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【中学受験ネタ】愛光中学過去問題

 公開模試の対策として、愛光学園中学の過去問題を解かせた。まだ早いとは思ったが、最近少し天狗になっているので、お灸をすえるのも目的で。
 結果、国語は50%程度、算数は60%、社会は65%、理科は75%で、国語と算数は惨憺たる結果になった。
 まだ五年生なので、こんなものだろうとは思ったが、息子は不服そうだった。できなかった問題をやり直すように言ったところ、4時間後に泣きながら私のところに来た。
「どうした?」
 息子はなにも言わず泣きじゃくっていた。
「難しかったのか?」
 重ねて聞くと、息子はこくりと頷いた。
「できなかった問題を解説見ながらやってたんだけど、それでもわからない。もう僕へとへとに疲れて、なにも考えられない」
「まさか、ずっと算数をやってたの?」
「お父さんができなかった問題を解説見てやり直せって言ったから」
 聞くと、四時間ぶっ通しで算数をやっていたらしい。
「四時間も考えたら、ヘロヘロになるに決まってんじゃん。一教科で、長くても一時間だよ。それを四時間も考えるから嫌になるんだよ」
「そうなの」
「君のやり方は勉強を嫌いになるやり方だから、もう二度としたら駄目だよ」
「わかった」
 大人かと思うと、子供なのが、中学受験生の恐ろしいところ。

 そういえばこんなこともあった。
「僕さあ、最近理科でよく時間が足りなくなるんだよ」
「それまずいじゃん」
「そうなんだけどね。いつも残り十五分くらいで焦ってしまうんだよ」
「それさあ、対策を講じないと同じことの繰り返しになるよね」
「そうだね」
「できなかった問題は実力不足だから、次に解けるようにすればいいだけでしょ。でもいつも時間足りないのに、なにも対策しなかったら、このままずっと同じことの繰り返しじゃん」
「そうなんだよね」
 他人事のような息子にいささか呆れながら、私は続けた。
「例えば理科だと大問は何問あるの?」
「だいたい7問くらいで、時間は四十分」
「だったら大問一問に使える時間は約五分ってことがわかるでしょ。大問終わるたびに、今進んでいるかどうかをチェックしていけばいいだけじゃん。例えば大問二問終わって十分過ぎてたら、やばい、時間が押してるってわかるでしょ」
 息子の顔がぱっと明るくなった。
「なるほど。そうやって考えていけば、早めに立て直せるね。僕残り十五分くらいでいつも焦ってたよ。そのやり方で何とかなりそうだよ」
 むしろこちらの方が「なるほど」と思った。ここまで説明しなければ、小学五年生、いや、うちの息子は理解しないのだな、と。


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