性別を隠して付き合ったオカマ

こんにちは。佐藤祐葵と申します。トランスジェンダーです、分かりやすく言うとオカマ(私の場合)です♡んっふん。

女性の格好して日々過ごしております。名前は本名なのですが、男でも女でも通じる名前なのでそこまで苦労せず過ごせております。

お笑い芸人していた時期もあるけれど、今はバイトしまくり生活で性別適合手術のための費用をためております。

今は芸人仲間にもお客様にもオカマであることを公言しておりますが、数年前までは誰にも公言しておりませんでした。

本当に性別を隠して闇に紛れるかのように社会に溶け込もうとしながら生活していたときにあった1つの恋のお話を聞いてもらいましょ〜。


2014年、恋に憧れるも全くその機会が来ない私はしょうがないのでスマホの恋愛ゲームを始めていました。
イケメンがたくさん出てくるんだけど、どの人もカッコよくて私に甘い言葉囁いてくんのね、絶対私のこと惚れてんの!あああああどの人にしよ〜〜とか思って続けてたけど、まぁ会えないからね画面の中の人たちって。
それが悲しく虚しくなってやめた。
他には、仲の良い友達にラインで彼氏役になってもらって、それっぽいラインを送ってもらったりしてた。

祐葵〜〜おはよう
昨日はよく眠れた?今日も頑張ろう
みたいなこと言ってって送って、その友達が彼女なりに考えて送ってくれるの。
嫌だった。
本当の彼氏じゃないと嫌!って思った、私が頼んだことなのに。理不尽夫人。
そんな日々を過ごしていたある日の夜、友達から
今から空いてる?今家にいるんだけど、私の友達があんたに会いたがってるから会えない?
ってラインがきたの。
結構夜遅い時間だったけど、その日は暇だったから準備して友達の家に行ったの。夜の0時過ぎとかになっちゃった。
家に行くと友達がいらっしゃい〜って出てくれて、会いたがってるのあの子だよんて教えてくれた。
男の子だた。
私は化粧せずに行ったから、げげげって思ったけどまぁいいやって挨拶した。
連絡くれた友達と地元が一緒の長野県で、今は東京に遊びに来てたみたい。そんで話してるとき芸人やってる私の話になったみたいで興味持ってくれたんだって。
その子はお笑いが結構好きみたいで、だから私のことも興味持ってくれたぽい。
最初は敬語で話してたけど、同い年ってわかったから普通に話しはじめた。
まぁーーーーーー彼は私の話をずーっと楽しそうに聞いてくれたのよ。
私がクックパッドに料理載せたときに、作り途中の写真撮ってなくて物足りなかったから綺麗な景色の写真載せたら、運営から景色の写真載せないでくださいってメールきて消された話とか、きんぴらごぼう作ったら油入れすぎて唇ヌルヌルテカテカになった話などを笑って聞いてくれたり、私の手料理食べたいって言ってくれたりしたの。料理下手だっつってんのに。
私がその場で思いついた作り話をしたときも興味深そうに、続きどうなったの?って聞いてくれたの。
どんな話だったかというと、たしか、田舎の町の小学校に男の子か女の子が転校してきたっていう話で、自己紹介のときみんなの前でお辞儀したらランドセルが開いてて中に入ってたものが全部出てくるんだけど、中に入ってたものは大量の石だったの。だからみんなに驚かれたりしていろいろあったんだけど、そのうち友達ができて友達がソフトクリームを主人公の子にくれたの。主人公は嬉しくて食べるのもったいないから大切にしまいたいって思ってズボンのポケットに入れるんだけど、ソフトクリームだから潰れてぐちゃぐちゃになっちゃうって話だった気がする。いろんなエピソードがあって結構長編だったのよ。
ジャンルは、ほのぼの系コメディってとこかな!
まぁとにかく楽しくて、友達は眠くて先に寝ちゃってたんだけど私たちはずーっとぺちゃぺちゃ喋ってて気づいたら朝になってたのね。
そんなに時間が経ってたなんて知らなくて驚いたし、起きた友達もあんた達ずっと喋ってたの!?って驚いてた。
彼は地元に帰っちゃうみたいで、私も駅まで一緒に帰った。
雨が降ってて彼は傘を持ってなかったので相合い傘した。
歩いてるとき不思議な感じだた。数時間前に会ったばっかの男の子とこんなにすぐ仲良くなれたこともだし、1つの傘さして歩いてることも、あと、もっともっと話してたくて話せなくなるのすごく寂しいなって悲しくなってることも。
彼が『俺、よく人見知りしちゃうけど今日はずっと話してたいなって思った』って言ってくれたのね。
ここで私が、痰吐きすてたら最悪だよね。
だけどそのようなことは一切せず、話してたいって思ってくれたことがすごく嬉しかったし、私も人見知りをしてしまうことがあるけど、彼と話してるときはずっと自然体で話せてて、私も同じこと思ってたって伝えた。
けど初対面で馴れ馴れしくいき過ぎて引かれたら嫌んって思って、別れ際はサッパリ軽めに『バイビ〜ん、また東京来たときあそぼ〜』といった具合にサッとした。
実はもっともっと喋りたかたよ〜。(あえて『たかった』ではなく『たかた』と書いています。)


連絡を交換したのでラインをしてみた。その日撮った写真を送ってお礼を言った。
彼から連絡が来たら嬉しかったったかたったったかたかたーってテンション上がった。
顔がほころぶ、何度も見返す。
ラインが続きはじめた。
この前の別れ際のときあっさりしてたから俺にあんま興味ないかなって思ったけどまた話せて嬉しいって言われて、私も思ってたことを言ってもらえて嬉しかった。きゅん。
彼は大学の研究とかサークルとかいろいろ忙しそうで1日に1、2通くらいしか連絡がこないんだけどその分、その日あったこととかを事細かに教えてくれたり、綺麗な景色の写真を撮って送ってくれたりと中身の濃い文を送ってくれた。交換日記みたいで楽しかったし、彼が頑張ってることとかその日の暮らしを知れて毎日楽しみだった。
彼について少しづつ詳しくなっていくことが嬉しかった。
そしていつの間にか下の名前で呼ぶようになったし、私もまた祐葵と呼ばれるようになた。 (あえて『なった』ではなく『なた』と書いています。)

後日、彼と私を会わせてくれた友達に彼どうだった?って聞かれたとき、めちゃいい人だねって話したら、連絡取ったりしてる?って聞かれて、いやそんなには…って何事もないかのように返したけど実際は毎日してるし、もう完全に好きになっていた。
ラインも楽しいけどもっと会っていろいろ話したいなぁ、住んでるところ遠いなぁ、会いたい。
なんて、思ってたら半月後にまた東京くるから予定合ったら会わない?って連絡がきた。タイミング良すぎで驚き+飛び跳ねた。
すっげーーーー嬉しい、なかなか会えないだろうなと思ってたから、こんなすぐにまた会えるなんてもー本当に嬉しい!!!
大学の授業の研究の発表会?なんだっけ、なんかまぁとにかくなんかの用事で来ることになったみたい。
彼に会えりゃどんな理由だっていいのだ、嬉しすぎ!
だけど彼の滞在してる日が私はライブやらなんやらいろいろあって、会うのが難しかった。その次の日くらいなら空いてたんだけど。ライブ終わった後とか少しの時間なら会えるんだけどせっかくだったら1日遊びたかたよトホホ、せっかく遠くからやってくるのになぁて思いつつその旨を伝えたら、
『その日まで待つよ、待たせてください』
と返信がきたのよ。
夢かこりゃ。待たせてください!?!?!?そんなこと言うことある?こんなこと初めてや。
予定合わせようとしてくれてる、遊びたいて思ってくれてるってことでしょ。
まだ春休み中だし、私と会えるなら数日くらいいられるって合わせてくれた。
ありがたやすぎ。
私に惚れてる???????
キャハーーー自分で言ってしまった!
何を自惚れてんだ私はバカめがっ!!
キャハハケケケ、こうしてはいられないって服屋さんへ行った。
対デート用の服、買うよねぇ〜〜。
この服着たらかわいいって思ってくれるかな?変じゃないかしら、てめちゃめちゃ吟味した。
好きな人のこと考えながら服買う時間っていいよね。
早くみせたくなる、会いたくなる。
急遽ダイエットも始めて走ったり筋トレした。
いつもは塗らないマニキュア塗ってみたりした。
恋で変わるわよ〜〜〜〜〜〜!
張りきっちゃうのよ〜!!
デート前日に、てるてる坊主が2人いる写真が送られてきた。作ったらしい。
こういうことする男、あんまいないなって思ったけどそういうところも好きだった。かわいくね?
デートはスカイツリーとその周辺ですることになったんだけど、私はこの日結構遅刻してしまった。
この日に限らず基本的に遅刻してしまうけど、こんなに大事な日にも遅刻して、遊ぶ時間が減ってくの嫌だ〜〜って自分に腹立った。けど腹立っただけで今も治ってない。
とにかく遅刻の報告と謝罪のラインをした。そしたら気にしなくていいよ、気をつけて来てね、と返してくれてさ、イケメソすぎだぁぁぁぁぁって、より早く会いたくなた。
遅刻してる場合じゃねえぞ!
そしたらもう一通彼からラインがきてて、まず、本当に申し訳ないっていう謝罪から始まってたから、どした!?!?って驚いて読み進めたら、お金なさすぎて口座の金も使い切って金がないから今日1日貸して欲しいって連絡だったのでさらに驚いた。
なんで金ないのに遊ぶの???
もしやこんなに優しくしてくれてたのは、金もらうためで、そのまま逃げられたりとかしちゃうの??
と、一瞬ヨギータたけど、まず短期間に東京に行ったりとかして交通費とか交際費とかで諸々なくなるし、一人暮らしだから家賃とか光熱費とかも自分でやんなきゃだし、大学も忙しそうだからバイトばっかもやってられないだろうからお金なくなちゃたんだなって考えた。
大学生って金欠だしいつも。
それになにしろ私が彼に会いたいから全然問題なかった。
スカイツリーの駅について彼の姿をみつけた。いたー!けど声かけるの緊張するぅぅ。
彼もこっちに気づいてくれて、声かけようとしたら、なんかモデルのようなポーズし始めるというボケをやってて、笑わせてくれた。
平和や。
『祐葵と会えて緊張しちゃってるけど嬉しい』と言ってくれて、いつも気持ちをストレートに伝えてくれるからその度に私はドキドキして少女漫画の主人公になったような気分になった。
ちょうど桜が見頃を迎えてて隅田公園の桜がたっくさん咲いててとても綺麗だった。
桜は一瞬で散ってしまうけど、散る前、桜の綺麗な時期に会えたことも嬉しかった。
隅田川とスカイツリーと桜の写真撮ったり、知らん道歩いて探検してみたりスカイツリーに入ったりしたり。
その日は強風で展望台いけなかったからプラネタリウムをみた。
私はプラネタリウマーって名乗りたいくらいプラネタリウムが好きなのでめちゃ楽しかった。
最高なんですけど〜〜。
見終わってからプラネタリウム綺麗だたね〜って言ったら、『でも俺は祐葵のほうばっか見ちゃってた』って言われた。
ねえ、彼て日本語を少女漫画で覚えたのかしら??
キザっていうかすごくない?そんなことサラッて言うの。
サラっていう、平気で。
恥ずかしくないのかな??好き!!!
嬉しいことを言ってもらえることは幸せなことだからさ、なんか心が充電されてくような満たされるような気持ちになった。こんな気持ち初めて!!!
楽しい時間はあっという間で、日も暮れて飯も食って、そのあとまた隅田公園散歩してベンチに座って川のたゆたいを見ながらおしゃべりしてたけど、終電の時間が近づいてきた。
ずーーーーっと話してたけどずーーーーっと楽しくてまだまだ全然話し足りなかった。
なんでこんなに話したいこと次から次へとわくんだろ、すご、止まらないやって、次会えるのいつになるんだろって思うと帰りたくなくなった。
彼に、もう終電の時間になっちゃうの残念だって伝えたら『俺は、早く帰ったほうがいいとは言えないな…まだ…いたいし』
だって!
耳溶けるわ。

はい延長〜〜。

ずっと話し続けてとうとう最後の電車も終わった。そんで寒すぎてとりあえず移動しようということになた。4月の夜はまだまだ寒かった。

そんで手を、繋いださ。

うーーーーーーーおーーーーーーー!!!!!

メンズと手を繋いだ!!緊張〜〜〜〜〜〜!

どっちからだっただろう、

多分私からかな?彼から?忘れちゃった。けど多分どっちも手を繋ぎたかったの!嬉しかったし温かかった。

浅草駅のほうまで歩いて途中で見つけた居酒屋に入ってまたずーと喋ってた。何をそんなに喋ることあったんだろ。今はもう思い出せないくだらないこととかだな、変な話して笑ってくれるのが楽しくてずっと話してた。

だけど4時くらいにお店閉まる時間になっちゃったからまた外に出たの。さっっっむ!一番寒い時間帯。スーパー寒すぎた。そしたら彼が『俺の着て』って上着を渡してくれた。彼も寒いのは変わらないんだからって言ったけど俺結構平気だからって上着を渡してくれて、申し訳ないけど感謝して上着借りた。あったけーー!途中のコンビニであったか飲み物買って渡した。それで特にあてもなく歩きながら話してるときに私言ったの。

私たち今日ずっと一緒にいるのに全然会話が尽きないでしょ?どうしてだと思う?って。そしたらうーんって考えてて私は続けて答えはね、、好きだから!だよ
って言った。

彼に影響されて私もクサいこと言うようになった頃、俺もだよって言ってもらえた。

そんで、『俺たち出会って3週間くらいだしデートも今日が初めてだけど、、好きです、付き合ってください』

ってね!!!!

告白をされたの!!!!!初!!!!!

あああああああああああああああああああああああ!!!!

そして受理!!!!!

『私も好きです、お願いします』
って。
スマホの恋愛ゲームでは告られ慣れていたけれど、実際にこんなときが来ると、なんて言えばいいかわからなくてこんな感じに答えた。

しばらく歩いてたらまた隅田川のほとりに来ていてベンチに座った。
それでね抱きしめられた……。
初めてのHold me tightだた。ギュっていう身体を寄せ合う強さとか感じた。
ギュウウてキツく。私も手を回して抱きしめた。

そんで向かい合った。

キスした。

私からだよ、やばい?けどほっぺにだよ、逆にきもいかな?
展開早いね1日で。
そしたら彼もキスした。
今度は口にね。

そのとき知ったんだけどキスってただ単に唇を合わせるだけじゃないんだね。

唇を唇でついばむようにするのね、挟んだりとか。あと舌を使ったり、ってそう!舌が口の中に入ってきて動くの!ウブな私はびっくりこいたけど嫌じゃなかった!Oh…だよ。口の中で動いて舌と舌が絡まるような動きをしたり歯ら辺を舐められたり。嬉しかったけど、手法がこんなにあるんだ、やり方わかんないぞ…どう動かせばいんだ?って焦り始めてきた。

それでムードもなにもないんだけど、キスの仕方ってどうやるのが正しいの?って思わず聞いたの。そしたら彼は笑ってから『やり方なんてないよ、祐葵のやりたいようにしてほしいな』とまた紳士の返答。

OK…やってみるわよ。自分の舌をどう動かせばどう動くのかあんまり理解できなくて、私バカなのかなってキスしながら自分の脳が心配になったりしたけどそれよりもついに両思いになれたことが幸せすぎだった。

早朝なので犬の散歩してる人やランニングしてる人がたまに通るんだけど、そういう人たちを見かけたらキスやハグを一時停止して戻るのが面白かった。仕組みってかスイッチみたいで。

そのあと手を繋いで歩いて電車のってそんでバイバイした。

私でも、好きな人と相思相愛になれるんだ…生きてて良かった。

この日は『夢以上の現実』としてずっと心に残った。

こうして私は初めての素敵な素敵な彼氏ができたわけなんですけど

改めて

オカマなのよ!!

どうしましょう、やばいですこれは。一切私が男だと気づいていないんです。なんで最初に言わないんだこの私の馬鹿者。

あーーどうしよーー!あーー
もーーーー

相変わらず彼からはラインで『今日のことずっと忘れたくないな』とかってロマンスの名言を送ってくれるの。
あるときロマンスの化身からラインで写真が送られてきた。
彼が自分で描いた絵の写真で、目玉焼きとその上に塩がパラパラ降ってきてて、目玉焼きと塩の粒に顔が付いてた。それで『こういう関係になりたい。たまごと塩のような』って続けてきた

????????????????????
え????
なに??????

『お互いが良い味を出して合わさったときにもっと美味しくなる関係。どんな祐葵も大好きだよ』

だって。

人からこんなにメッセージのこもった絵を送られたことなかったし、そういうの描くんだって思ったけどこの人なら描くなって思った。

ほわぁーーーーーー、すごいよね、なんか。ポエマーやん。

笑ってしまうけど純粋でかわいいし嬉しかったし、そういう関係になりたいと私も思ってしまったし。

好きよ好きすき、私もとっても。

彼は毎日心温まるフレーズを送ってくれて、私はその文面をスクショして『愛』というフォルダを作り保存して何度も見返していた。

ねぇ、カップルってこんなやりとりするの??する??するの?他の人もするの??私結構びっくりもしたんだけど。でも本気で好きでいてくれてるってのが伝わってきて私も好きでだからこそ募る

罪悪感!!!!!!!!!!!!!

このまま隠してていいのかな…。
今でこそ知り合った人にはすぐにオカマ公表しているけど、この頃はまだ人に、男だということを隠して生きてたので、私の男時代からの友達何人かに相談してみた。

言ったほうがいいかもだけど、言ったら別れることになるだろうから、今はこの時間を楽しめば?と言われた。

もう!他人事だからってそんな簡単に〜〜って思ったけど実際そうよね。言ったら別れることになるでしょうね。

せっかくできた彼氏と即別れるのいやだな。しばらくは言わなくてもいいのかな…。

しばらくして彼の誕生日が近づいてきた。遠くて会えないけどプレゼント渡してえなって思って、でも男にプレゼントって何をあげればいんだ!???って分かんないなりに考え、時計を買って、あと写真立てとその中に私の変顔した写真を入れた。ブスだからこの写真を入れて隠してねって2人でスカイツリーデートしたときの写真もいれたの。ばくわら。あと手紙ね。うまいこと住所聞き出して宅急便で送った。誕生日当日に届くようにして。

ちゃんと届くかなーとか喜んでくれるかな?時計、趣味に合うかしらって心配だったけど、連絡がきてめっちゃ喜んでもらえた。

まさかプレゼント届くと思ってなかったし、プレゼントもめっちゃ嬉しいって言ってくれたの。喜んでもらえたっぽくてめーーーーっちゃ私も嬉しかった。

時計つけた写真とか送ってくれるの、きゃは♡

そして2週間に一回くらい電話とかしたのね。電話でも喋りまくって8時間近く話したこともあった。今こうして数字に表すと引いた。長くね?本当に8時間???長すぎて記憶疑わしくなってきた。でも6時間はしてた。6時間も相当よ。バイトの勤務時間と同じ時間電話してたということになるんだから。

楽しかったからよかったんだけど。それに彼は私の声を好きだと言ってくれたのだ。声はコンプレックスの1つで、高い声出ないし、ガサガサで可愛くない声で嫌いだったんだけど、嫌だと思ってたところを好きと言ってもらえて、この声でもいいんだって少し自分の声が嫌いじゃなくなった。

ある日の電話中に、実は俺祐葵に黙ってたことがあるんだけど…って切り口で話されて、なになになに!?!?!?って不安になってたら、バイトしてるって言ってたけどしてないんだって言われて謝られた。

そんなことか。ほんっとそんなこと謝ることでもないし、どーでもよかった。やばいことかと思って、でもバイトしてないだけでよかった。あとバイトはしろし。金ないつってんだから。それから、小学校高学年の頃は身勝手な性格の為クラスから孤立してしまってそれを反省し、自分を変えようと決意したエピソードを話してくれた。

いきなりで面白!って思ってしまったけど、真剣に話してくれたこととかこういう、悪いところもあったんだって話をしてくれて、信頼してくれてるし、全て受け止めてほしいと思ってるんだなと感じた。その反面

私こそ言わなきゃいけないことあるのにな…でも言えない、怖すぎる。カミングアウトの次元が違う…、と胸が痛くなった。お互いのことをもっともっと知ってからでも遅くはないという考え方は間違いかな…?間違いだろうな…。

隠してる期間が長いほど『裏切られた』というショックは大きいに違いないから、本当に好きなら早く本当のことを伝えるべきだと決心し彼の地元、長野へ向かうことにした。

それにもしかしたら受け止めてくれるかもしれない。まとめサイトの記事で読んだことあるもん。『彼女が男だったんだがwww』みたいな記事。それだと戸惑いつつも最終的に付き合うと決めてたしハッピーエンドもありおりはべりいまそかりだと強気で向かった。

彼に会って伝えて帰ろうと思って向かった初めての長野。『会いたかった』と笑う顔を2ヶ月半ぶりに見たら、言えなくなった。私のあげた時計をつけてくれてた。もっと見てたいしもっと話したい。

ああどうしよと思ってると、彼が町を案内してくれた。
ここが俺の通ってる大学!ここがいつも行ってるスーパー!隣がお酒屋さん!ここがよく行く居酒屋さん!

ああ、彼はここで生活してるんだな、ここで食材買ったり、遊んだり、勉強したりしてるんだなって初めてみる景色に彼の生活してる姿を想像して重ねた。

私はオカマな自分のことをゾンビみたいだと思ってて、自分なんてゾンビみたいなもんだから…ってよく言ってた。ゾンビって人間の形してるけど腐ってるし人に危害加えるし人間じゃないでしょ。私も一見女みたいな形してるけど、男だしそれを隠してることによっていつか彼にショック与えてしまうだろうし。ゾンビと言うのが限界でオカマと言えなかった。私がゾンビって言うの聞くと、彼は『祐葵はきっと美意識が高いから自分のことを低くみてるけどそんなことないよ、とってもかわいいし、どんな祐葵も好きだよ』って言ってくれんの。

くぅ…
そして彼の家にも行った。ここで毎日寝て起きてご飯食べて勉強したりテレビみたりしてんだ、そこに来たのね、私は。来れて感動したし緊張した。

机があってそこに、私が送った写真立てとその中に2人が写ってる写真があった。わぁ、ちゃんと届いてる、そして飾ってくれてる。めちゃめちゃ嬉しかった。それとか、私が手紙送ったことが嬉しかったからって彼も私に手紙を送ってくれたこともあって本当全部大切にしてくれてるなと感じた。
高校の卒アルを見せてくれた。ちょっと幼き彼がいた。高校のときの話をしてくれた。楽しそうに生活してたっぽい。また彼について詳しくなっていった。もう覚えてたってどうしようもなくなるかもしれないのに。そして料理も作ってくれた。作ってるところ見られるの恥ずかしいから見ないでねって言ってたけど、めちゃ美味そうなもん作ってくれたし、美味かった。2人でご飯食べて、テレビでは木村カエラが『OLE!OH!』って曲を歌っていた。2人でそれをみて、なんかおもろだねって笑った。

祐葵が俺の家にいるの不思議な感じって笑ってたし、私もこんな日がきて良かったって言った。

はぁマジで時間止まれ〜〜。

『祐葵って子どもとかほしいって思ってる?』って聞かれた。

硬直…。私は、こ、こども!?え〜〜1万人くらいかな〜ってふざけといたら『もう〜まじめに〜』ってぐっと近づいてきた。ま、まだ今は考えてないかな、って言ったら、そりゃそうだよねって納得してた。

今も考えてないしこれからも考えられないなぁ、子宮ねーから産めないし。

気が早い、とは思うけどでもそんなことを聞くあたり、子どもほしいんだろうな、てててて、ことはけけけけ結婚とか考えてるのかな!?!?はっや!!でも本気で好きじゃん!私のこと!!

あーーやべやべやべ、これ以上こんなに素敵な彼を騙し続けてはいけない!!!言わねば!!!!!!!ぐっと腹に力を入れて、あのね、私!!と言う。

ん?なぁに?と私の顔をみる彼。

ううん…なんでもない……。

またしても言えなかった。彼は『好きだよ』つって接吻してきた。接吻はよかったし嬉しかったんだけど申し訳なさとか悲しさも募った。
ありがとうとごめん。

その夜、家に泊まってくことにしたんだけど、まぁそれってセックスするじゃん。セックス。そういうもんでしょ。だけど私裸になれなくて『ごめん、今日はできない』って言った。

生理????なのかな???って自動的に思うでしょ。

納得してくれた。ちなみに生理ではないし、これからも一生きません。悪いのよ私は。

翌日の朝、帰るとき雨が降ってたので今度は彼が傘をさしてくれた。初めてあった日と逆だなーなんて思い出の記憶に新しく記憶を重ねた。スカイツリーのときは、彼がてるてる坊主つくったから晴れたのかな?とか思った。

最初から最後まで楽しかったよ、ありがとうってお礼をして

『うん、俺もだよ、今度は俺が東京にいくね、またね』って言って別れた。

言えなかった…。まじでなにしに言ったんだ私ゃ…。バカ助。けどもうね、言うわ。直接は怖すぎて言えなかったけどメールで言うわ。

この楽しかった日々のこと絶対に忘れないから、って思いながらメールうったの。

私の身体が男で心は女で、ホルモン注射してること、ゆくゆくは手術したいと思ってること、隠していてごめんなさいということ、だけど本当に好きだということを書いて送った。

4日経った。返信がなかった。
こねーーー
こねーーーーーー
あーでもそりゃそうだよな。
でもリアクションほしーあーー。

って思ってるとついにきた、返信。
どんな、どんな内容なんだ。一気にバクバクしてきて、そのままひらいた。

そこには、話してくれてありがとうってことと、すごく驚いてなんて返せばいいか分からなくて遅くなってごめんっていうのと、そんな大変なのにいつも明るいし、祐葵はやっぱりすごいと思う。

と書いてあった。続けて、でも俺にはそれを全部受け止めることはできない。今までの祐葵との時間全部幸せだったよ、こんな自分を好きでいてくれてありがとう。

ごめんなさい、さようなら。

と書かれて終わっていた。
終わってしまった。

ごめんなさい、さようなら

そのわずかな文字で、全てがなくなっちゃった。

そりゃ!そうだわね、こんな気持ち悪いオカマと付き合うとか無理に決まってらぁ、わかりきってたことだから、やっぱりね!!!!!!って。

そう分かってたけど。
どんな祐葵も全部受け止めるし大好きだよって言ってたのに…、東京行くから待っててねって言ってたのにってついつい思ってしまった。

まぁね、どんな私も受け入れる気ではいたんでしょうけどキャパシティというのがありますからね、キャパオーバーしたらそりゃ無理ですわ。

こうなるって分かってたけどやっぱりとってもショックで悲しかった。喪失感が大きくてこんな悲しいことが起こっちゃうんだって思った。『現実』っていうのは無感情で辛い事実だけを突きつけて去っていくなって感じ。

本当に辛すぎて、ふとしたきっかけで彼のことを思いだしたり、フラッシュバックみたいに突然、帰ってこない楽しかったことを思い出して苦しくなり、もう一生恋愛できないんじゃないか、誰からも愛されることはないんじゃないかって思ってしまってすごくネガティヴでなにもできなかった。げっそり。

何度も写真や文を見返してしまってたけど、スマホが急に壊れて電源つかなくなって、お店行ってももう無理ですと言われて、もう写真やラインをみることができなくなった。それも悲しかったけど、早く吹っ切れろってことなのかもなって思った。毎日めちゃ落ち込んだけど、随分ひどいことをしたから、仕方ないと感じた。

だってこれから彼は好きになって付き合う人に毎回『君は本当に女?』って確認しなきゃいけなくなるようなトラウマを植え付けてしまったかもしれないし、本当に申し訳ない。

それはもう本当に悪いし、私がそんなこと言うなって感じだけど、彼は最後まで優しくて人をちゃんと大切にする人だからきっといい人に出会って素敵な恋愛して結婚して子どもも産まれて育てて幸せになれんじゃないかって思うしそうなってほしい。まじでテメェがいうなだけど。

2人でみた桜みたいに一瞬の間の恋愛だったけどめちゃ綺麗な時間だったし、くっつくのもトントン拍子だったしなんか付き合って別れるまでが運命だったのかもって勝手に運命に結びつけて美化した。

悲しいけどよかった。
よかったわ本当に会えて過ごせて。

感謝と謝罪。

私の周りで恋愛で悩んでる人が割といたりテレビとかでもよく見るのね。普通の男女でこんな難しいならオカマでアホな私ならもっとムズくて当然やんって思う。それにオカマじゃなくたって人はそれぞれ違うからみんなムズいんだと思う。

だからまだ辛いけどこの苦しみも徐々に受け入れて早く笑い話にしてこって思えた。

そんなこともあったのよ。

あれから5年が経ちました。
今私すごく良い人生過ごさせてもらってると思う、毎日楽しいし。
なんと手術はまだできてないし、芸人もほぼ辞めちゃったんだけど、たくさんの良き友達や人々に出会って楽しく過ごせたり、あとね、また恋愛もできたんだよ。すごない!?その話についてはひとつ前の記事に記しました。

オカマという人生もなかなか楽しいと思えるようになりました。

トランスジェンダーの人もそうでない人でも自分という存在を肯定できる、てことが大切、幸せなことなんかもな、なんて思って過ごしてます。



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