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理想の部活は、猟奇愛好会

部活動の思い出

ツイッターの方で今、学校部活動
が話題となっている。
「部活の強制入部を止めさせろ」
というもの。
其処で今回は、私自身の過去に照
らして語ってみよう。
諸事情で短く済ませる。

部活経験無し

結論からいえば、入部した事は一
度もない。
現代の言葉なら「帰宅部」という
奴だ。

プライバシーの関係で詳しくは書
かない。
兎も角中学校となると、部活動制
度が始まる。
一年生の時。
生徒全員を講堂、なんて気の効い
たものは無いから体育館に集めて
部活勧誘の仕儀となる。
二年以上の先輩が、此れ又今風に
言うとプレゼンをするのだ。

真面目に聞いた私

各部の部長が、活動の内容を説明
し「来たれ、〇〇部!」と宣って
締める。
私は、真剣に聞いていた。
本当に真面目に「自分に合う所が
有れば入部しよう」と心に固く誓
って。
最後迄、拝聴。

其の日の放課後、帰宅すると母が
尋ねる。
「どうだった?」
私は、答えた。
「猟奇愛好会が無かったから、入
らなかったよ」

皮肉辛辣な見方

振り返って考えれば、真面目とい
うより随分と斜に構えた見方をし
ていたのだ。
猟奇愛好会にせよ猟奇友の会にし
ろ、其んなものある訳がない。
端から存在しない前提を設けて吟
味をする。
要は、入部する気が微塵もなかっ
た。

猟奇の本質とは

そもそも、猟奇とは何か?
「奇を猟る」と書く。
世間並みの道楽に飽きてしまい、
もっと強烈な刺激を求める好事家
の在り方。
年端も行かぬ中学生の内心には、
凡そ浮かばぬ発想だ。
酒や煙草にすら、まだ手を染めぬ
世代。
繰り返す。
ある訳がない。

此処で一篇の小説に逢着。

江戸川乱歩
「赤い部屋」
一九二十五年
「新青年」四月号発表

あちこちから出ており、又近年は
無料版も多い故出版社名は省く。

中学ともなれば、当然読了。
窮極的に私の求めたのは、赤い部
屋の様な秘密クラブだったのだ。

ないものねだりの典型。

まあ学校部活動で猟奇クラブがあ
れば、其れは其れで別の問題とな
るのだが……。

強制入部がされぬだけ、良しとし
よう。

〈了〉

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