュニケーション能力などなど属人的な要素を答える人が多くいます。確かにこれらの要素は大変重要です。視点を変えてみますと、社長は経営戦略を構築、駆使していかなくてはいけないので、これらの精神的側面は一旦、除外して考える必要があります。戦略はロジカルなものであるからです。

ランチェスター戦略において、良い経営者の定義はハッキリと指標で明示されています。それは、従業員一人当たりの粗利益です。(売上の規模ではありません)毎年、業種別の一人当たりの粗利益額が発表されており、自社の数値と比較します。この数値の比率がどれくらいあるかでカテゴリにおける順位を把握するのです。

経営は持続可能であるか、永続的に存続できるかが至上命題であり、存続するには最終利益を出し続けるようにしなくてはいけません。最終利益は、基本的に粗利益が固定費を上回った場合に出ます。

どんなに美辞麗句を並べたり、人間性が素晴らしい経営者であっても利益が出ていなければ「絵に描いた餅のような経営者」と言わざるを得ません。

日本の実業界の父と呼ばれる渋沢栄一氏の著書に「論語と算盤」があります。そこには、「経営者は、論語と算盤という一見相反する二つの要素を併せ持っていなければ経営は成功できない。」という教えが示されています。特に算盤が弱いという中小企業の経営者は少なくありません。

戦略を知り、実践することで一人当たり粗利益は増やしていくことが可能となります。戦略を知らず戦術ばかりに依存する場合は、この逆となります。

先日、2回目となる戦略経営談義という勉強会を開催した際、某銀行の支店長が参加され、銀行が企業を見た時の評価基準やポイントをお聞きすることができて大変興味深いものがありました。業績と併せて戦略の重要性を述べておられたのです。

このように社長は、良い経営者になるために先ずは自分自身の実力を知ることから始まり、次に戦略実力を高めて利益を出せるようにする。これらの連鎖があればこそ良い会社となるのです。もちろん、良い経営者、良い会社は周りが評価するものであります。

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