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「意思決定」が上司の仕事という話

会社がだんだん大きくなってきて、人が増えることにより組織としての歪みやルール作りの重要性が顕在化してきました。そんな中で以前に私の上司が社内のマネジメント研修でやっていた内容が非常に印象的だったので、私なりにまとめ直してみようと思います。資料もまるままパクった部分が多いです。

仕事でよく言われる報連相、「報告、連絡、相談」についてです。「部下は報連相しないといけない」とは思っていましたが、衝撃だったのは「報連相を受ける上司の資質」についてです。これを聞いてから

「お前は報連相を受けるに足るのか?」

は私自身、常に自問する課題です。

スタートアップ企業ではマネジメントなんか受けたことがないのにマネジメントレイヤーに「創業当初から在籍していた」という理由だけでおかれることはよくあります。当然そんな人がいきなりマネジメントなんかできません。

一方、マネジメントについて「教育を受けていない」、「やったことがない」ということが、「できなくてもいい理由」にはなりません。見様見真似でも、間違っていようともやらないとできないし、出来るようにもなりません。別に私も得意な訳ではないですが、現状の考えをまとめておきます。

新社会人もけっこう読者にいるっぽいのでご参考まで。

報連相とはなにか

読んで字の如く「報告、連絡、相談」のことです。上司に対し、問題や課題が発生した際すぐに報告や連絡、相談を行わなくてはならないということがよく言われます。これは私も部下を持たない一番下っ端のときによく言われていましたが、あまりピンときませんでした。

しかし、実際に自分が役職につき、部下を持つとこの重要性に気づきます。もし、あなたが役職者であるのに「報連相なんか必要ない」と思っているとするならば、あなたは役職者としての仕事ができておらず、単なるプレイングもするリーダーや先輩に過ぎません。自分の働き方を見つめ直さないと組織が組織になりません。プレイングマネージャーが悪いと言ってるのではありません。プレイングマネージャーはマネージャーなのでマネジメントも仕事です。そしてマネジメントの仕事は報連相を受けること正確には報連相を受けた上で意思決定をすること)です。

上司は報連相を渇望している(しなくてはならない)

フラットな組織文化であったとしても組織は階層化します。社長をトップとして経営会議があり、本部があり、部があり、チームがあるといったような形です。ある案件について、部署ごとの意思決定機構があり、最終決定者がいるはずです。また、会社として方向性をどう定めるのかにはある程度決まった手順があるはずです。これはどんな組織でもある規模を超えたら同じです。そうなっておらず好き勝手に意思決定がされるとすると、組織は機能しません。

部下を持つと報連相の重要性がわかると言いましたが、部下を持って初めてわかるのは

「部下が何やってるのか聞かないと全然わからん」

ということです。部下の動向がわからないと当然何を指示していいかも決められないし、決めたとしてもピントがズレる可能性が高いです。きっとあなたの上司もあなたが何しているかを報告されないとわかりません。

「上司からわけのわからない指示をされる」

これは上司の責任でもありますが、報告をしていない部下のせいである可能性も多分にあります。だからこそ、報連相を上司は求める必要があります。だってわかんないんだもん

報連相の不足による機会損失

報連相が不足した場合、何が起こるでしょうか。例えば営業で考えてみましょう。

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まず担当者同士での打ち合わせです。先方の課題を聞き出します。大きそうな案件なので次回は上司を連れて来る旨伝えておわります。

day2

一週間後、上司を連れて再訪。先方も上長出席の元今後の進め方について前回よりも広い視野で会話しました。

day3

先方担当者が上司に承認を取ります。先方の社内での調整してもらい発注の予定。しかし、ここで大どんでん返し。急に発注はなくなってしまいます。

何があったのでしょうか?

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営業プロセスを図解するとたぶんこんな感じ。上記の例は部下が上司に報告しない間に他の顧客の提案を受けてしまって予算を使ってしまったり、顧客の状況が悪化していることを部下が把握しきれていなかったり様々理由が考えられます。

上司の立場からすると自分が同行した案件なのでなにも報告されなければうまく受注できるはずとして更に上司に報告している可能性があります。突然の失注は寝耳に水。困るのは部下だけではありません。

細かく報告をしていたら部下自身も顧客の変化に気づいたかもしれませんし、よくあるパターンなのであれば上司がその変調に気づき対応が打てた可能性もあります。

部下が報連相しない理由

「報連相しなさい」と言われたところで報連相しない理由はいっぱいあります。私もけっこう長い間こう思ってました。

" 結果出しているんだから、報告する必要なんかない"

" 結果が出てないんだから、報告する暇なんてない"

" この事実を報告したら、怒られる"

" 報告書を書くのが面倒"

" Slackで送ってもどうせ誰も報告書なんて見てないし"

" え?上司に相談していいの?僕のミッションなんだけど・・・"

" いちいち上司に連携するより、自分で処理する方が楽"

" 何を報告するんですか?"

まったく重要性が理解できていません。

上司が報連相を求めない理由

また、上司になっても報連相を求めない人もいます。これも色々理由がありますが、上司の顔を思い浮かべるとこれ考えてそうじゃないですか?こちらのほうが深刻です。

" あれは彼のミッションだから、成果は彼の評価にしかならないし"

" あれは彼のミッションだから、失敗は彼が責任とるんでしょ"

" 悪い報告されても不愉快なだけなんだよね"

" 報告書は読むのが面倒なんだよね"

" Slackで送られても報告書なんて見ないし"

" え?部下からなんで相談されなきゃいけないの?俺のミッションじゃないのに?"

" いちいち部下のサポートするより、自分で処理する方が楽"

" 何を報告させるんだっけ?(何を相談させるんだっけ?) "

こちらも全く重要性が理解できていません。報告を受けて不愉快になるなんて一番だめです。上司の仕事は報連相を受け、そこから意思決定をすることです。メンバーの管理が仕事じゃなくて、重要なのは部下にできない意思決定です。管理だけならバイトリーダーで十分。

報連相しているつもりの部下、させているつもりの上司

部下「報連相しているはずなのに報連相をしろと言われるんです」

これは報告や連絡になってないし、何を相談してるのが全然わからないだけな可能性があります。報告にもテクニックがあります。

上司「部下からよくわからない報告しかこないんです」

自分が何を知らなくてはならないのかを理解できてない上司がいます。自分が知らなくてはいけないことが整理できていないから報告させる内容も固まっていないのです。

会社のKGI、それに到達するための自部署のKPIをメンバーレベルでしっかり把握する必要があります。それを元に報告内容を決めればわけのわからない報告はなくなるはずです。それでもわけのわからない報告しかこないんだとしたら部下への伝え方か、上司の事業理解度が浅いのでしょう。残念ながら部下のせいではなく上司のせいです。

上司が何がわかってないのかは、ちゃんと伝えないと部下にはわかりません。ここに「現場がわからないやつ」と言われる管理職の正体があります。

報連相をするスキル

タイミング伝え方が大きく分けて報連相のスキルです。何をどうしたらわかりやすく伝えられるのかの報告フォーマット詳細については長くなるんでまた今度書いてみます。

タイミングを見計らう

超重要ですがあまりできている人がいません。上司のスケジュールや生活リズムを見計らって報告をする必要があります。忙しい時間で上司に連絡が来まくっているタイミングで報告しても気づいてもらえません。上司が絶対に気づけるタイミングはあるのでそこを狙ってみましょう。

報告の手法を内容によって変える

Slackでメンションをつける、DM、メール、電話その他色々と連絡ツールはありますが内容によって手法を変えるのも有効です。ここも長くなるんで一旦図解したものだけ貼っておきます。

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相手が理解しやすいフォーマットをお互いで握っておくというのは仕事を円滑に進める上でありだと思います。特に何人からも日報を受け取るような場合、全員のフォーマットは絶対に揃えさせるべきです。

報連相を受けるスキル

報連相は受ける側にもスキルがあります。上司の義務です。報連相を受けて「おお、ありがとう」だけ。これでは報告する気が失せます。どうするかの意思決定をするのが上司の仕事です。

先入観を持たず、冷静であること

なるべくバイアスを排除して、事実を捉える必要があります。物事の位置付け、重要性を客観的に判断できなくてはなりません。

どんな報告でも歓迎する度量

個人的に一番大事だと思っているポイントがここです。部下が「報告恐怖症」になるような態度をしていないでしょうか。気に入らない結果を報告されてもキレてはいけません。部下にとって、報告一つも汗をかく仕事。失敗でも喜んで報告を聞き入れる程の広く深い懐を持っているかは重要です。

相談を受け付ける時間的な余裕を作っているか(on/off含めて)も非常に重要です。忙しすぎて話す時間もないというのは上司としてはイケてないです。

その場でレスポンスする

「報連相」を受けた場で意見や指示を行なうことが最も重要です。上司の仕事は意思決定です。意見や指示をせず、「ありがとう」だけで報告意欲を減退させてしまってはいけません。報告に対して意味づけをするのは上司の仕事です。

自分だけでは意思決定できないことで、保留にする場合にも、将来自分がどう対応するつもりなのかを示す必要があります。

「〇〇さん(自分の上司)に相談して明日の夕方までに指示しますね」

のように、期限を切って相手(部下)のタスク(心配事)から外してあげる必要があります。「僕じゃ決められないんだよね」という事実の伝達では「じゃあどうしろってんだよ」というヘイトしか溜まりませんよね。。

おわりに

なんか色々偉そうに書いたけど別に私もできてません。自戒も込めて考えをまとめてみた感じです。

そんなこんなで、ちゃんとマネジメント出来る人も募集中です。引き続きCTOも募集中。



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