元採用部長から就活生へー3、就職活動の会社選び

世の中に会社は星の数ほど存在します。
その中から自分にあった一つを見つけるのは非常に困難なことです。
どのような会社がよいのか、自分の意思が明確であればなおさらです。

仕事内容や報酬、働く環境、同僚となる方たち、会社の雰囲気などなど。
考えなければいけないことはたくさんあります。

うまく見つけられたとしても、本当に自分の希望に会う会社かどうか、
不安は尽きません。

私は新卒採用の面接で、会社選びの基準についてよくお聞きします。
辞退された学生にも、他社を選ばれた理由をお聞きするようにしています。

私は辞退の意思決定をひっくり返すようなことは絶対にしないので、
あくまで新卒採用業務として行うものとして、
皆さんの考えをしりたくてお聞きしています。

自分がいきいきと働けそう
やりたいことをやらせてくれると思った
今の自分にあっていて楽しそう
自分のためにより多くの時間を使ってくれて大切にしてくれた
転勤(引っ越し)はしたくない
若いころから責任を持たせてくれそう
能力主義で評価してくれる
多くの事業をやっているので、様々な経験ができる
総合職なのでいろいろできると思った
福利厚生が厚く、社員を大切にしていると感じた
日系の大手なので安定していると思った

そこで気付くのは、やはり学生だからこその視点とその限界です。

どれも間違いではないですが、本当にその言葉が正しいのか、
いまいちどしっかり考えてみる必要があります。

会社選びでもっとも大切なことは考え方は、
“全ての人に良い会社はない”といいうことです。

価値観や働き方は、人によって大きく異なります。
ですから、”良い会社”が同じであることはありません。

自分自身がどういった働き方をしたいと思うのか、
どういう環境ではたらきたいのか、
何が一番大切なのか、
を考えてみるとよいと思います。

友人・知人の動向や、親族の方からの意見もあるでしょう。
しかし、周りの方の動向に振り回されないことが重要です。
あなたの人生のための、あなたにとっての”良い会社”を選ぶのです。

“今の自分”を基本に考えるのではなく、
“将来の自分のために”という視点で考えられるとよいと思います。

就職時と転職時の人気企業に大きな差があることをご存知でしょうか?
学生として外から企業をみている場合は、その情報も限られていますし、
その時の自分の視点で判断しているのかもしれません。
社会人になると内側から企業をみることになり、
社会人の将来を意識して企業をみているのかもしれません。

自分はなにものであって、どうなりたいと思っているのか。
すべてはそこから始まります。

もちろん時間が経過すれば、“どうなりたい”は変わっていきます。
変わって当然です。
その時々で“今の自分”ではなく“将来の自分”を考えることが大切なのです。

皆様のご検討をお祈りします。

<あとがきに代えて>
留年のため学費と生活費を稼ぐために、
花屋と掛け持ちでアルバイトをしていた塾は、
私が学生としてその街に住み始める少し前に開業した塾でした。
チェーンではなく、一部上場企業の管理職の方が始められました。
花屋の4倍近い時給で、春、夏、冬集中講座もあったので、
まとまった金額を手にすることができました。
お昼ご飯や夕食もごちそうになっていました。

私が2回目の就職活動を始めるころにでその塾長が、
就職活動について教えてくれたことがあります。

・やりたい仕事をやらせてくれる会社なんてない
・入社したらきっと2週間で退職したくなる
・最初の3年はどの会社でもやることは一緒

そして最後に言われました。
”だからこそ入社後の3年間をどう過ごすかが大切なんです。”
上場企業の管理職らしく、アルバイトの私達にもいつも敬語でした。

当時の就職活動は、インターネットも携帯電話もなく、
私は寮住まいでしたので、電話も共有です。
それでも当時はバブルの真っただ中で、
多くの同期が銀行や証券等の金融機関に内定をもらっていました。
しかし、この言葉で私の就職活動は、簡単に終わらせました。

私の就職活動は、エントリーは5社くらい、会社訪問は3社でした。
そのうち1社から内定をもらえたので、就職活動を終えました。
どこにいっても一緒なら、関係ないと思っていたのです。

勝負は入社してから。




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