岸田政権に今思う事

ご無沙汰しております。
ひと月ぶりの投稿になります。
「11月に1本でも投稿しておきたい」が主たる投稿理由のサラッとした個人的時事解説になります。

※ と思って形ばかりでも投稿してから、後で手直ししようと思ったものの、「12月1日00:00」投稿になってしまうと言う(泣


岸田政権の支持率低下

ある意味、必然ではあるけれども、それにしたって落ち過ぎな感がある。
個人的には、

「本音では増税したがっている癖に、
目先の人気取りの為に減税を打ち出した」

と多くの国民に思われている事が支持率低下の最たる理由だと考える。
まぁ、一般的な国民の政治リテラシーに照らして考えれば、自民党内の増税推進及び減税反対派からの発言は、自民党全体が国民を愚弄しているように見えて当然だろう。
岸田総理自身は減税へのやる気を見せているにも関わらず、鈴木財務相や自民党税調議員が岸田発言に真っ向反する発言を繰り返しているのだから、岸田総理の本気度を疑ってしまうのも無理からぬことだ。

だが、私としては岸田総理本人は本気で減税を行うつもりだろうし、それが財政論的にそれなりの妥当性もあると理解しているように見える。

減税が必要な理由としての「デフレギャップ」

日本にも久方ぶりの大き目なインフレ局面が訪れている。
だが、この中心にあるのは世界的な食糧価格、燃料価格上昇によるコストアップインフレであり、需要が旺盛な事によって価格上昇が進むディマンドプル的なインフレではない。

それでも、少し前は価格上昇した時点で買ってもらえなくなるとの恐怖が市場を覆っていて、価格は変えずに内容量を削るサイレント値上げが中心で、各企業が如何に消費者に気付かれずに実質値上げを行うかに汲々としていた訳で。
その頃と比べると
「もうこの価格では無理っす。値上げさせてください」
と目に見える形で値上げを進められるだけ、経済的環境もマシになってると言えるかも知れない。

で、「現在はコストアップインフレが主体」と言う話に戻るが、ここからディマンドプル型インフレへ持って行くには、単純にディマンド(=需要)を増やす必要がある。
需要を増やすには何をすれば良いか?
これは消費者の懐を温めるしかない。
その為の減税、その為の特別給付金なのだ。

相も変らぬ経済音痴、反対左派とマスコミの日常

国全体の需要を足し合わせたものを「総需要」、国全体の供給を足し合わせたものを「総供給」と呼ぶ。

 総需要 > 総供給
ならばインフレに向かうし、
 総需要 < 総供給
ならばデフレに向かう。

経済学的には、インフレこそが望ましい経済状況であり、デフレは異常事態だ。
国家経済の運営に際しては、如何にインフレを維持し、デフレ転落をどのように回避するかが最重要課題となる。
過剰な好景気が続くと、市場参加者の多くが需要の天井を見誤り、財・サービスの過剰供給を行ってしまう。
すると、供給過剰な中で少しでも利益を確保しようと値引き合戦が起こり、物価下落、経済の凋落が引き起こされる。
こう言った理屈から、持続可能なインフレ範囲を想定し、そこそこのインフレ、つまり「マイルドインフレ」を実現しようと考え、そこに向かうよう金融政策を行う事を「インフレターゲット」と呼ぶ。

日本の失われた20年のようにデフレが常態化した状態、それに対して政府、財務当局、日銀が手をこまねいていたのは本当に異常な状況だった。
そこからの脱却を図ったのがインフレターゲットを含むアベノミクスだったと言う訳だ。
岸田総理がどこまで理解しているかは怪しいものの、取り敢えずはアベノミクス的発想をそれなりに引き継いではいる。

現状、日本の経済状況は総需要が少し足りないと見られている。
高橋洋一氏や飯田泰之氏など、まともな経済観を持ってる経済評論家、経済学者たちは、約10~15,17兆円程度、総需要が足りないと見ている。
マイルドインフレを実現する為には、この総需要と総供給のギャップ(デフレギャップ)を埋める必要があるのだ。

この度国会を通った補正予算は13兆円規模。
やや少ない上に、減税自体は来年度と言う事で物足りなさが残るが、やらないよりはずっとマシだ。
少なくとも、やらない理由を探し続ける自民党財務族、財務官僚たちよりは、何かしなければならないと覚悟を決めた分だけ、岸田総理の事を評価すべきだろう。

反対ばかりの立憲民主党、共産党などは

 「物価が上がっている中で、さらに物価が上がる財政出動をするなんて」

と補正予算を批判している。
驚くべきレベルの経済音痴だ。
そして、これらの主張をそのまま拡散するだけのマスコミ。
頭がクラクラして来る。

彼らは日本経済の先行きなどには、真に興味が無いのだ。
日本の左派は総じて、そもそも資本主義経済が好きではない。
経済的平等を理想としているからだ。

大企業も資本家も彼らは大嫌いだ。
だから、口を開けば大企業を痛めつけ、資本家の富を如何に奪うかの話しか出て来ない。
現実の経済活動では、中小企業、零細企業を潤わせるには自然と大企業に儲けさせるしかないし、経済的弱者を救う方策は資本家が国内投資を存分に行う経済環境を整えるしかない。
大企業に儲けさせずに中小・零細企業を儲けさせるなんて絶対不可能だ。
経済的弱者に手っ取り早くお金を回すには労働の売り手市場にする事、つまり国内の好景気を実現する事が求められ、それは資本家が投資して儲けられる状況にする事をも意味する。

大企業、資本家が儲かったと言う話の度に「経済格差ガー」との批判も付いて回るが、実は富裕層から貧困層へ富の移動が一番効率的に発生するのは、「賃金」によってだ。
各種税を徴収してから再分配するより、手っ取り早く社会を経済的平等へ導く為にこそ、好景気を実現する為の財政政策、金融政策が必要なのだ。

こういう自由主義経済の現実に目を向ける事無く、お題目としての平等、それも結果の平等を求める連中によって、日本経済は常に好循環への道を阻害され続けている。
何より問題なのは、この妨害をやってる当人達に悪気が無い事だ。
本当に日本の為を思うなら、暫く(と言うか半永久的に)黙っていて欲しいものだ。

世間に知られぬ岸田政権の功績

岸田派は自民党内のリベラル勢力の中心であり、それ故に安倍政権の岩盤支持層だった保守層から愛想をつかされている。
だがその実、国防関連では意外なほど良く働いている。

岸田総理自身の国家観、世界観がぼやけている為、実際に何を思って推進しているのか、或いは正しい理解の下に推進した結果なのか判断が付かない部分もあるのだが、安倍・菅政権から続く自由主義陣営とのより強固な国防関係構築は着々と進んでいる。

対中国を意識した動きとして、フィリピンとも準同盟とも言える関係へと深化した。
イギリス、オーストラリアとの準同盟関係は、先進国同士が相互に協力し合う形式だが、装備品の貧弱なフィリピンとの関係強化は日本が防衛装備品の供給や技術向上に協力し、ある意味日本が引っ張るものとなる。
対アジア外交では事ある毎に「第二次大戦の反省」を語るよう国内リベラル勢力から強く求められ、国防関連で日本の存在感を示そうものなら袋叩きに遭う状況が長らく続いて来たが、自民党リベラル勢力である岸田総理によって東南アジアとの準同盟関係が築かれる事になるとは、まさに隔世の感を抱かずにはいられない。

まとめ

岸田政権の支持率低下、不支持率急騰については、総理自身が安倍政権支持者を大切にしない方向で新機軸を打ち出し、だからと言って国民受けを得られなかったと言う点で、自ら招いた危機と言うしかない部分が少なからずあるだろう。

だが、だからと言って岸田政権がアンチ保守的なスタンスを取っている訳では無いのだ。

自民党支持層に評判の悪いLGBT法案だが、安倍政権以来の積み上げが形になったものと言う点で、別に「岸田政権だから通った」と言う話では無い。
もし、安倍政権が今でも続いていた世界線であっても、或いは高市早苗議員が総理大臣に選ばれた世界線であっても、自民党内のリベラル的発想に押され、このタイミングで何らかのLGBT法案が成立していただろう。

ここ最近自民党支持を辞め、強く批判している人達は、時系列的な正しい理解を放棄した上で、自民党への不満全般を岸田総理におっ被せ、強烈に批判しているように私には見える。

私は別に逆張りが好きな訳では無いのだけれど、猛烈に批判されている誰か、何かをじっくり見つめ直してみると、いつも叩かれ過ぎ、嫌われ過ぎな部分が見えて来るのだ。
岸田総理に対し、好意的になれだなんて言う気は無い。
個人的感情は自由に持ってもらって構わない。
ただ、「嫌いだから、何を言うのも俺の自由だ」との発想の先に、論理的妥当性は存在しない事は理解しなければならない。
嫌いなればこそ、「嫌い」との感情に振り回されず、理屈によって正当な批判を行っている事を示す必要がある。
そうして初めて、第三者も聞くべき論理的に正しい論評となる。

少なくとも、ポスト岸田総理として現実的に後釜に就けそうな議員で、岸田総理より国防面で仕事を出来そうな人がどれだけいるか、一旦冷静に考えてみた方が良いと思う。
中国べったりの二階派が支える新総理なんてものが生まれてしまえば目も当てられない。

ある保守論壇の大物論客がいる。
かつては安倍晋三の熱烈な応援団だったが、期待したようには改憲議論が進まなかったからか、何時しか安倍晋三を徹底糾弾する急先鋒となってしまった。
彼のアベ嫌いは、安倍総理を「叩き切ってやる」とパフォーマンスした山口二郎教授ですら叶わないほどだ。
BSフジのプライムニュースに両者が出演し、憲法改正に関して議論を行った際、この某保守論客が余りに情緒的に安倍政権批判を行うものだから、山口教授の方が安倍政権の改憲に対するスタンスを代弁し、擁護する珍事まで起こった。

この保守論客は

 「安倍晋三がダメだというのなら、じゃあ誰だったら良いんですか?」

と問われると

 「安倍晋三じゃなければ誰でも良い」

と明言した。
保守論壇で一目も二目も置かれる大物論客が、個人的感情を全く制御出来ず、論理性を自ら放棄してしまったのだ。

 「岸田じゃなければ誰でも良い」
との発想も、これと同じ危うさが漂う。
 「岸田総理だから実現した事」
 「岸田総理じゃなかったとしても実現したであろう事」
を精緻に論じた後でなければ判断が付かない事を、個人的感情に基づいてエイヤッ!と安易に乗り越えていないか?

特に、超大国アメリカが大統領選挙まで1年と言うタイミングで、ほぼ機能不全の状況に陥っている。
緊迫の続く国際情勢を考えてみても、今の日本には冷静さが必要だ。
無責任に政治不信を煽るマスコミ、反対野党の姿を見て
 「あれに踊らされるようになったら終わり」
と自戒する人が一人でも増える事を願う。

<了>

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