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結局、なんのワインが好きなんだ?

こないだ履いたTシャツと短パン洗濯してるのに外は急に冬
ボクの友人は「ソムリエっぽい」とボクを言い、笑う

真面目なワインの話はほとんどしないし、自分のことソムリエと思ってないし
「ソムリエっぽい」というより「ワイン開けるのが、ちょっと上手い」ってくらいだ

そんな「っぽい」ボクでも、聞かれることが多い質問。
「結局、なんのワインが好き?」

蔦屋書店で最近のワイン本を立ち読みしてて、ふとその質問を思い出し
筆を取りました。
それでは、いってみよ

わたし24歳。ソムリエを目指した時、とりあえずフランスに行きました。
金も時間もなかったんでしょう。
パリのユースホステル、ボルドーのベンチで野宿、ポイヤックの1番安い部屋の3泊。
食べ物もスーパーのお惣菜の写真ばかり。
SNSも無く、知り合いもいない時。
どこのクロワッサンが美味いのかも知らない、なんの知識もない25歳

レンタサイクルでポンテカネ、ムートン、ラトゥールに訪問
フランス語も英語もなーーーーんも聞き取れない

効率悪すぎる旅。ただ、今でも引き出しを開けると色合いまでしっかりな15年前の思い出

26歳の渡仏。今度は1年間の労働付き
ブルゴーニュのマコンで3ヶ月働いてる時に
休みの日に、自転車で片道40キロくらい行って
いろんな畑を走り回ってロマネコンティの畑で野宿して、朝露でビチョビチョになり
身体が冷え切り人生で1番震えた。あんなに夜明けの太陽が暖かったことはない。

まだ、効率が悪すぎる。

その後、レンタカーでの旅を覚える
ロワール、コニャック、ボルドー、アルマニャック、南西地方、ラングドックルーション
ローヌ、ジュラ、アルザス、ブルゴーニュ、シャンパーニュ
ワイン畑の地図とワイナリーの電話番号が載ってる本を片手に駆け回った。

その後、ボルドーの二つ星でソムリエをやると
ボルドーのシャトーでは当日の電話でどこもテイスティングさせてくれるようになった

そしてカンテサンスで働き、自分のお店を出す準備中に
ワインが好きな仲間とレンタカーで、コシュデュリやラモネなどに訪問し
三つ星レストランに行ったり、地方のワイン激安謎レストランでDRCやルフレーブを飲んだりする
(今では考えられない金額だから飲めた)

おぉ、ワインラバーがやっと食いつきそうな効率が上がってきたぞ
この頃、ナチュラルワインはパリのサチュルヌ行った時に飲むくらい。作り手だれもわかんなかったな

で、TIRPSEを始めてやっと仕入れとかをするようになる
ここでもフランス時代に「オレに優しくしてくれた人」を中心にワインリストを作った

ただ、ボクは試飲会に行ったことがない
それはソムリエとして、とてもダメなことだと思う
経験のタイミングを自ら逃しているようなもんだ

けど、なーんか足が向かない。
作り手に行ってテイスティングしてたのに、日本って環境にいるから
そのワインを作ってる雰囲気のあるセラーでテイスティング出来るのに
なんで瓶に入ってるやつ、ちょっと注いでもらって買うか買わないか決めるんだ?って
心のどっかで思ってるのかも。

だから「自分が飲みたい」か「優しくしてくれたか」でワインを選び続けた

まぁ、そこからクラシックの高騰とナチュラルの進化をバランスしながらお店をやってきて
ワインの高騰、円のバカ弱になり…

さてさて、2023年の私。
ほぼほぼの皆さんには「ナチュラルワインばかりの人」に思われてるようで

前段を読んでいただければ、がっつりクラシックの人。
今やってる仕事はナチュラルワインばかり

じゃあ、どっちが美味い?
じゃあ、どっちが好み?

これは本当に答えがない
誰かの誕生日に自然派の泡を開けるけど、大晦日とかにはいいの飲むと古いドンペリとか飲むと思う

じゃあ、飲んで感動したワインって思いつくのはなんだろ?っていうと
泡 Jacques Selosse Millesime
白 DRC Montrachet
赤 henri jayer vosne romanee cros parantoux

驚きの何もないリストだ
そんな自分に驚いちゃう

DRCとかルフレーブが美味いことを知り、飲みたいとワイン会をやったり
そういう所に顔を出さなかったり、発言もしないかというと
なーんか肌感覚で求めてない

昔の値段を知ってるってのもあると思う。

こうやって書きながら「好きなワインってなんだろ」って思ったら
変わらない自分の軸みたいなのがあった

色んな美味しいワインは飲んだ
飲食人として最高の泡、白、赤を飲んできた方だと思う

ただ、自分が好きなワインは「俺に優しくしてくれた人」が作ったワインだ
Roulotは最高の白ワイン生産者だけど、セラーでテイスティングした時

ハーフボトルから2009年を10種類出してくれた
・Bourgogne Blanc
・Meursault Vireuils (0ha 66a 80ca)
・Meursault mes Chavaux (0ha 95a 13ca)
・Meursault Tillets (0ha 48a 96ca)
・Meursault Narvaux
・Meursault Tesson,clos de mon Plasir (0ha 84a 67ca)
・Meursault Luchets (1ha 02a 61ca)
・Meursault 1er Cru Porusot
・Meursault 1er Cru Charmes (0ha 27a 73ca)
・Meursault 1er Cru Perrieres (0ha 26a 05ca)

終わるとブラインドで
・Meursault Luchets 2008
・Meursault Luchets 2004

で最後にもうひとつブラインドでと
Meursault 1er cru Boucheres 1996  (0ha 16a 44ca)
ルーロが持つ最小区画の1er Cru。
2009年のテイスティンググループには、唯一出てこなかった区画。

こんな経験したら、Roulotが一生好きですよね
まぁ、ルーロも高すぎるから買えないけどww

で、そうなると「1番好きなワインは何?」って答えは決まる。
Ch Lynch Bages

自分が働いていたレストランと同じオーナーのワイン。
自分が働いてたレストランから見える畑
毎日通勤で見てきた畑
ブドウが無い頃から収穫まで季節をすごした畑から作られるワイン

ボクがソムリエとして、カンテサンスに入ったり、ワインラバーが納得する経歴みたいなのを築いた土地
それがボルドー
好きしかない

こんなnoteを
「Yetti & the kokonut B’rose / Australia」
ナチュールオーストラリアロゼ飲みながら書き上げた私。

まぁ、ただのワイン好きよりワインが好きな人でしたって話でしたわ

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