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2002年生まれのバンドがライブハウスに革命を起こしてるって話

先程の記事の続きにして本題。

狭くて暗いライブハウス。そんな場所で一際輝いている4人組若手ロックバンドが三組いる。奇しくも彼らはみんな同い年、2002年生まれの代のバンドだ。

ペルシカリア

Blue Mash

ルサンチマン

インディーズバンドに詳しい方ならば耳にくらいはしたことがあるだろうか。

親友にして、盟友にして、ライバル。
ポケモンに例えるなら、ほのおタイプ、みずタイプ、くさタイプの最初の3匹のポケモン。

タイプも違えば、特長も違う。ペルシカリアにはペルシカリアにしかないものを、Blue MashにはBlue Mashにしかないもの、ルサンチマンにはルサンチマンにしかないものを持っている。そしてお互いが持ってないものを相手が持っている。

以下この3バンドの良さとその愛を、偏った主観で紹介しようと思う。(読み飛ばしたい方は目次から気になるところだけどうぞ)


ペルシカリア

3バンドの中で1番最初に知り、虜になったバンド、ペルシカリア。埼玉県にて2020年3月、コロナの始まりと時を同じくして結成された。

このバンドを語るにはギターボーカルにしてフロントマンの矢口結生について語らない手はない。

矢口結生という、どうしようもない人間。「キラキラ」したものが苦手な人種。ずっと陰で生きていたい人。

自分が嫌いな自分が嫌いでそれを嫌ってた
自分が嫌いな自分が嫌いでを繰り返す

最初の晩餐/ペルシカリア

とにかく生き辛さを抱えながら生きる人だ。

生き辛くて、思い悩んで、自己嫌悪に陥り、ついには死んでしまいたいとまで考える。そういう人なのだ。自殺未遂もしたことがあるらしい。

生き辛えよな、けど笑っていたいんだ
生き辛えよな、けど悲しくないんだ
なんだかんだで日々が続くのは
死ぬほど自殺未遂後の飯が美味いから

最初の晩餐/ペルシカリア

鬱を抱えながら紡がれる歌詞は彼にしか書けない唯一無二のものだ。

彼はすごく尖っているし、卑屈な人間でもある。(と思う)(怒らないで^^;)

でも、真の優しさを持ち合わせている人だと思う。

「優しさ」は、「親切心」とは違う。
困っている人を見つけたとき、
「助けてあげたい!」と思うのが優しさで、
「助けてあげなきゃ!」と思うのが親切心
だと思う。
優しさは一次的な感情で、親切心は倫理観に伴う二次的な感情。だから、優しさは才能だと思う。


矢口結生は、前者の、「優しさ」の持ち主。人の痛みが分かるし、優しさがあるから、ちょっとしたことにも機敏に反応する。優しくなければ、そんなに悩まないからね、。だからなのか、彼の紡ぐ歌詞には「優しさ」という単語がよく表れる。

あなた-私=「優しさ」でした

ショートカット/ペルシカリア

なんて歌ってるけど、彼こそ本当の優しさを持ち合わせていると思うよ。

ペルシカリアに出会ったのはちょうど1年前、2023年GWの大阪城野外音楽堂。その日の矢口結生は、スタンドマイクにポリ袋をぶら下げていて、それが気になっていた。なんでだろう?

あまり曲を聴きこまずにライブに行った。顔を半分覆い隠すほどの長い髪。言葉を選ばずにいうなら、陰キャ感。それが第一印象だった。MCは正直早口で、なんて言ってるかもよく聞き取れなかった。だが、歌い始めると雰囲気が豹変した。今まで見たことのないタイプのライブだった。独特の風格を帯びながら、確実に熱狂を作り起こしていた。

もうギブ!ギブ!ギブギブギブ!

恋心納品日/ペルシカリア

当時はこの曲を知らなかったが、オーディエンスの若い女の子たちが「ギブ!ギブ!ギブ!」と言っていたのが楽しそうだった。もっと曲を聴いてライブに来たい、と思った。

ライブ終わりTwitterを見るとこんなツイートが

https://x.com/ya__gnu/status/1654770901437775873?s=46

面白い人だな、と思った。だってゲロ袋ぶら下げながらライブするバンドマンなんて初めて見たもん(笑)

本格的に曲を聴くようになって、ますます虜になっていた。独特のサウンドと、生き辛さと優しさを併せ持つ彼にしか紡げない歌詞たち。

Twitterのスペース機能を通じて彼の人柄や半生、バンドの由来、悩み、ここでは言えないような🔞の話、、、たくさん知った。その過程で彼の持つ優しさに気付いたのだ。

ちょっとペルシカリアについて書きすぎてる、、これ残り2バンド書けますかね??最後までみんな読んでくれますかね??

取り急ぎ好きな曲でも紹介しよう。

「歓声の先」


「ビートルズが悪だった時代なんて疾うに終わって」とは、矢口の父親のセリフ。家族思いなのも彼の良いところ、優しいところ。

ライブでも最高に盛り上がる本当に大好きな曲。だからこそ、少し前に盗作された騒動があった時はね、色々思うところがあった。

今年に入ってDr.中村達也が学業による活動休止から復帰。四人体制として、真のペルシカリアを各所のライブハウスに見せつけている。ギターのたいぴょん(フルギヤ)はchef'sという別バンドとの掛け持ち。ベーシストの中垣くんはものすごく変人。(笑)

矢口とたいぴょんは我が強い者同士で、実はあまり仲良くなかったそう。でも、今年の早春、矢口が真剣にバンドの解散を相談した際に思いをぶつけ合い、信頼関係を取り戻したようだ。

サラッと書いたが、バンド解散の危機ってね。ペルシカリアのエンジンは矢口結生が担ってて、なんせ彼の性分なので、これからもずっとバンドが続くというのは盲信かもしれない。悲しいことではあるけれど、うん。そこも含めて矢口結生。矢口結生の短所が全て長所になるような、そんなバンドがペルシカリアだ。

そんなペルシカリアのライブはコロナ禍を乗り越えてより高い熱量で、「熱狂」と「衝動」を作り出している。

ペルシカリアのライブに来たことがある人なんて日本の人口のほんのひと握りだと思う。1度、この熱狂を味わって欲しい、ライブハウスに足を運んで欲しい。


そろそろ次行きますかね、。
あ、最後にライブの熱狂が分かるMVを。
タイトルは「優しい人」この春リリースされた新曲。
ここにも「優しい」というワードが。あとは曲を聴けばわかる。うん。


あ、あとラブソングもいい。巷に溢れてるようなラブソングとはちょっとちがう、彼にしか書けない独特の歌詞が、とても良い。あの矢口結生から、この言葉が出てくるあたりが、なお良い。独自の感性だから、ありきたりな歌詞よりも共感性は低いかもしれないけれど、その分歌詞の捨象が上手で、なんともいえない哀愁すら漂っている。良かったら聴いてみてください!!

さ、語りすぎたから次いこう。

ルサンチマン

続いてはルサンチマン。東京の武蔵ヶ丘高校で結成された。クジラ夜の街というバンドの後輩に当たる。from荻窪。

このバンドはオルタナティブロックというジャンルに属する。

ギターボーカルは北(ペイ)さん。そしてメンバーの3人には技術面において絶対的な信頼を置いている。そう、このバンドはとりあえず個々の演奏技術が高すぎるのだ。

それを最大限生かすためのインスト曲(歌詞がなく楽器のみで奏でられる曲)がルサンチマンには多いのも特徴であろう。

そしてなんせ先述のペルシカリアの矢口結生が憧れるバンドなのだ。

ルサンチマンは2019年、オーディションを勝ち抜いてROCK IN JAPANに出場している。実力は言うまでもないだろう。

ペルシカリアの名前がカタカナなのも、ルサンチマンに憧れていたから。今では同じフィールドで闘っているのも運命を感じ得ずにはいられない。

ルサンチマンの良さは、第一に独創性の高すぎるメロディと、韻を踏み、異常なまでにメロディにのった歌。第二に、北さんの文豪級の歌詞


1度聴くと癖になるギターリフが特徴的なこの曲はルサンチマンの代表曲のひとつだ。この曲に限った話ではないが、もはやギターが歌っているいっても過言では無い。


イントロを少し聴くだけで彼らの音の才を感じることができるだろう。爆裂的なドラムを叩く茂木、ベースの清水、そして2人とは対照的にすました顔でとんでもないメロディを奏でるギター中野。「個」がここまで際立つバンドも昨今珍しいと思う。どうしてこのレベルの若者がひとつの高校に集まるのか、奇跡としか言いようがない。

北さんが書くラブソングもほんとに好きだ。執拗なまでに一途で、相手のことを本気で想っていて、それを赤裸々に、かつ韻やリズムを大事にしつつ書いているというまさに天才の所業。

ほんとはさ、
僕はさ、もう心まで貸してあげて
あなたの代わりになってあげたいよ、
僕はさ、もう瞳まで貸してあげて
あなたの代わりに泣いてあげたいよ

心配事/ルサンチマン

もしも君が記憶喪失になったとしたら
前の人の記憶が消えたりしたら
いいななんて思ってしまうよ

だらしないうた/ルサンチマン

もしも第三次世界大戦が起こったとしても、
どこの誰が命を燃やして戦っていようとも
もう賛否両論も、どっちでもいいから
2人だけは、いつまでも、そばにいよう

だらしないうた/ルサンチマン

ストレートな想いが溢れ出てて凄くいい。北さんは絶対良い人なんだろうなって伝わる。

矢口結生と同じく自分もルサンチマンオタクなんです、まだまだ紹介したい...文豪のルサンチマンを...

天界を感じただだけの日
限界を感じただ一人
二十歳はもうそこまで来てた
形は盲目で分からない
思えば二〇〇三の春に
明け方威勢よく声張り
轍を踏むことに苛立ち
地下室威勢よく声張り

六月某日/ルサンチマン

この高度な日本語でこれだけ高度な韻を踏む
そして背後に流れる音楽は1級品の旋律。まさに戦慄、、。

恥ずかしながら、先日ライブを初めて拝見した。ずっと行きたかったがなかなかタイミングが合わなかったのだ。

ライブ前、正直不安要素はあった。なぜならルサンチマンは音源が良すぎるから。この音源をライブで超えるのは簡単じゃないと思ったから。

まあそれは、全くの杞憂だった。完全に魅せられた。見入っていた。北さんの魂の歌唱。すました顔で、時には瞳を閉じながら、人間離れした指さばきで繊細なギターを奏でる中野さん、全力入魂で爆発的なドラムを叩く茂木ンチマン。見るからに強烈なベースを奏でる清水さん。それらが息ぴったりに奏でられ、聴いてて非常に気持ちが良かった。

ほんとにすごいよ02バンド....

Blue Mash

最後はBlue Mash。いま、この3バンドの中で、いや、インディーズバンドの中で、いや、日本のバンドの中で1番かっこいいライブをするバンド、Blue Mash。

「さすがにそれは言いすぎ、(笑)」どこかからそんな声が聞こえてくる。ならば、目撃して欲しい。

Blue Mash。こちらも例にももれず2002年生まれ。ただ、こちらは大阪のバンドだ。いますごく勢いにのっている。今年は既に大型フェスの出演がたくさん決まっている。飛躍の年になるのだろうな。

フロントマンは田中優斗。大学生とバンドマンの2足のわらじ。全くもって「田中感」がない男(わかる?笑)
高校時代はスクールカーストの最底辺にいて、教室の隅で1人銀杏BOYZを聴いていたという。
うん、そんな人間が紡ぐロックンロールがダサいわけがない。

大型フェスの出演が次々に決まり、ようやく脚光を浴びてきたBlue Mash。ただ、バンドの道のりは決して順風満帆ではない、というか、先述の2バンドよりもかなり困難を極めたものだった。

結成初期のメンバーから今のメンバーに至るまで、Gt.Vo.田中優斗を除いて同じメンバーは誰1人としていない。野球でいうと4番以外全員入れ替わった、みたいな。

高校生の時にBlue Mashを結成して初めてのライブでのこと。友達がたくさん来てくれたそう。差し入れもたくさん貰って、楽屋で、「バンドってなんて最高なんだ」って感じたと語っていた。

そして次のライブ、当然の如くお客さんはいなかった。そこから、何度も人がいない寝屋川VINTAGEというライブハウスでライブをしてきた。ライブハウスの壁のポスターに向かってライブをする毎日。その過程でメンバーも脱退した。

お客さんの居ないライブハウスでライブをして、打ち上げで初めて朝まで残った。そのときの思いを形にした歌、若者の衝動。「愛すべき日々

大人になって夢を捨てるなら
愛した日々を裏切るなら
大人になんてなってたまるか

愛すべき日々/Blue Mash


地道に、地に足をつけて、今となってはものすごい熱量のライブを毎回やってのける。それは田中優斗の言葉を借りるならば、「革命」と呼んでも遜色ない。いや、まさに革命なのだ。大阪のライブハウスを中心に、全国各地のライブハウスに革命を起こし続けている。


Blue Mashはそもそも持っている曲が少ない。サブスクで検索してもらえればわかる。(もちろんCD onlyの曲もある)
だから、ライブでやる曲は毎回ほぼ変わらない。でも、1度として同じライブはない。
毎度、感じる「衝動」が違う。その理由は彼らのライブスタイルにある。

まず、Blue Mashのライブでは曲と同じくらい、MCに重きが置かれている。
曲を中断してMCを挟んだり、歌詞をあえて歌わずに客に思いの丈をぶつけたり。彼のMCは、ただのお話ではない。まさに、魂の訴えそのものだ。マイクを横に向け、極力フロアに近づいて話す。歌う。お客さん一人一人の目をしっかり見て、一人一人に歌と言葉を届ける。正真正銘の、ロックバンドだ。いや、纏ってる風格と、滾る汗は、まさにロックスターそのもの。

「革命を起こしに来た!」

田中優斗はライブ中よく口にする。ギターのげんげんは、かなりのやばい奴。ただ、ライブになると覚醒する。そんなげんげんのギターがイントロから炸裂する曲は「2002」


On Bass 荒川ソラ、Dr.スギヤマリョーマ
みんな半端ない熱量で、Blue Mashという存在自体を輝かせる。

田中優斗のこだわり

Blue Mashのライブでは、手拍子する曲がない。皆で歌う曲もほぼない。一般的なバンド像とは真逆だ。もしシンガロングが起これば、「歌うな」
と言われる。理由はたくさんある。その理由はライブハウスに通えば知ることが出来るだろう。

これからはライブハウスを飛び越えて、日本の各地で革命を起こしていくんだろうな、と思う。そして最後に必ずこう言うのだろう。

「ボロボロの、汚いライブハウスから来ました。大阪寝屋川VINTAGEからBlue Mashでした。」

いままで、色んなバンドをライブで見てきた。感動のあまり涙が零れることもあった。でも、ライブがかっこよすぎて、バンドが眩しすぎて涙が流れたのはBlue Mashが初めてだった
忘れたくない、言葉にもしたくない。いや、嘘だ。忘れられない、言葉にできない。
革命児Blue Mash。正直いま1番出会って欲しいバンド。

彼らのライブ映像を見て欲しいけど、基本Twitterにしかなくて、容量の問題なのか、ここに貼ることができないのが悔しい、、、。
直接足を運んで、ということなのだろう。直近だと5/3のJAPAN JAM。人のいないライブハウスでライブをしてきた彼らが、遂に日本最大級のフェスのステージに立ちます。チケットお持ちの方は観ない手はない、後悔はさせない。「衝動」を感じてきて欲しい。

https://era.travel.gr.jp/Form/Product/Watch.aspx?shop=0&pid=127-20231001-1

長めのライブ映像。暇な人は(ここまで読んでる時点で暇だろ😎)、コピペして見てみてください。

最後に


ペルシカリアの矢口結生とBlue Mashの田中優斗は戦友にして親友。プライベートで夜な夜な電話をしたりするほどの仲。そんな2人はひとたびライブハウスに入るとライバルになる
常に意識し合う関係で、刺激を与え合う関係。

「Blue Mashがいいライブをしてたから、セトリ変えるわ」

2月の大阪での対バンの時矢口はそう言って急遽大幅にセトリを変更してライブに臨んだ。


ペルシカリア・ルサンチマン・Blue Mash

音楽性が似ているようで、全然違う。でも、この3バンドなら、もっと高みを目指せる。そう確信させてくれるほど彼らのロックンロールは、良い。(他にも鉄風東京など02バンドはいますが、あまり詳しくないので割愛(_ _))


いつか、02バンドで武道館で対バンを、、なんて未来も想像してる、してしまっている。
いつか叶う日が来ると信じて。そして、このnoteをここまで読んでくれた貴方が、そこに足を運ぶ日が訪れますように。

感謝と愛を込めて。いつもありがとう。

AppleMusicの方はこちらからこの3バンド聴けます

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