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銀行員が借金1000万円に堕ちて這い上がる話

人がどうやってダメになっていくのか、見てみませんか?


多くの人にとっては、住宅ローンでもない限りこんな多額の借金を追うことも、こんな自堕落な生活で困窮することもないでしょう。僕もまさか自分がそんな経験をするなど、思ってもいませんでした。僕は田舎で公立の小中高を卒業し、東京に出てきていわゆる有名私大を卒業し、サラリーマン(銀行員)として働き始めており、世の中的に見れば恵まれた環境で育って、社会に出ました。しかし、そこから借金1000万円を背負うまで堕ちたのです。


多額の借金や自堕落な生活といった極端な話はともかく、僕が経験した失敗の一瞬一瞬には、不安やストレスを起因とする誰もが陥る可能性のある罠や誘惑といった落とし穴を避けるヒントがあるかもしれません。また、僕が立ち直れたことは、同じような悩みを持つ人にとって、立ち直るきっかけになると嬉しいです。


1.なんで借金なんかしたのか?


きっかけなんて本当に些細でよくある話。大学時代に友達に誘われるがままに始めたパチスロが、ことの始まりです。ただ、学生時代はまだマシでした。毎回収支を管理して、使えるお金の範囲でしかやらず、データを取ったりしてギャンブルなりにも「負けない、少なくともマイナスにならない」行動ができていたからです。僕の学生時代はパチスロの設定(台の期待値を表す数値)が公開されることもあったため、期待値がプラスになる台を冷静に選べることもできました。また、大学卒業と同時に一旦はギャンブルを辞めていました。


問題は、社会人になってからです。負けないことと管理することをせずにギャンブルを再スタートしたからです。


慣れない仕事、上司からの詰めでストレスが溜まる中でフラッと寄ってしまったパチンコ屋。北斗の拳のケンシロウに期待を込めて、何も考えずにお金を突っ込めば、ラオウを倒してお金が出てくる。出てきたお金で焼肉でも食べる。ストレスから逃げるにはもってこいの環境だったわけです。


人間ってストレスを感じて逃げる時には、「何も考えなくていい時間」をすごく欲しがるので、ストレスにさらされているときは気をつけた方がいいですよ。


負けないことと管理することをせずにいると、暇とお金があれば通うようになります。ギャンブルはよっぽど自制心が強くない限り、勝ち続けるのは至難の業です。冷静さを失って、期待値もろくに考えず、「当たればラッキー」くらいの気持ちになると当然負けこんでいきます。また、負けこむと「取り返そう」って気持ちも芽生えてきて、そんな気持ちになる頃には、負ける確率は頭から消え「勝った時のこと」しか浮かばなくなります。そして、こんな生活していれば当然家計はマイナスに。


ここでやめればいいものの、定期的に入る給料による悪魔の囁きに僕は負けました。「ちょっとくらいお金借りても、来月返せるだろ?」って。こういう冷静じゃない時に考える返せる目処も大概あてにならないです。●●を我慢すればいいとか、楽観的に考えがちですが、ギャンブルの我慢すらできない精神状態で些細な我慢ができるはずもありません。


2.どうやって借金は増えたのか?


要因は、3つあります。

2-1.借金への意識が薄れたこと

一度借金(特にカードローン)をすると、まるで自分の口座のお金かのような錯覚が生まれて、借りる精神的なハードルがものすごく低くなります。そうすると、ATMでお金を引き出す気軽な感覚で借入を増やしてしまうのです。
借入が増えていく時に恐ろしいのは、借りたお金(元金)とその利息の総合計額を考えずに、月々の返済額に頭がいってしまうことです。「自分が総額いくら返さなければならないか」ではなく、「このままでいるには月々いくらで払えばすむか」に思考は変わっています。
例えば、100万円借りて年利10%、3年で返そうとすると1年間で110万円、3年で130万円返さない(計算は簡素化)といけません。30万円も借入に伴う費用を払わなきゃいけないのかと思うと馬鹿らしくなるのが普通でしょう。
ただし、生活に窮してくると、「月々10000円の返済」しか考えられません。カードローンの宣伝文句は、この月々の返済額を押し出してくるので注意です。この10000円の内訳が元金2000円、利息8000円だとわかっていても、月に10000円払えば生活できると考えてしまうのです。こうなると減らすことが難しくなっていきます。


2-2.借金を隠すために更に借金を重ねたこと


こうして、月々の返済が日常の生活費に組み込まれると、当然何かを諦めなければなりません。やれ人付き合いが大事だとか、社内の飲み会だけは行かなきゃとか、誘いは断れない!とかつまらないプライドと楽に周りに流されていたせいで、収支がマイナスになっていきました。


更にそんな思考回路では、家族、友人、恋人にもバレないために、どんだけマイナスになっても隠すことを優先し、これまでの変わらない生活スタイルと水準を維持しようとするので、借金を上塗りしていきます。


借金地獄からの脱却の一つ(後述)は、周りに話すことが大切です。めちゃくちゃ勇気がいりますが、金銭面ではなく、精神面で欠かせないポイントの一つだと後々で実感しました。


こうして、マイナスにマイナスを重ね始めると勢いは加速していきました。


2-3.当たり前(だと思っていた)収入に不安が生じたこと


この頃には初めて借金をして既に6年くらい経過し、借金総額で700万円くらいにはなっていたと思います。なお、ここで結婚もしていますが、この時点では誰にも借金のことは話せていません。


ちなみに一度も返済が滞ったりしたことはなく、仕事は銀行でスムーズにいっていたので、年収の増加と共に借りられる金額が増えていったことも調子に乗るいい燃料になっていました。


そして、最後の絶望までの時間がここからスタートします。


まず仕事がうまくいかなくなりました。自分で手を挙げ異動した先でプレッシャーに負けました。家庭でも塞ぎ込みがちになったため、家庭環境も良くはありません。通勤電車だけが落ち着く時間でした。最終的には仕事を休むことに(この辺りはまたお話しします)。


この休みが全てをダメにしていきます。


会社に行けるの時期が定まらず収入に不安を感じることになり、順調だったキャリアアップもここで躓きます。いつか返せると淡く期待していた返済の夢なんか消え失せます。


少し話は逸れますが、本当に世の中自己責任です。会社がいくら安定しても、自分が安定して働けるとは限らないので。


もはやまともな精神状態でない状態で、会社は休みで時間は十分。ここで再び落ちるのがギャンブルの罠。時間があって、何も考えなくていい空間は、ただただ楽でした。ひたすら逃げたくてパチンコ屋に行って金を突っ込む機械みたくなっていましたね。


こうなると自分が借金いくらあるかや、日々の資金繰りに目を向けることはなく、ただ楽な時間を過ごしたいという逃げてばかりの生活になってしまいます。


こうして「楽な方に逃げる」ばかりを選んだ末路として、借金は2ヶ月で300万円近く増え、1000万円になりました。


3.どうやって更生したのか?


きっかけは?と問われると、具体的なエピソードがあるわけではないのですが、とある年初に「この生活では持たない、バレずに生きていくのも不可能」と思ったことです。

そこから取り組んだことは大きく3つ。


3-1.家族と友人への告白

まずはじめに、周囲に洗いざらい話しました。

なぜそうしたかというと、①生活そのものを変えるためには家族の協力なしにはできない状況だったため、②宣言することで監視の目を周りに作るためです。

精神的に一番辛いのはこのステップでした。会社には復職していたものの、メンタル面は不安だったので。あの時の毎日の緊張感は二度と味わいたくないですね・・・。

そして、何も知らない家族や友人に言ってどんな反応があったか振り返ってみます。

【妻への告白】

第一声はこれ。

「正直、離婚したい。どうするつもりかよく考えて説明して。」

当然離婚なんかしたいわけがない。

でも、当時の僕には隠し事を続けたこと、とんでもない額の借金の存在、そして何より罪の意識しかないから返す言葉がなかったです。どんなに説得しようとも、薄っぺらい言葉にしか聞こえないだろうと思うと、言葉なんて出てこないのです。

妻にしてみても、パートナーが1000万円も借金を抱えていたなんてすぐに受け止められない現実だったに違いありません。

しかも、当時はすぐにギャンブルが原因であることも言えなかったのです。

毎日毎日、本当に家に帰るのが怖かった。

帰っても会話のない空間が広がるだけです。

さらに当時、妻に言うのが一番怖かった僕は先に友達を頼っていました。

が、妻の一言。

「家族だからこそ、受け止めるし、一緒に進もうと思うのに、なんで友達が先なの?私のいる意味は何??」

家族の意味も考えさせられることに。

ギャンブルのことも、すぐに妻を頼れなかったことも含めて、反省しかない中、告白したからには、現実とちゃんと向き合うために告白したのだからと、

「なぜこうなってしまったのか」、家計見直し案、返済計画案をやっとの思いで作って説明し、出てきた妻の一言。

「わかった。これからはちゃんとして。もう嘘も隠し事もなし。」

夫婦ってよく同じ方向を向くことだとか、共に戦うパートナーだと言いますが、本当にその通りだと実感しました。

妻の理解、協力なしには立ち直ることなんかできなかったでしょう。

【両親への告白】

妻への告白を終えた僕は、その週末、故郷に里帰り。心配した友人が空港まで迎えにきてくれましたが、一言も発せられない状況でした。

家の近くの喫茶店にまずは父親を呼び出します。

話したいことがある。●●にいるから来て欲しいと。

父親は、何かを悟った様子でしたが、冷静に、僕に何があったか聞いていました。

会社を休んでいたこと、ギャンブルで1000万円の借金をつくったこと、どうやって返していくかを淡々と伝えました。

第一声は

「高級車でも買っておじゃんにしたと思え。きっと返せる。まずはちゃんと健康になって、ちゃんと働け。」

自営業で商人として、店を立て直した父らしい一言に勇気付けられました。

父親も多くは語りませんでしたが、責めることはなく、やり遂げることを信じてくれている、そんな感じだったのを覚えています。

次は母親です。母親はショックを受けやすい性格とわかっていたので、慎重に話しました。まずは親父から概略を、そして僕から僕の言葉で、ことの一部始終を。

「なんでもっと早く言わなかったの・・・(号泣)お金よりも、健康には本当に気をつけてね。」

いわゆる真面目に育てたはずの息子の行いにショックを受けることを想像していましたが、掛けられたのは心配の言葉だけです。親の尊さを感じずにはいられなかったですね。

なお、友人は、離れていく人、ネタにしてくれる人、応援してくれる人、金銭支援を申し出てくれる人、本当に様々でした。

なお、友人からの金銭支援はお勧めできません。せっかくの支援の気持ちを万が一の時には裏切ることになり、縁まで切れてしまうこともあります。死ぬほど追い込まれていれば別ですが、最後の手段くらいに思ってください。

告白は、本当に勇気がいるし、体力的にも精神的にもしんどいです。

でも、立ち直るきっかけに必ずなります。一人じゃない事、支えがある事、味方や仲間がいることを再認識し、もう一度前を向くチャンスになるはずです。

誰にも話せていない人がいたら、ぜひ周りに話をしてみてください。

3-2.家計の見直しと返済計画の作成・実行

ここは銀行員だったおかげも多少はあったかもしれません。具体的なやり方は別途note書きますが要点10個だけ記載しておきます。こちらは借金がない人にも使えるかもしれません。

・無理のない生活水準を定める
・不要な保険を解約する
・残業代やボーナスといった変動要素は織り込まない
・収入を増やすモチベーションを作る仕組を入れる
・交際費は一旦0にする
・バッファーとして一万円残す(医療費等を想定)
・家計簿作る
・お金を下ろすのは給料日だけ
・毎月家族に報告する
・とにかく金利の高い借入から返済

昇給等もありましたが、当初計画を上回るスピード(3年800万円)で返済できています。

債務整理等の法的手段ももちろんありますが、まずは自分の置かれている現実をちゃんと認識することが大切でした。

僕の場合は返済の目処が一旦見えたのと、何より自分で計画を立てて実行できることは自信になっていくので、まずは自分の力で取り組んでみることを勧めます。

3-3.ギャンブル脱却


一番の敵はこいつでした。意志力だけでは限界があります。
危ないのは、一人の暇な時間。そして、日本はそこら中にパチンコ屋があることので、いかに入店とお金を使うことを避けて生活できるかが鍵です。

例えば、下記のような行動パターンに変えることです。
・一人の時間を極力作らないようにするために家族や友達に極力会う
・お金、免許証、キャッシュカードを極力持ち歩かない
・絶対に一人でパチンコ屋のある駅には行かない


また、最低限の娯楽は必ず用意した方がいいです。ダイエット等と同じで一回成功したらいいのではなく、「しないこと」を継続してなんぼです。その際に手っ取り早いのは、代わりのアクションを用意すること。


僕は、カフェで読書とジョギングが僕の代替アクションでした。パチンコ屋に入りそうになったらとりあえずカフェに逃げる、ギャンブルの衝動に駆られたらジョギングする等、自分の行動パターンを置き換えていくほうがスムーズでした。

また、失敗してもそこで終わりだと思わないことです。僕もいきなりスッパリやめれたわけではありません。何度かパチンコ屋に行ってしまっています。


「毎日だったのが週1になった」でも十分な進歩です。できたことを自分で褒めるようにしましょう。ただし、最初から妥協案は用意しないこと。減らせばいいやではそこで満足してしまうので。脱却というゴールは掲げた上で頑張りましょう。

こうして脱却できてくると自信に繋がるので、結果として続けるほどモチベーションも上がります。一度やってしまったらこれまでの努力も水の泡なので、やめていることを誇れるようになりました。


4.弱さを認める強さ


【2019.6.30 このnoteを当初に公開してから今日までのことについて、元noteの「おわりに」を削除し、追記しています。】

僕の経験を振り返って、復活の第一歩は、自分で置かれている状況のまずさを認識したこと、そのことを周囲の人に話したのがきっかけです。

僕が堕落していく中で、なんとか失わずに残っていたもの。

それが、「弱さを認める強さ」です。

認めなければ、立ち直ることも対策をしていくこともできません。認めたことで、ようやく前を向けたわけです。

また、周囲の人にもこの強さは必要かと思います。正義感を振りかざして叩くことは誰にもできること。一方で、それを認めてまずは受け入れるのは難しいことです。

大切な人や仲間が失敗したことを話した時に、失敗を、打ち明けたことを認めてあげるだけでも、失敗した人には励みになるわけです。

悪いことをしたかもしれないけど、失敗は誰にでも起こり得ることだし、周囲の支えや理解があって立ち直ることができるものです。
誰にも言えないのは、罪の意識が重たい、後ろめたいに他ならないので、そのハードルが低くなり、少しでも早く誰かに話して冷静さを取り戻せることが解決の第一歩になるはずです。

第一歩を踏み出せれば、うまくいく仕組を作ったり、助けてくれる人、支えとなってくれる人が出てきて励みになったり、前に進んでいくはずです。意思の弱い僕でもできたわけですから。

精神論になってしまいますが、立ち上がる時だけは「弱さを認める強さ」が必要です。

この文章を書こうと思った最初のきっかけは、こういう人にはなかなか話せない失敗談というのは、同じような人を生まないために必要かもしれないと思ったためです。

ところが、多くの人にこのnoteが読まれて、更には感想をいただいたりするにつれ、自分自身の失敗の昇華にもなっていったのです。僕は、このnoteをベースに人前(田端大学というオンラインサロンです。多様性溢れる素敵なコミュニティ。)で話す機会も得ました。

弱さを認めて、行動を変えていき、更に人に話すことができれば、より自信に繋がります。ようやく人に話して笑えるところまできたなって実感が湧きます。また、話した分だけ再発を防止するエネルギーにもなるのです。

このnoteを読んでくれた皆様、直接話を聞いても引かずに応援してくれたり、笑ってくれたり、いつもと変わらない扱いをしてくれたりした人たち、友人、家族に改めて感謝致します。ありがとうございました。

最後に

ちゃんとギャンブル脱却をできたこと、返済を自力で進められたことで、自信になりました。

生活も荒れることなく、穏やかに進んでいます。

健康のためジムに通ったり、親や妻と旅行に行ったり、記念日にはお祝いをしたりと楽しく過ごすこともできています。

そして、この度この経験を話してみようとも思えるほど前向きになれました。

誰かが同じように立ち直ることができたら、本当に嬉しく思います。そして、そんな方々のために自分ができることを始めていきます。

完済したら、子供が欲しい。それが次の目標であり、夢。

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ギャンブルで借金1000万円つくった銀行員の更生。ライフハックでメンタルと家計を立て直し、3年で800万円返済。どうやって人はダメになってしまうのか、立ち直るにはどうしたらいいのかを発信。失敗に寛容な社会を。/ギャンブル好きのための家計相談室
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