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キャンプファイヤーの横領事件について、上場スケジュールから推察する

Revueのサービス終了に伴い、そちらに掲載していた記事をnoteに移設しています。本記事は、Revueにおいて 2022/6/11 に掲載したものです。

2022/12/21

告訴の時系列と上場準備スケジュール

告訴の時系列と上場準備スケジュールとを見比べて、何が起こっているのかを推察していきます。

クラウドファンディングサイト「Campfire」で元経理担当者の横領がありました。衝撃的でした。というのも、2021年の6月に家入さんがBloombergに「年内上場を目指す」と語っていたからです。

横領なんて上場準備に大きな影響を与えるに違いない超絶大事件です。それがあって、経理担当者の懲戒解雇をしてからまだ半年というタイミングで上場について語っていたなんてと衝撃を受けたのです。

上場に関する観測記事が出るとき、本当に偶然漏れてしまったのか、それとも意図的に漏らしたのかは分かりません。ただ、多くの企業において具体的な上場タイミングを外部に出して得することはなかなかないんじゃないかと思います。しかし、家入さんはあえて自分からメディアに語っていました。それは何かしらのメッセージがあるんだろうなと思っていましたが、記事内に時価総額2000億円を目指すと書いてあったので、てっきり証券会社と時価総額のところで揉めていて、その点について観測気球をあげたのかなと想像していました。でも、今日の報道をみて、実はそういう理由での好評ではなかったのかなと考えました。

今日は、記事から分かる横領に関する時系列と家入さんから語られていた上場を狙う日からの逆算される時系列とをあわせて、どういったことが起こっていたのかを推察してみます。

「4回にわたりインターネットバンキングを利用して会社名義の銀行口座から自らの銀行口座に移した」ということから、かなりガバガバの仕組みだったのでしょう。僕は実施者ではなく承認者として、今もすべての銀行口座からの資金移動先と金額を全件すべて目で見て承認していますが、クラファンくらい件数が多くなるとそこもちゃんとチェックしないでやってしまっていたのでしょうか。それともそうしたダブルチェックの体制などもまだない段階で起こってしまったのでしょうか。

懲戒解雇が2020年11月なので、そこで牽制の仕組みとして「財経分離」および「実施者と承認者の区分」を行うなり対策をして、1年の経過観察で問題なければいいでしょ?と証券審査を行う証券会社に対してプレッシャーをかけるとか観測気球をあげるとか、そういう判断をしたのかもしれません。

その後東証に上場申請を出したのか否かは外部から知るよしもありませんが、年末というとグロース市場の停滞が始まった時期なので、本件や2000億円を目指すと言っていたバリュエーションのこともあるので、総合的に判断して上場スケジュールは遅らせて、ならばきっちり本件もやりきろうと12月に告訴した、という流れでしょうか。

「IPO経験したい人材」って結構いて、上場準備チームの募集をすると「これまで1勝4敗です」みたいな人がたくさんいます。なんなら全敗の人も多いものです。僕もスタートアップ転職をしたときにIPO準備中の企業と何社も面談しましたが、現時点で上場したのはウチとビザスクだけです。

2019年時点でも上場準備には入っていたでしょうし、この経理担当者も上場準備に関わっていたとしてもおかしくありません。その時、自分の行為が上場をストップさせることが予測できないはずはありません。けれど、ギャンブルにハマりすぎてルビコン川を渡ってしまうような人材を招き入れてしまった…。

IPOできるか否か、当然に色々要素はあるんでしょうが、最後は運なのかもしれません。告訴したということは必ずどこかで取り上げられることはわかっていたはずです。コーポレートチームは忸怩たる思いでこの日を迎えていることでしょう。お疲れ様です。。


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