元採用部長から就活生へ-1、これから就職活動を始める方へ。

日本の企業では新卒採用の担当は、若手の人事の方がリーダーとなることが多く、その期間も多くは3~5年です。しかし、私は外資系でしかも採用のスペシャリストとしてのキャリアを歩んできたので、これまで数多くの新卒採用を行ってきました。

そして、この15年を通じて、いろいろな思いや考えを持つようになりました。

例えば“自己分析”。
ほとんどの学生、それをサポートする就職課、そして採用しようとする企業が、“自己分析”が大切だといっています。
そして、“自己分析の結果、~なので、~があっていると思い応募しました。”という志望動機を、ほとんどの面接で私は聞くことになります。

でも、これっておかしくないですか?

就職活動をする学生の皆さんはおおよそ22歳前後。
自己を認識しはじめたのが、中学生からとしてその期間は約10年。
そのたった10年間の振り返りを基礎として、これからの(多くの人にとっては)40年近い職業人生を決めようとしている。

“自己分析の結果、~なので、~があっている”という言葉は、まるで他人事のような言い回しで、自分の“今の意志”が感じられません。

“ところで、今のあなたはこの仕事の強い興味をもっているのですか?それはどうして?”
が、私の面接での常套句になってしまいました。

私は決して自己分析を否定しているわけでは、ありません。自分を客観的に振り返り、正しく認知するというのは、重要なことだと思っています。
が、それにとらわれてはいけない、といっています。

就職も含めて、皆さんの将来は過去の自分ではなく、いつも“今の自分の意思”によって開かれるのです。


これから就職活動をする方へ。

まず考えてほしいのは、自分の幸せな人生とはどんなものなのかです。
“幸せのかたち”は人それぞれです。
その幸せを手にするために、何が必要なのか、
それはどういう仕事で得られるものなのか。

就職活動では、友人の動向が気になったり、両親や知人からいろいろな情報を得たりすることがあります。
でも、最後は自分の幸せのため、自分で決めることが大切です。

皆様のご検討をお祈りします。

元採用部長


<余談、私の就職・転職①>

私は、バブル真っ只中での就職活動でした。
就職活動をして内定をいただいた企業で働くつもりでした。

しかし、その企業の親会社が日本政府を巻き込む大事件を起こしたのです。
若かった私は、それを理由に内定を辞退しました。
大学4年の11月くらいです。
親身になって対応してくださった企業の採用担当の方々に
直接お話すべきだと思ったので、
辞退はきちんと採用担当の方にお会いして伝えました。

そのときの採用担当者の方の涙は今でも忘れられません。
うつむいた顔から大粒の涙がいくつもこぼれていました。
まちがいなく、悔し涙です。

既卒の就職浪人よりは留年のほうがよかろうと思ったので
留年しようとしたのですが、卒論しか残っていません。
担当教授にお願いして卒論を不可にしてもらい、留年しました。
“卒業させてほしいとはよくいわれるが、
卒業させないでほしいというのは初めてだ”
と言われ、あきれられました。

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