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経営の三権分立

数字とロジックで経営と現場をExit(IPO、M&A、優良中堅)へナビゲートする。ベンチャーパートナーCFO、高森厚太郎です。

前回の記事「経営の役割分担」のもう一つの意義、「経営の相互牽制」について取り上げます。

■経営に必要な「相互牽制」

前回記事のように、経営者が自ら4つの仕事をこなしていくのは難しいため、CEO・COO・CFOによる3人経営体制はとても効率的なシステムだと言えるでしょう。3人の経営体制は、一人ではこなせない経営の仕事を「役割分担」して行えるという利点以上に、重要と考えるのは「相互牽制」です。

経営チームがあっても、この3人がそろってない会社というのは結構あります。例えばCOOがいないケース。CEOとCFOだけだと、組織マネジメントはCEOがやるケースが多くなりますが、CEOは理念を唱えるドン・キホーテらしく夢見がちで、組織が現実遊離したり、経営と組織が乖離したりします。また、CEOはキャラクターが強く、圧が強かったりするので、組織が疲弊してしまう可能性もあります。一方、経営の相棒であるCFOは、カネ系、つまり数字が強い人です。しかも、管理サイドであることから、事業の数値にツッコミを入れる立場であり、じゃあ事業をどうするかということに専門性もなければ、責任がある訳ではありません。つまり、事業サイドにうまく血を通わせることができません。このように、COOがいない結果、組織が大変になり、いつまでも会社が安定しないということが考えられます。

CFOがいなくてCEO、COOだけの会社も同様です。CFOがいない会社は、CEOのビジョンを語る力とCOOの組織を動かす力を持つので、攻めには強くなります。しかし、CFOの冷静で客観的な事業管理力を欠くので、守りが弱いと言えるでしょう。イケイケだった会社が、思わぬ難障に乗り上げて、あっさり折れてしまった例はいくつでもあげられます。

経営の三権分立

■健全な成長には三権分立が必要

経営チームに3人が揃っていたとしても、CEOの独裁体制だと(ベンチャーやオーナー会社にこのタイプは多いです)、理想を追うばかりで現実の数字や人を見られない進捗管理で組織にプレッシャーをかけるだけに陥りがちです。逆にCFOが強すぎると(上場会社はこの傾向あります)、企業が守りの態勢に入ってしまい、事業推進力が弱まってしまいかねません。

3人の業務の住み分けが合理的にできており、3人の権力や能力が拮抗していて、相互チェック機能も健全に働いている状態、つまり三権分立が出来ている状態が理想的な経営体制と言えるでしょう。

では、経営チームのメンバーであるCEO・COO・CFOにはそれぞれどんなスキルが必要でしょうか。次回は、CEO・COO・CFOにどのようなスキルやマインドが必要かを明らかにしていきます。

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