倦怠のゆくえ

言いたいことを怯えつつ言うは、
肉の欲を肯定したがるは、
ひとりよがりな詩人の末路。
退屈な季節の永きこと!

霧の中でなら正義を貫く。
蝕まれた心に光を与えて、
我が罪と、醜き偏見と、不合理な錯誤とを数え上げ
脳髄を歓喜で満たそうとした。

懐疑、愚弄、享楽の連鎖はとまらず、
目隠しをして描く人物画は、世にも尊い。
見るものはまるで見えないから
わたしたちは利息ばかりで本質を探ろうとする。

骸骨の朽ちる変化を見つめている
見捨てられた幼な子たちに
白い壁を昇れと命令し、悦に入る。

なぜ問うのか、私たちの小さき声を。
病める花々を空っぽのビール瓶に束ねて挿して
「死」を知らされていない戦場の兵士たちの肉体に
真実を告げて廻ろう、派手な歌を唄いながら。

群衆が早回しの映像で
踏切を跨ぎ、郵便小包を脇に抱えて走る。
さながら道化師たちの一人舞台
路上で、玄関で、窓辺で、屋上で、道の真ん中で
たくさんの複製人間が
羞じらいを忘れてしまっている。

ゆめゆめ忘れてはならぬ
過剰さはいつか人びとを威嚇し、
傲慢な同類と、
言い訳がましい卑怯な輩を
根こそぎ滅ぼす嵐となる。

気を付けろ、愛しい我が子よ。
その手の届く場所に
あらゆる者を堕落へと引きずり込む
心地よい倦怠がひそんでいるから。

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