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連れ去り事件の犯人は配偶者! 単独親権が生む家族の悲劇

こんにちは。ゆりです。

みなさまは「単独親権」という言葉を知っていますか?

お子さんをお持ちで、離婚危機に直面した方ならご存知でしょうか。


離婚後の親権について、日本では父母のどちらか一方を親権と定める「単独親権」という形をとっています。

一方、欧米諸国では、離婚後も父母が共同で子どもを育てる「共同親権」が一般的です。

実は日本では、この単独親権のために、とても痛ましい事件が起きています。


今回は、この単独親権という法律のために起きている事件を通して、
夫婦で子育てをする意味について考えてみたいと思います。

とても胸が痛む事例も出てきますが、ぜひ真摯に考えていただけたらと思います。



単独親権は憲法違反?

(ちょっと難しいお話になりますが、大切なことですのでぜひお読みください)

先日、
「離婚後は子どもの親権を父母の片方しか持てない単独親権制度は、幸福追求権を定めた憲法13条などに違反している」
として、男女6人が国に総額900万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。(2020年10月)

この訴訟で原告団は、
両親が離婚をしても「親子は親子」であるという、「自然的親子権」が憲法13条で保障されていると主張しています。

◆憲法13条とは?◆
前段は、個人の尊厳に基づく基本的人権の保障の意味を伝えています。
後段は、生命、自由及び幸福追求に対する権利、いわゆる「幸福追求権」について伝えています。


代理人の弁護士は
「単独親権制度は、父母の親権争いに子どもを巻き込んでいる。国がこれを放置してきた立法不作為を訴えたい」
と話しています。(参考:朝日新聞)


東京地裁では、この訴訟以外にも、共同親権や面会交流を求める訴訟が相次いでいますが、
国側は「親権は憲法上の人権ではない」と反論をしています。


単独親権が生む悲劇「子どもの連れ去り問題」

ではなぜ、単独親権が問題なのでしょうか?


それは「子どもの連れ去り」です。

離婚したら、どちらか一方しか親権を得られない日本では、離婚する時にどちらが親権を得るかを決定します。

協議離婚が多い日本の場合、親権も夫婦の話し合いで決めることがほとんどです。

ゆえに日本では、家族内の問題に司法や行政が入りにくい、という背景があり、最初に取り決めをしたことも、やがて守られなくなることが多発しています。

そのひとつが子どもの連れ去りです。

いくつかの事例を見てみましょう。


◆面会交流で連れ去り◆

親権を持っていた母親は、離婚後も子どもの成長には父親も必要だと思い、元夫にも学校行事や旅行を通じて子どもと交流させていた。

しかし、元夫と子どもの二人だけの面会交流時に、子どもを連れ去られる。
その後、元夫は行方不明に。

やっと連絡が取れた時には、子どもの親権は元夫に変更されていて、それから一度も子どもに会えていない。


◆元夫の家族が子どもを連れ去り◆

親権で揉めに揉めた夫婦。最終的には子どもの意志で、母親が親権を得た。

しかし、子どもの下校を待ち構えていた元夫とその親たちが、車で子どもを連れ去ってしまった。

元夫一家とは一切連絡がとれず、子どもとも一度も会えない。

自分と暮らすことを願っていた子どもが心配で、何も手につかず、仕事も退職。

心も病み、家でただ茫然と過ごしている。


◆虚位のDVをでっちあげられて連れ去り◆

元妻の精神が不安定であることから、親権を持った父親。

ネット上に、自分が家族にDVを行っていたという中傷文が多数載っていることに気付く。もちろんそんな事実は一切ない。

調べると、書き込んでいるのは元妻だった。

ある日、保育園から元妻に子どもを連れ去られる。

引き渡しを求めるも、DVを理由に拒否。
そのまま親権は元妻に移った。

子どもに一切会えなくなったうえに、世間から「DV男」の烙印を押された父親は、失意のうちに自殺。


◆単身赴任中に連れ去り◆

地方に単身赴任中に、妻が子どもと共に失踪。
勝手に離婚届も出されていた。

何カ月もかけて調べたところ、元妻は違う男性と同居していた。そこには男性の実子もいて、我が子だけが虐げられていた。

子どもを引き取りたいといっても完全拒否。話し合いが出来ないまま、心労で入院。
自分の体よりも子どもが心配だが、取り返しに行くことも出来ないでいる。

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本来、親権を変更するには容易なことではなく、様々な手続きとそれ相当の理由が必要です。

しかし、継続性の原則によって、長く子どもといる親が親権を得られる可能性があるのです。

◆継続性の原則とは?◆
別居している親の子どもが、一定期間、片親と同居して安定した生活を送っている場合は、その現状維持が子どもの福祉にとって利益となる、という考え方


つまり、たとえ連れ去りだとしても、長期に渡り子どもを養育してる親が親権を得られる可能性がある、ということなのです。

これが、連れ去り事件が絶えない理由のひとつです。


継続性の原則については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。


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親が子どもを愛するということ

ほとんどの親は、子どもが生まれた時に

「世界中を敵に回してもこの子を守ろう」

そう思いますよね。


でもまさか。

その敵が自分の配偶者になるなんて、いったい誰が予想したでしょうか。

離婚というのは、あくまでも親たちの都合です。
(DVなどは別の問題ですが)

子どもはそれに巻き込まれただけのことです。

ですから、子どもの最善の利益を親が考えるのは、当たり前のことです。

自分の都合だけで子どもを物のように奪うということは、本来は犯罪に等しい行為です。


ちなみに、「連れ去り」を英訳すると「abduction」となります。
これは本来、「拉致」と訳す方が一般的です。

つまりは、連れ去りという行為は、拉致に匹敵する悪質な行為なのです。


海外と日本の法律の違いによる悲劇も起きています。

引用・Twitter


国境を越えた子どもの連れ去りについては、2014年に日本が「ハーグ条約」(国際的な子どもの奪取についての条約)を結んだため、このような悲劇は起こりにくくなっていますが、それでもなくなったわけではありません。



連れ去られた親は、自死を選ぶほどの苦しみを受けますが、
では連れ去られた子どもは、どうなのでしょうか。

次は子どもの立場に立って考えてみましょう。


「連れ去り」という親のエゴで傷つけられた子どもたち

現在、連れ去られた子ども自身が出来る唯一の法的な権利は、
「子ども本人が家庭裁判所に親権の制限を請求できる」
ということです。

でも、こんなことを当事者である子どもたちが知っているでしょうか?

また仮に知っていたとしても、なんの後ろ盾もなく、ましてや無理やり連れ去られ、信頼できる大人がいない環境の中で、実行できるわけがありません。


誰よりも信頼し、愛していた親が別れるということは、それだけでも子どもにとっては充分に辛いことです。

それなのに今度は、片方の親から無理やり引きはがされて、もう片方の親に「拉致」される。

すべての大人を信用できなくなってもおかしくはありません。


そこに残るのは、深い孤独と親への憎悪、
そして満たされない愛情への欲求でしょう。


そんな当事者の方々が、最近では実際に声をあげています。

引用:Twitter

10代後半のお二人は、実際に連れ去りにあった方々です。

お一人は連れ去りにあった自分の中学時代を黒歴史といい、自殺も考えたそうです。

またもうお一人は「自分たちのように苦しい目にあう子どもを作り続けてはいけない。そのために単独親権を共同親権に変えて欲しい」と訴えます。
(参考記事:田中俊英


このように、単独親権には子どもにも親にも重大な不利益を生じさせる可能性があるのです。


親権争いが子どもに与える悲しい影響については、こちらもぜひ参考にしてください。


では、単独親権ではなく共同親権にすればすべてうまくいくのか、というと、話はそう簡単ではありません。


共同親権のデメリット

共同親権とは最初にお伝えしたように、単独親権の逆で、夫婦両方が親権を持つことです。

これなら今までお伝えしたような「連れ去り事件」も起きないような気がしますよね。

離婚しても何があっても、親にとって子どもはいつまでも「我が子」であり続けます。


しかし、残念ながら、共同親権にもデメリットが存在しています。


離婚後の夫婦というのは、問題なく連絡を取り合える円満な関係性、というケースばかりではありません。

むしろ、険悪な関係を引きずったまま離婚し、そのまま連絡も取りたくない。

そういうケースの方が圧倒的に多いことでしょう。


しかしながら、共同親権の場合、子どもをめぐる重要な決定事項は夫婦の同意が必要になります。

■子どもが手術を受けなければならない
■子どもが違う土地に住むことを希望している
■子どもが転校を希望している
■子どもの定期預金を解約したい

このようなことにも、双方の親の同意が必要になります。


連絡なんか取りたくないからと、話を切り出せない事も多々あることでしょう。


そこで不利益をこうむるのは、残念ながら、やはり子どもということになってしまいます。


また一番の問題はDVです。

現在の単独親権ですと、両親が離婚すれば、子どもはDVの加害者の親から逃れ、無関係に生きることが出来ますが、
共同親権になりますと、加害者の親にも重要事項への同意が求められる可能性があります。


そうなると、子どもはまたDVの恐怖にさらされることになります。



では子どもの最善の利益のためには、どうするのが理想的なのでしょうか?


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単独親権と共同親権の選択制が子どもを守る

私が思う最善の方法は、
「単独親権と共同親権の選択制」、つまり「選択式共同親権」です。


その理由は

■子どもと両親が良好な関係ならそれを維持できる
■子どもにとって片方の親に害があれば切り離すことが出来る
■子どもは「両親から愛されている」という安心感を持つことが出来る
■子どもを奪い合う「連れ去り事件」が起こらない

などです。

実は、共同親権を取り入れている欧米諸国も、ほとんどの国が選択制です。

実際には共同親権を選択する家庭が圧倒的に多いようですが、
DVや金銭的な問題が絡む場合は、法的に片方の親を切り離すことが可能になります。


子どもを真ん中にして、離婚後の家族を考えた時、
この形が子どもを守ることが出来る最前の方法ではないでしょうか。


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子どもの連れ去りは拉致という名の犯罪

夫婦はもともと赤の他人同士です。
紙切れ1枚で、元通りの他人に戻れます。


しかし子どもは違います。

何があっても、親にとっては子どもであり
子どもにとっては親であり続けます。

縁あって自分たちのところに生まれてきてくれた我が子のために
夫婦が争うということは、本来絶対にあってはなりません。


ましてや、ゆがんだ愛情で奪い去ることは、拉致という名の犯罪です。


子どもは親の付属物ではありません。

本当に子どもを愛するのなら
子どもを一人の人格として尊重し、
その幸せを願い、最大限の努力をしましょう。


それが子どものために親がするべき、たったひとつのことです。


親権については、こちらで統括してお伝えしておりますので、
ぜひ参考にしてください。



それでも、
愛する子どもにどうしても一目会いたい。
そしてパートナーに思いを伝えたい。

そういう方は手紙を書いてみませんか?

無理やり子どもを奪うよりも、あなたの愛をはるかにきちんと届けてくれますよ。

手紙を書くのにかかった時間は、その人のことを思っている時間ですから。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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