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【一幅のペナント物語#47】癒され効果のある"ぶんぶく茶釜"ペナント

◉週あたりのビュー数が300くらいで安定し始めてニマニマしてたのだが、1週間ほど更新が途絶えたら一気に30台に急降下した・・・恐ろしいnoteの世界(笑)。記事ストックゼロのまま仕事が立て込んでしまった結果とはいえ、ビューが10分の1になっちゃうのは、なんだか悔しいし寂しい! 僕の中の承認欲求が「愛を!愛を!」(by 櫻坂46『承認欲求』より)と今、声をあげております。

◉そんな打ちひしがれた気持ちからの再起と、睡眠時間を削ったハードワークへの慰労を込めて、癒し系ペナントを紹介していこう。小坊主のビックリ顔がなんともいい味を出している「館林」のペナントである。「館林」という名前、西日本人の僕にはあまり馴染みが無くて、地名はともかく「どこだっけ?」と場所を改めて調べてビックリ「めちゃくちゃ渋谷に近いじゃないか!」。その時点で僕の中では都会認定なんだけども、界隈の人たちからすれば、まあおそらく違うんだろう。

◉さてペナントの方は、日の丸扇を片手に器用に細い綱の上でバランスをとっている狸の図柄。そう、日本人の99%が知っているんじゃないかと思うくらい有名な「ぶんぶく茶釜」の狸である。ペナントの中ほど「茂林寺」の文字の横に、ビックリ顔の小坊主がいる。でもよく見るとビックリ顔というよりは笑ってる顔のようだ。確かに茶釜の狸の様子を見ると、まあニヤニヤしてしまうような恰好ではあるな。実際に眺めているとほっこりしてくる。

◉しかし何故にねじり鉢巻きなんだろう? と気になって調べてみる。ググっても、ねじり鉢巻きのぶんぶく茶釜ってそんなにヒットしないのだ。で、1971年(昭和46年)発行の絵本でこんなのを見つけた。

他にも昭和中期の絵本などの表紙に、ねじり鉢巻きのぶんぶく茶釜が幾つか見受けられるので、このあたりがペナントの狸の下地になったのではなかろうか。

(左)石井健之・画、(右)前田松男・画

◉ペナントではツツジの咲き誇る茂林寺境内で曲芸をしている感じの茶釜だが、実際に茂林寺がツツジの名所というわけではなさそうだ。館林の市の花が"ヤマツツジ"で、全市的にツツジが有名なので、こういう図案になっているのだと思われる。旗竿部に入っている「来る人に福を分け合ふ茶釜かな」の句は有名な俳人のものかと思ったが良く分からず。「善作」と読める名前らしきものからもヒットせず。善作って誰?

◉ペナントのことを調べているうちに、そもそものぶんぶく茶釜の話の輪郭が曖昧になってしまったので「どんな話だっけ?」と動画を見てみることに。まずは昭和を代表する名作アニメ『まんが日本昔ばなし』版から。

いやー、市原さんと常田さんの声は幾つになっても癒される・・・。なんなのだろう、このほっこり効果は。日々の疲れが溶けていく。このバージョンでは、寺の和尚と狸は出逢ってそのまま居ついて、お寺で曲芸をして人を集める流れになっているのだが、もともとのストーリーからは大きくアレンジされているようだ。Wikiに紹介されている巖谷小波による『文福茶釜』に沿った展開になっているのは、こっちの動画のほうかもしれない。

なんにしても茶釜は生涯ずっと曲芸していたわけではなく、お寺に戻ってからは宝物として大事にされて余生を過ごしたのであった。実際に今の茂林寺にもその茶釜が保管されていて、実際に見ることができるのだとか。夢があるなあ。

思ったよりも小ぶりな文福茶釜(『曹洞宗茂林寺』公式HPより)

ただお寺に伝わるお話はちょっと違っていて、茶釜そのものが狸だったという話では無く、代々の住職に使えた守鶴という人物がその茶釜をお寺に持ち込み、彼の正体が狸だったという言い伝えのようである。そのあたり興味のある方は以下のリンクからどうぞ。

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