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「漢字でGO!」開発者 Micelle(みせる)様 開発秘話インタビュー

ツクール開発部です。

「漢字でGO!」制作者のMicelle(みせる)さんにインタビューを実施させていただきました。


YouTube等では多くのインフルエンサーに、配信や動画「漢字でGO!」が取り上げられ大きな話題になっています。


「漢字でGO!」はRPGツクールMVで制作いただいております。
「漢字でGO!」を開発しようと思い立ったきっかけから開発中のお話、またMicelleさんご自身のことや今後の展望についてお伺いいたしました。




漢字が好きで小さい時からRPGツクール2000で漢字にテーマにしたゲームを開発

--------- 本日は「漢字でGO!」制作者のMicelleさんに来ていただきました!!!

Micelle: よろしくお願いします。

--------- 多くの方に各種SNSで取り上げられていて「漢字でGO!」の勢いが凄いですね!

Micelle:ありがとうございます。私自身、とても驚いています。
つい先日、公式X(Twitter)でご報告したのですが、プレイ回数が合計1,000万回突破しました。
まさか、これ程までに多くの方々に遊んでいただけるとは開発時点では予想していませんでした。

--------- 「漢字でGO!」はタイトルの通り、漢字をテーマにしたゲームですが、そのアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?

Micelle:小さい頃から漢字が好きだったんです。実は「漢字」をテーマにしたゲーム開発も今回が初ではありません。かなり昔ですが、RPGツクール2000から「漢字」をテーマにしたゲームを制作していました。

--------- 長らくご利用いただきありがとうございます!過去にはどのような「漢字」をテーマにしたゲームを制作されていたのでしょうか?

Micelle:RPGツクール2000では名前入力機能を活用して漢字の問題を解くゲームを制作しました。それに加え、マップに五十音を配置。五十音の場所に移動して問題を解くゲームも制作しました。

--------- 「漢字」に対する愛が私たちにも伝わりました。

Micelle:はい。当時はインターネットもあまり普及していなかったので、今みたいに気軽にゲームを投稿しプレーしていただける環境は無かったものの、友人に作ったゲームを見せて実際にプレイしてもらう機会を作り、「漢字」を通じた遊びの共有で私自身も楽しかった記憶があります。

--------- 「漢字」が好きになったきっかけは何だったのでしょうか?

Micelle:私が小さい時に見た、今でも放送されている某番組の漢字の読み仮名を当てるコーナーにハマり、のめりこんで毎週見ていました。
それがきっかけで、漢字に興味が湧き多くの漢字に触れるようになりました。

--------- 「漢字でGO!」ではそのゲーム性はもちろん、音楽やデザイン面が優れているように感じ、SNSでも多数の好評の声が見受けられました。開発に加え、音楽やデザイン面もMicelleさんが担当されているのでしょうか?

Micelle:はい。音楽やデザイン面の全て、RPGツクールMVでの組込み作業の大部分は私が手を動かしています。プラグイン等のプログラムの知識が必要な部分に関しては有志の方にご協力いただいています。



ゲーム開発から音楽、映像制作の世界へ

--------- 音楽やデザイン面では、これまでに創作活動されていたのでしょうか?

Micelle:先ほど話した「漢字」をテーマにしたゲーム制作以降、「太鼓の達人」にハマり熱中していました。プレイしている中で収録楽曲に興味を持つようになり、「自作した楽曲で譜面を作れたら楽しいんじゃないか」と感じ、DTMの道へ足を踏み入れました。その最中、BMSにも興味を持ち始めるようになり、2017年頃から本格的にBMSでゲームジャムのようなイベントに参加するために音楽制作に力を入れるようになりました。音楽制作から派生して、楽曲プレイ中に流れるBGAも担当するようになりました。

※用語解説
・BMSとは:音楽ゲーム用のファイルフォーマットとそれ用いて作られた音楽作品・ゲームの総称。多くの音楽作品が提供されており、過去にはsasakure.UK氏やREDALiCE氏と言った有名クリエイターも参加した。
・BGAとは:一般的な楽曲で言うところのミュージックビデオを指す。


--------- 音楽や映像制作の面でも打ち込まれていたのですね。

Micelle:2017年からBMSで活動を開始して以降、複数のBMS関連のイベントに参加しました。2018年にはBMS関連で最も大きなイベント、「THE BMS OF FIGHTERS」に初めて参加しました。2019年、2021年にも本イベントに参加しました。
その他、自身でイベントの開催もしておりました。

以下、Micelleさんの2021年開催BOF参加作品です。
466曲の投稿があった中、ユーザー投票で4位を獲得されています。



子供の頃からの夢を実現するために「漢字でGO!」開発開始へ

--------- 数年に渡り音楽や映像制作に打ち込まれていましたが、ゲーム制作を再開するきっかけは何かあったのでしょうか?

Micelle:小さい頃から漢字が好きで、RPGツクール2000で制作した「漢字」を題材にしたゲームに改良点があると長らく考えていました。
2022年末に漢検準一級に合格出来たことで「漢字」でのゲーム制作に再燃しました。

--------- 開発期間について教えてください。

Micelle:2023年1月に開発をスタートし、2023年5月にリリースしました。引き続きアップデート対応を行っています。

--------- 開発期間中のモチベーション維持はどのようにされていましたか?

Micelle:「漢字が好きだから」。これに尽きます。

--------- 「漢字でGO
!」を制作するにあたり、Unityを代表とする複数のゲームエンジンが候補に挙がったかと思います。その中で「RPGツクールMV」を選んでいただけた理由は何かありますでしょうか?

Micelle:2016年頃、RPGのゲームを制作するために「RPGツクールMV」を購入しました。その際に操作性が慣れていたこと、自由入力で回答する等の仕組みをプラグインを用いれば実装できることが大きな理由です。Unityも選択肢に入っていたのですが、プログラミングに苦手意識がありハードルが高そうな印象がありました。

--------- RPGツクールMVの改良版にあたる「RPGツクールMZ」もご用意しています。「漢字でGO!」開発開始時点で「RPGツクールMZ」での開発も検討されましたか?

Micelle:はい。RPGツクールMVに決めた理由は、既に所持していて操作に慣れていたという点と、MVの方がプラグインの数が多かったの2点です。
特に、プラグインの数の多さはプログラム部分に不安が残る私にとっては重要なポイントでした。

--------- JavaScriptと言ったプログラミング部分はどのようにして対応されたのでしょうか?

Micelle:プログラミング部分は正直なところ、あまり得意ではありません。幸いなことにこれまでの創作活動を通じてプログラミング部分を支援いただける有志の方との関係が生まれまして、「漢字でGO!」の制作にもサポートいただいています。

--------- ゲーム制作において「技術的にハードルの高かったこと」「その他、何か大変だったこと」がありましたら教えてください。

Micelle:技術的な面で言うと、アニメーションに関してです。
「漢字でGO!」はRPGツクールMVで初期設定されているゲームの画面サイズから大きく変更して設定しています。
「漢字でGO!」はブラウザ版とスタンドアローン版の両方を公開しておりまして、スタンドアローン版では正しく表示されていたアニメーションがブラウザ版では表示されない課題が発生しました。現在は、プリロードする等して解決に至っています。
後はデバイス間での動作問題です。ブラウザで動作するのでスマートフォンでも事実上プレイ可能なのですが、動作せずPCからのプレイを推奨しています。最近、軽量化版も提供開始し、軽量化版では「スマートフォンからもプレイ出来た」と複数の声を確認出来ています。

大変だったことで言うと、問題として表示している漢字は全て画像として表示しています。
開発途中この漢字部分のフォント変更を決意して、この漢字の画像変更に時間が割かれたことですね。収録漢字がその時点でも1,000は超えていましたので、それを全て作り直す作業は骨が折れました。(笑)


--------- 「漢字でGO
!」を初めて見かけた際、私自身、本ゲームがRPGツクールMV製だとは見当もつきませんでした。RPGツクールは誰でもゲーム制作をしやすい一方、その骨組みが太く、制作されたゲームをプレイしたユーザーが「RPGツクール製っぽいな」と感じられるケースが存在します。クオリティの高いゲームを目指すと、この「RPGツクールっぽさ」を無くすことが一つのテーマとなりますが、この点で工夫されたことはありましたか?

Micelle:アニメーション駆使している点もありますが、どなたでも取り入れやすい部分で言うと画面サイズでしょうか。
本ゲームはウインドウサイズを「1280×720」に変更しています。RPGツクールMVのデフォルトウィンドウサイズは「816×624」で、今時のゲームと比較するとかなりウインドウサイズが小さめです。
ウインドウサイズを変えて、各種素材の見え方を調整すれば「ツクールっぽさ」の大部分は解消されるのではないでしょうか。


熱量の高いプレイヤーからの声が多数。更なるUX向上を目指し続ける

--------- 「漢字学習」という点では「漢字でGO!」以外にも関連したゲームやアプリが存在します。それらと比較して工夫された点を教えてください。

Micelle:ゲームとして楽しく遊んでもらう為のUI/UX、そして学習コンテンツとしての機能の両軸を兼ね備えられるように工夫しています。
ゲームとしてのUI/UX部分で言うと「Qキーで問題をスキップ」、学習コンテンツとしての機能で言うと「履歴/復習機能」等が代表例です。
「Qキーで問題をスキップ」機能は、「考えてもわからない問題なのでスキップしたいが、制限時間内まで待たなくてはいけない」という実際の要望を基に対応したものです。

復習/履歴機能


--------- 引き続きアップデート予定かと思いますが、今後の展望がありましたら教えてください。

Micelle:「漢字でGO!」がまさか、ここまで多くの方々にプレイいただけるとは思いも寄りませんでした。「漢字でGO!」をきっかけに漢字に興味を持っていただけたり、より精力的に漢字学習に取り組むモチベーションになっていると嬉しいです。
今後は「漢字」から枠を広げて多くの分野で「漢字でGO」と同様に学習のモチベーション向上であったり、新たな発見を生む機会の場となる構想を考えています。

--------- インタビューさせていただきありがとうございました!今後の活動も応援しております!


【関連リンク】
・「漢字でGO!」プレイページ:https://plicy.net/GamePlay/155561
・Micelleさん Xアカウント:https://twitter.com/t3n3bra3


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