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気になる人

気になる人ができてしまった。できて、「しまった」。「できた」じゃなくて。

どうも、年女です。近況報告します。

先日高校の同窓会が開かれた。出会いがない私は実に3年ぶりの同窓会(出会いの宝庫!)に心躍らせたが、実情は二十数人の参加者のうち7割は一年以内に連絡を取っていた人間であり要はいつものメンツを一気に集めただけの会。まあいつものメンツが全員揃ってしまったらそれはそれで最強なのだけれど。

そんな知った仲の人たちでも、やっぱり集まれば誰に彼女ができたとか、やれやっとバージンを捨てたとか、結婚しましたとか、みんな何かしら恋愛面で進捗があった。

私はまあ、セフレにブロックされて今は恋愛なんて出来そうにないなんて言えるはずもなく、言葉を発する代わりにガブガブ酒を飲んでいた。

「次、何飲む?」

隣の席の男の子、あの日はちゃんと髪をセットしてきたから七三とでも呼ぼう。七三が声をかけてきた。七三は幹事の1人で酒を頼む係だったらしい。ビールをお願いした私は、また人の恋愛話に耳を傾ける係に戻った。

先に言っておくと、七三と私は2ヶ月ぶりの再開だ。お互いいつも飲み会にいるうちの1人であり、朝まで残っているタイプの人間というくらいしか共通点はない。

七三の斜め前には元カノが、全く離れた方に私の元カレが、それぞれ己の恋愛話に花を咲かせていた。

何度か席替えをしたが毎度七三と同じ席になり、注文のやりとりをした。彼の就職先が外資の一般職なのにもんじゃ屋さんになったと嘘をつかれて、もんじゃ食べ放題じゃん!とぬか喜びして恥ずかしかった話を席替えの度に繰り返した。

二次会でカラオケに移動すると、そこでも七三が隣に来た。その隣にコール大好き女が座り、七三と私が永遠に飲まされ続けた。

「ねえ、酒買いに行かない?」

20人分の酒を買いに行くのだ。なるほど私が会計係で七三とあと3人くらいマッチョが来るのだな、とカラオケを飛び出したが出てきたのは七三ひとり。
買った酒の8割を七三が両脇にぶら下げ、スーパーからカラオケに戻るまでの3分でハイネケンを一緒に飲み干した。「鍵貸して」なんて私の鍵で栓を吹っ飛ばしては大爆笑。箸が転ぶより面白かった。

そんな買い出しを3回繰り返し、コールで一気するほかにハイネケンを3本飲んでいた私はゲロゲロもいいところ。完全ノックアウト。

と、まあ私の記憶はここまでで終わる。
気づくと10人くらいが我がワンルームで雑魚寝していたことはここではそんなに重要ではないと思う。

なんてことはない、ただ飲み会の中でいちばん長く一緒にいた異性だった、それだけのこと。

たまたま長く一緒にいた異性がスポーツをやっていてムキムキで、英語がうまくて、面白くて、みんなのリーダー的存在で、気が利いて、嘘をつくのがうまくて、大きな口を開けて笑う人で、あの大好きだった彼と似たような人間だった、それだけのこと。

たったそれだけのことだったのに、数日たった今でも浮かれた気分でいる。

新しい恋をしているわけではないと思う。
また彼に出会えた気がしたのかもしれない。

七三は飲み会には欠かせないメンバーの1人だし、幼馴染みたいなグループの中でぎくしゃくするのは気がひけるから、七三とどうにかなりたいとは思っていなかった。

だけどもし、七三を通して彼にまた会えるなら?

もし、あの時の幸せをもう一度味わえるなら?

もう一度言うけど、多分私は七三が好きなのではなく、七三に彼を重ねているだけなんだと思う。だって12歳から知ってる人のこと、今更好きになるわけないもんね??ね??


似たような男を追いかけてまた同じように拒絶されたら、その時はどうかこれを読んでいるあなたが笑ってあげてください。


雑魚寝してた民が旅立つ時に七三だけ帰るのがだるそうで、「あいつだけ帰らなければいいのに」なんて考えてしまった。すーぐ2人きりになりたがる。そんな女だからダメなんだよね。なんて話は、ここだけの秘密ね。

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