見出し画像

国際市民メディア @GlobalVoices のボツ原稿で伝えたかったこと(4/4)「性的同意の問題」編

※途中からお読みの方はこちらもお読みください

最終更新日:2019.02.10|ENGLISH

「性的同意」の問題

ISSUE OF SEXUAL CONSENT

「詩織」さんと「めいり」さんのケースをより複雑にするのが、「性的同意」の問題だ。

詩織さんは、「デートレイプドラッグ」といわれる薬物が使われたと主張しており、めいりさんは自らのツイッターで2時間以上も強制的に飲酒をさせられたとしている。

いずれのケースでも、現行法では抗拒不能になったことを証明する責任は被害者側にある。抗拒不能であり、明確にも暗にも、加害者との性交に同意することは不可能だったことを証明しなければならないのである。

「詩織」さんは自ら執筆した記事の中で、こう述べていた。

”17年に日本の公共放送のNHKが行った世論調査によると、回答者の27%が「二人きりで飲酒」することは「性行為の同意があったと思われても仕方がない」と捉え、25%が「二人きりで車に乗る」ことが同様に同意の印であると捉えているという。”

社会一般がこのような認識では、「性的同意」の重要性を説明するのは至難の業のように思える。しかしこの難しい問題に、ある法律の専門家が貴重な洞察を行った。

"同意の要件は、性犯罪の中心に位置づけられるべきではありません。"

こう語るのは、甲南大学法科大学院教授の園田寿氏だ。

政治専門誌『世界』に掲載された自らの論文を特別にYahoo!ニュースの個人ニュース・サイトに転載した園田氏は、加害者と性行為を行うことに被害者が同意しているという『誤信』は、加害者に性犯罪を行う意図が無かったこととイコールではないと説く。

"相手の女性が性行為に同意しているとの誤信は、性犯罪の故意がなかったということと決してイコールではないのです。"

園田教授は、「抗拒不能」「準強制性交」などの日本の法律固有の表現や判例を駆使して説明した。後者の「準強制性交」は、抗拒不能な状態での強姦、昨年7月に改正されるまで、旧法では「準強姦」とされていた犯罪概念を示す。

"「抗拒不能」とは、「反抗が著しく困難な状態」(判例)のことだとされています。これは、強制性交罪における暴行・脅迫の程度が、被害者の抵抗を完全に封じるほど強いものである必要はなく、より弱いものであっても犯罪の成立を認めてよいとされていることと連動しています。もちろん、それは相対的な判断ですから、暴行・脅迫の態様、時間的・場所的状況、被害者の年齢・精神状態等の事情を考慮して客観的に判断されることになります。"

その上で園田教授は、「準強制性交」についてとくに説明する。これは、「めいり」さんや「詩織」さんのケースに当てはまる。

”準強制性交でも、薬物の種類・量や摂取したアルコールの量、性行為に至るまでとその後の状況、人間関係などの情況証拠から慎重に推論を重ねて性交時の同意の有無が認定されることになりますが、意識混濁状態での性交について拒絶・抵抗しなかったことを「抗拒不能」の判定資料とすることは、議論の本質を誤るおそれがあります。”

最後に園田教授は、加害者があくまで、被害者の同意があったと主張するようならば、そのような主張は客観的に『相当な根拠』をもって主張されているか否かを吟味すべきだと主張する。

”行為者が、女性の同意があったと主張するならば、その主張が客観的に納得できるかどうか、つまりその主張に「相当な根拠」があるのかどうかが吟味されるべきです。そして、その場合の相当な根拠とは、裁判において主張を裏付けるに足りる程度の証明資料を用意できたような場合がその典型例でしょう。そうでなければ、同意があったという抗弁を認めるべきではありません。”

しかし、このようなことは、被害者側が、捜査当局や検察側に対して『相当な根拠がある』ことを証明して初めて実現することであり、それがあってはじめて次の段階―裁判―に辿りつくことができる。だが、それぞれ犯罪の状況がまったく異なるにもかかわらず、「めいり」さんの事件は受理すらされず、「詩織」さんの事件は不起訴となった。

いずれも「証拠不十分」を理由にして。

被害届を提出し、受理され、捜査が行われ、それが逮捕に繋がり、そして起訴され、裁判に至る――この道程は、彼女たちにはあまりにも遠かった。園田教授の専門的な見地からの理屈が通れば、あるいは現実の裁判にも適用が可能かもしれないが、残念ながら、そのような機会が得られた被害者はきわめて少ない。それは「詩織」さんも、「めいり」さんも、例外ではない。

まだ見ぬ日本と世界の #MeToo たちへ
~「めいり」さんからのメッセージ~

A message for the unheard MeToo’s in Japan and around the world

『GV』との取材の一環で、「めいり」さんはあらゆる性暴力の被害者に対してメッセージを贈りたいと言ってくれた。以下が、まだ見ぬ世界中の「MeToo」たちに向けた彼女のメッセージである。

noteをご覧くださりありがとうございます。基本的に「戦う」ためのnoteですが、私にとって何よりも大切な「戦い」は私たち夫婦のガンとの戦いです。皆さまのサポートが私たちの支えとなります。よろしくお願いいたします。