バーティカルSaaS(業界特化型のSaaS)が盛り上がっている?
バーティカルSaaSが増えてきた背景
ホリゾンタルSaaSがあらかた登場しきったため、機会を求めるとバーティカルSaaSを狙わざるを得ないでしょう。今は業界の大きなところから、バーティカルSaaSが生まれていきそうです。建設業や金融業で生まれているのがまさにその流れだと思います。
また、業務の軸として、ホリゾンタルSaaSがコーポレート業務など業界をまたいでも同じ業務を中心にさらっていったあと、業界慣習などが多数あるとバーティカルが強いでしょう。美容院やホテルの予約管理SaaSなんかはバーティカルがもともと強かったところです。
ただ、バーティカルであるがゆえに狙えるだけの市場がある業界は限定され、また一般的に知られていない業務については、実はニッチに見えるけれど、大きな市場がある、ということがあります。今年上場したスパイダープラスなんかはまさに業界出身者が立ち上げたSaaSで、知られていないという意味でのニッチではありますが、建設業という大きな市場だった、ということでしょう。
一方で、刈り取りが進んでしまったバーティカルSaaSは、そのままニッチではいられないので、やはり大きくなるために、周辺領域に染み出していくことになります。
バーティカルSaaS vs ホリゾンタルSaaS
こうした流れが進むと、ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの境目が薄くなってきて、ホリゾンタルSaaS vs バーティカルSaaSの戦いが生まれそうです。
最近気になったのは、チャットワークのTVCMです。CMでは、現場監督風な人や建築士風な人と施主とが、やり取りをチャットワークでしているのです。ANDPADと戦いだしてるのかなーなんて想像しましたね。
過去を振り返ってみると、オンプレの会計システムは、業界向けの追加オプションを出して、バーティカルな対応をしてきました。今後、バーティカルSaaSに侵食されそうなホリゾンタルSaaSはこうした戦い方をしていくことになるかもしれませんね。
バーティカル to ホリゾンタルという流れ
ホリゾンタルSaaSはコンサルから入って業界課題を認識してSaaSを作ったり、よく業界をしったインサイダーがSaaSを作ったりすることが多い領域です。では、バーティカルSaaSはホリゾンタルSaaSから身を守る戦いだけしかできないのでしょうか?
僕はそうではないと考えています。弊社WACULはデジタルマーケティングという比較的ホリゾンタルな業務領域をカバーしたSaaSである「AIアナリスト」を提供しています。
が、実は特定業界にフィットするソリューションとして、バーティカルSaaSである「AIアナリスト for ツーリズム」という、ホテルや観光地などの観光業向けに調整されたAIアナリストをJTBグループにOEM提供しています。ホリゾンタルSaaSは業界知見を必要とします。そのため、当社の場合にはJTBグループと組むことを選択しました。
ここでこそスタートアップと業界大手のオープンイノベーションが活きる領域でしょう。こうした取り組みが今後増えていくのではないかと考えています。
サポートしてくださった方のご厚意は、弊社の若手とのコミュニケーションのためのコーヒーショップ代にさせていただきます。