元採用部長から就活生へー4、採用したい人材

会社説明会では、会社のいろいろな事を説明します。
多くの場合は、説明会の最後に質問を受け付けることがあります。
そこでの質問でよくあるのが、

”御社ではどのような人材を求められていますか?”

というものです。
本来であれば、説明会のコンテンツでしっかり説明すべきことかもしれませんが、私はこのポイントについてしっかり理解していただくために、敢えてコンテンツにはいれず、質問をしていただくようにします。
一方通行の説明より、Q&Aの方が印象に残りますし、双方向であるために話が広げやすいということもあります。

私の答えは、どの会社でもおおよそ次のようなものになります。

”当社では、こうしたビジネスをしているので、○○や××の意識の高い方を期待します。”

ある意味当たり前のことを伝えてから続けます。

”でも、それは皆さんが回っているほかの会社でも同じではないでしょうか?
実は、同じようなビジネスを行っているところでは、
どしても大差がなくなってくるのです。”

多くの学生がうなずきます。

”しかし、一つだ他社とことなるところがあります。
それは、この会社で働きたいという強い思いを重視することです。”

”是非、選ばれて入社するのではなく、選んで入社をしてください。
そのために必要な情報提供はできる限りしていきます。”

最近の就職活動は、本当に情報が多くて当事者が処理をできません。
どうしても、他者の意見が正当性があるように思えることが多くあります。
それでも、最後は自分の責任で自分で選んでほしいと思っています。
それは”この会社で働きたい”という情熱を持てるかどうかに掛ってきます。

会社は、入社するとわかりますが、多くの場合思った通りではないことが殆どです。仕事の内容や環境、条件にカルチャーなど。すべてにギャップがないことは稀であると思います。
そうした、”思ったのと違う”という環境で、それでも最初の3年を頑張れるかは、自分で決めたかどうかが大きく影響するのではないでしょうか?

もちろん、入社したからには歯を食いしばって長く働け、といっているわけではありません。残念ながら、すぐにやめたほうが良いケースもあるからです。それは、いわゆるブラックな会社であったり、そもそも自分の生き方とあわなかったり、頑張る意味がないこともあるからです。

そうでない場合に、最初の3年を不満ばかりいって過ごすのと、自分にとって厳しい環境でも頑張って前向きに過ごすのは、そのあとの10年を大きく左右します。

繰り返しになってしまいますが、情報過多であるために、その情報の差異を見つけて意思決定しようとすることが多くなっているように感じます。
個人的には、そうした情報の差異はたいしたことがないと思っていて、
それよりも、”その会社でその仕事をやりたい”と思えるかどうかが
重要だと思います。

皆様のご検討をお祈りします。

<あとがきに代えて>
簡単に入社を決めた会社は、日系大手製造業の子会社で、関連会社およびその従業員と家族の方々に関連したビジネスをする会社でした。
当時はバブルの頂点で、不動産開発、リゾート開発、ホテル経営、スポーツクラブの運営、旅行代理店、保険代理店など多くのビジネスをするその会社は、”いろいろなことができる”と思った私には魅力的な会社で、とくにリゾート開発に強い興味があって入社しました。
入社前に配属希望をとられたので、1.リゾート開発、2.スポーツ関連、3.人事の順番で記載しました。人事といっても、学生からみればその仕事は新卒採用と教育くらいしかわかりませんので、それをイメージしてのことでした。
そして、入社式の日、配属の決定をしらせましたが、まさかの人事でした。
それも給与計算の担当です。
果たして、新人研修が終わって部門に配属になると、2週間で会社を辞めたいと思うに至りました。
そもそも自分の専攻していた理論物理で、影響のない小さな数字をきりすてて、全体としてどのようになっていくかを数式で明らかにする学問です。
1円単位の確認をすることは、苦痛でしかありませんでした。

それでも、塾長がいっていた”3年が大切”ということと、それに加えてもう一つ”3年たつと仕事が面白くなる”といっていたことを思い出しまして、
苦しいながらも仕事を続けていました。

仕事のほかにITの勉強もしました。まだ世の中にWindowsが出る前のことです。1年目の冬のボーナスのほとんどをつぎ込んで、中古でNote PCを買いました。NEC 9801NS/Eです。月給全額よりだいぶ高かった買い物です。
そのほかに、会計の勉強をしたり社長秘書から社長が読み終わった経営雑誌をもらって読み漁ったり、通信教育も切れ目なくやっていました。
いずれもその時の仕事にはほとんど関係はありません。

でも、そのときの努力は後になって自分の重要な力になっていることに気づかされます。


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